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【ゲームコミュニティサミット2013】インディペンデントゲームの行方と日本の開発者へのヒント

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ジャーナリストの新清士氏
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2013年6月22日、東洋美術学校でゲーム開発者コミュニティによる合同イベント「ゲームコミュニティサミット2013」が開かれました。本イベントでジャーナリストの新清士氏は「インディペンデントゲームはどこへ向かうのか」という講演を行いました。近年、勢いが増す欧米のインディペンデントゲームのシーンについての分析と共に、日本のインディーデベロッパーが活躍するためのヒントが報告されました。

■レッドオーシャン化するインディーゲーム市場
まずはグローバルなゲーム業界から見たインディーゲームに関する良いニュースと悪いニュースについて、新氏は指摘しました。まずゲームコンソールの現行機が成熟した結果、市場がAAAタイトルと小規模なタイトルに二分されています。そのため、中規模なタイトルの穴を埋めるために、プラットフォーマーもインディーゲームに注目しております。特にSCEはPlayStation4の発表とともに積極的にインディーデベロッパーを呼び込んでいます。

悪いニュースとしては、あまりにも多くのゲームがリリースされるため、過当競争が始まっていることです。特にスマートフォンプラットフォームは参入コストが低く、レッドオーシャン化しています。全体としてはゲームアプリの売り上げは順調に拡大しておりますが、デベロッパーとしてはかなり厳しい競争に晒されることになります。

激しい競争の事例として、新氏は今年5月にシンガポールで行われた「カジュアルコネクトアジア2013」の様子を報告しています。カジュアルゲームを対象としたイベントですが、ブラックベリー社のスポンサーのもとにインディーゲームのためのショーケースが無料で用意され、72社が参加したそうです。台湾やタイなどの東南アジアでは、萌えキャラ風のイラストも多く、日本市場にも通用しそうなゲームがたくさん開発されているそうです。また日本のRPGが大好きだという開発者が作ったゲームが紹介され、「日本らしいゲーム」とは何かについて考えさせられました。

このように市場に参入する母数が多くなると、単純なクオリティでは勝負できず、運の要素が非常に大きくなります。広告宣伝費が高騰しますが、インディーゲームは広告費にコストをかけることができないため、かなりの部分、運に左右されると、新氏は述べています。

結果として、開発よりも流通やプロモーションの重要性が高まり、パブリッシャーの役割が今後拡大するだろうと、新氏は分析しています。GREEやDeNAといった日本のソーシャルゲームのプラットフォームも、最早、スマートフォンプラットフォームに市場を奪われ、どちらかと言えば、パブリッシャーとしての役割を担ってきます。またスマートフォンで検討しているLINEも事実、他の開発者のゲームをリリースするパブリッシャーとなりつつあります。

また成功と失敗がはっきり分かれ、一部のヒット作品が市場を席巻する可能性が高いともいいます。例えば、『マインクラフト』はもともとPCゲームでしたが、Xbox Liveアーケードでも600万本以上の売り上げを達成し、パッケージ版も販売されるなど、最早、インディーゲームと呼べる規模ではありません。他方、Xbox Liveアーケードでほとんど売れていないゲームも数多くあるといいます。

このようにオープン化したプラットフォームは、競争が激化、価格が下落、成功と失敗がはっきりするといったことが必然的に起こります。プラットフォーム側としては、コンテンツの拡大から得られる収益は多くなりますが、デベロッパー側は非常に厳しいものとなります。

■成功のための戦略
では、インディーゲームとして成功するために必要なことはなんでしょうか。優れたゲームはすでにたくさんあるため、優れたゲームが必ずしも売れるわけではなく、マーケティングが重要だと新氏は述べています。とはいえ、インディーデベロッパーはお金がなく、マーケティングやマネタイズが苦手な場合も多いといいます。

しかしながら、現在のSNSなどをフルに使うことで、少ない資金で効果的なマーケティングを行うことは可能です。α版やβ版からゲームを公開してきた『マインクラフト』は、ユーザーを巻き込んだボトムアップ型のマーケティング戦略の最高の成功例として捉えることができると、新氏は述べています。ゲームではありませんが、日本でこういったユーザー参加型で成功したコンテンツとしてはボーカロイドの「初音ミク」などが挙げられます。

また世界各地で行われているコンベンションのアワードに応募するという戦略もあります。世界的に有名なものとしては、インディペンデント・ゲームス・フェスティバルがありますが、700タイトル以上がしのぎを削る狭き門となっています。他方、日本では新氏自身が開催しているセンス・オブ・ワンダー・ナイト(SOWN)やドワンゴのニコニコ自作ゲームフェスなどがあり、比較的活躍することは容易です。

SOWNでアワードを獲得して成功したゲームとしてAlexander Bruceが一人で開発した『Antichamber』が挙げられました。アーティスティックな一人称視点のパズルゲームですが、既に30万ダウンロードを達成しており、Alexander Bruceは大金持ちになっているそうです。このように大きな夢があるのもインディーゲームの特徴です。

また、どのプラットフォームやパブリッシャーと組むべきかに関してもヒントが述べられました。Xbox Liveアーケードで成功したJonathan Blowの『Braid』などの事例から、プラットフォームに初期参入することのメリットが挙げられました。また、GDC2013でゲームオブザイヤーに輝いた『Journey(風ノ旅人)』もPSNでもっとも売れたゲームとなりそうです。

このようにコンテンツが少ないプラットフォームへの初期参入のメリットは大きいと、新氏は指摘しています。日本ではまだまだコンテンツが少ないPS MobileやPCゲームのダウンロードサイトPlayismなどが狙い目となります。とはいえ、かなりの部分は運に左右されることも間違いないといいます。

■エンターテイメント産業の特徴
次にゲームをエンターテイメント産業という大きな枠組から捉えた場合、何が売れるのかという大きな視点の重要性も説明されました。新氏はニューヨーク・タイムズに掲載されたKindleで売れているコンテンツの分析を紹介しています。それらは、ロマンス、スリラー、ゲーム、ナラティブといった要素で分類され、それぞれ性的な要素を含む、適度な恐怖を刺激になるといった人間の生得的に好むもので構成されていることが分かります。書籍の歴史を紐解いても、昔からコンテンツには性的要素やスキャンダル、スリラーといったものが常にあったそうです。

また本やビデオゲームといったコンテンツの基準が一度出来上がると、爆発的に量が増えるそうです。活字の書籍はすでに数百年以上の歴史がありますが、17世紀の時点でスペインの劇作家が「あまりにも多くの本がありすぎて、混乱してしまう」と述べているそうです。インディーゲームの登場も、80年代からのビデオゲームの歴史を考えれば、必然的なことだと言えるそうです。

さらに現代の都市社会の特徴として、速度の速さが指摘されました。ソーシャルメディアは都市社会を表す典型例であり、現在のYouTubeの平均試聴時間は1分、スマートフォンを操作する平均時間は10秒というスパンで我々は生活しているそうです。そのため、そのようなライフスタイルにいかに割り込むかが、エンターテイメントとしては重要であり、ソーシャルゲームはその成功例であるそうです。

とはいえ、刺激に対して飽きる速度も加速しており、現在のカードバトル型のソーシャルゲームは確実に衰退していくと、新氏は予測しております。他方、現在爆発的に流行している『Candy Crush Saga』は、サーガ形式で物語にしたから成功したと開発者は主張しており、このようなちょっとした変化による人気の獲得もバカにはできないと、新氏は見ております。

またテクノロジーと異なり、エンターテイメントは一つのものに収斂しにくいという特性があります。そのため、どんなゲームが売れるのかについての決定的な説明はできません。とはいえ、エンターテイメント産業にとって一番重要なのは消費者の母数です。より余暇の時間がある人が増えていくことで、ゲーム産業も今後は発達していくだろうと新氏は述べています。

■日本の開発者に向けたヒント
以上をまとめとして、日本のインディー開発者が成功するために以下の戦略が指摘されました。1つ目は書籍の戦略と同じく、市場を分析して売れているものを作るというもの。2つ目はニッチを狙った逆張りを行うというもの。3つ目はアワードを獲得することで積極的に露出するというもの。さらに4つ目として、なるべくお金をかけずに開発することです。

そして、全体として参入コストが下がり、競争が激しくなっているため、運の要素があることを自覚することが重要だと、新氏は強調しています。そのため、1本外れてもめげずに挑戦する必要があり、インディーゲームの市場は甘くないことをきちんと認識するべきだとまとめています。
《今井晋》

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