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【SIG-Indie第10回勉強会】開発者から見たPlayStation Mobileのメリット

ソニー PS3

【SIG-Indie第10回勉強会】開発者から見たPlayStation Mobileのメリット
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6月1日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のSSJ品川ビルにてIGDA日本の同人・インディーゲーム部会(SIG-Indie)が主催する第10回研究会が開かれました。本勉強会は「PlayStation Mobileの現状と可能性」と題され、後半では、実際にPlayStation Mobile(以下PSM)でゲームを開発している同人・インディーズゲームの開発者の方々が報告を行いました。

こびとスタジオの佐川直樹氏は「PSMとXNA~とある同人サークルの一存」と題する報告を行いました。佐川氏は、もともとマイクロソフトのDirectXで二次創作を含めた同人ゲームを開発していましたが、その後、XNAに以降しました。ご存知の方も多いとは思いますが、マイクロソフトのXNAはWindowsやXbox 360で動くゲームを開発するツールです。

こびとスタジオとしてこれまで11本の同人ゲームをXNAで開発して、Xbox Liveで配信してきました。現在はPSM向けのゲームを開発しており、既にPSMでも『すくみゅ -SQUARE MUSIC PUZZLE-』というリズムゲームを配信しています。

このように現在では、個人が作ったゲームをコンシューマ機でもリリースできる環境が整いつつあります。しかしながら、どのハードでゲームをリリースするかに迷う開発者も多いのではないかと、佐川氏は指摘します。そこで今回の報告では、XNAとPSMでゲームを配信してきた経験を生かして、プラットフォーム、開発環境、パブリッシュという三点から両者を比較しました。

■廃れ行くXNAと盛り上がりつつあるPSM
ご存知の通り、今年は次世代機のXbox Oneがリリースされます。しかしながら、XNAは今年の2月、マイクロソフトから開発終了宣言がなされ、Xbox LIVEインディーズの代替えとなるサービスもアナウンスされていません。そもそもXbox Oneには後方互換性がないため、XNAで開発したゲームも遊ぶことはできません。

このような状況であるため、海外のXNA開発コミュニティもマイクロソフトの方針に頭を悩ませているそうです。とはいえ、Xbox 360のタイトルはまだリリースされており、それらのユーザー向けにゲームを作ることはありうると、佐川氏は指摘しています。Windows Phone 7でもXNAのアプリは動作するため、いわば「レガシー」向けの開発環境となりつつあります。

対照的にPSMは、PS VitaやAndroid端末など、勢いがあるハードで遊べるプラットフォームです。PS Vitaがハードウェアとしてのライフサイクル後半に入っても、XperiaシリーズなどのAndroid端末があれば、PSMのゲームは遊べるのが非常に魅力的だと佐川氏は述べています。

■未成熟のPSM開発環境
次にそれぞれの開発環境が比較されました。XNAでは、HLSLという言語によってシェーダーを自分で実装する必要があります。他方、2D描写はSpriteBatchというクラスを使用して、容易に実装できます。サウンドでは、XACTという非常に使い勝手の良いサウンドエンジン及びオーサリングツールが使用できました。さらにデバッガ機能が強力であり、実機動作中でも十分にデバッグが可能であったそうです。

一方、PSMの開発環境は、シェーダーはNVIDIAのCgをベースとした言語によって自分で実装する必要があります。2D描写では、cocos2Dと似たライブラリを持つGameEngine2Dという描画エンジンが用意されています。オブジェクトをツリー状の構造で扱うシーングラフを用いた描画エンジンであり、単純な描画でも実装するには少々大変だそうです。また単純な2D描画を行いたい場合でも、シェーダーの実装が必要である点もデメリットです。

サウンドにはWAVなどを再生する単純なAPIしか用意されておらず、マネージメント機能が必要である場合、各自実装する必要があります。そのため、フルボイスでノベルゲームを一から作るといった場合は非常に大変だそうです。さらにデバッガはあまり強力ではなく、実機動作中には処理速度が極端に落ちるそうです。

■自国のプラットフォームであることの強み
最後にパブリッシュの観点から、審査や決済の方法などが比較されました。XNAを使ってXbox LIVEインディーズでゲームをリリースするためには、「ピアレビュー」という独特な審査方法が用いられています。要するにインディーの開発者同士が審査するという方式ですが、この方式はグローバルな観点から見たとき、失敗だったと佐川氏は述べています。

というのも、日本ではXNAの開発者が少ない結果、審査の遅延が発生、逆に英語圏では審査するタイトルが多すぎて審査の遅延が発生したそうです。審査に1ヶ月かかることも稀ではなく、さらに審査が遅れるとリジェクト扱いされるそうです。審査基準はコミュニティ全体の意思で決定されると言えばよく聞こえますが、海外の開発者が多いため、日本の開発者たちの意見は十分に採用されるとは言いがたいそうです。

このピアレビュー方式の問題点を象徴するのが「混合言語問題」です。佐川氏によれば、Xbox LIVEインディーズでは、複数の言語が混ざっていることがリジェクトの理由にされるという方針がいつの間にか定まったそうです。そのため、日本語と英語を同時に使うだけで、リジェクトの可能性があり、日本の開発者は非常に困っていたそうです。この問題は現在も残っており、マイクロソフト側の解決する姿勢も見られないそうです。

決済面では、海外から支払いになるため、税金関連の手続きが必要となります。またマイクロソフトポイントは円高になってもレートが調整されないため、ドルでの支払いは為替相場の影響を受けます。

他方、PSMでは審査はプラットフォームホルダーであるSCEが行います。リジェクトに関わりそうな要点は日本語のドキュメントでまとめられているので、事前に対策が容易です。決済も日本からの支払いであるため、特殊な手続きは必要ありません。もちろん、「混合言語問題」というような事態は発生せず、日本の開発者がリリースしやすい環境と言えます。

しかしながら、審査終了後から配信までのタイミングが不安定であり、佐川氏自身は1ヶ月もかかったそうです。この点は、報告後の質疑応答でSCE側がランタイム関係の問題が発生している時期であり、不手際であったと説明しました。現在は安定してきており、通常は5営業日でリリースされるとのことです。

最後に気になる売上について、佐川氏は報告しました。4月末から6月の現在まで777ダウンロードを記録しています。佐川氏自身は半年かかって500ダウンロードされれば良い方かなと考えていたため、予想外のヒットであったそうです。実際に、基本無料アイテム課金が中心となりつつあるスマートフォンに比べれば、売り切り型の有料ゲームが予想以上に検討できるプラットフォームだと言うことができます。

以上の比較から佐川氏は「自分の国のプラットフォームはやさしい」という結論を導きました。開発環境の面では、まだまだXNAには劣る部分も多いようですが、決済、サポート、パブリッシングの面ではPSMが優れているのは明らかでしょう。さらに今後、PS VitaやXperiaなどのAndroid端末が普及することで、PSMは同人・インディー開発者にとって魅力的なプラットフォームになることが期待されます。
《今井晋》

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