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世界でも珍しい「サウンドゲームジャム」をCRI・ミドルウェアが開催

ゲームビジネス その他

ゲームジャムの運営を取り仕切った田中孝氏(CRI・ミドルウェア)
  • ゲームジャムの運営を取り仕切った田中孝氏(CRI・ミドルウェア)
  • 「SpaceOcean」でデモプレイする及川進氏(CRI・ミドルウェア)
  • 「Halamonハラモン」のデモプレイ風景
  • 「かくしおん!」のデモプレイ風景
  • 「SpaceOcean」のデモプレイ風景
  • 「Turn Galaxy」のデモプレイ風景
  • 発表会の模様はUstreamで配信された
  • ずらり並んだ差し入れの数々
ムービー・オーディオ向けミドルウェアを手がけるCRI・ミドルウェアで、サウンドをテーマにした世界でも珍しいゲームジャム「サウンドゲームジャム」が4月20日・21日、同社会議室で開催されました。

当日はプロのゲーム開発者から学生まで約20名強が参加し、2日間で4本のゲームを開発。発表会の模様はUstreamで配信されました。

ゲーム開発においてサウンド要素は、音ゲーなど一部のジャンルをのぞけば、最後にアドオンされるのが一般的です。即席チームで短期集中開発を行うゲームジャムでは、その傾向が顕著にあらわれます。著作権フリーの音素材をネットからダウンロードして、発表間際に組み込んでいっちょ上がり。時間切れで音が鳴らないゲームも少なくありません。

一方、同社ではゲームオーディオ用のミドルウェア・ADX2のフリー版「ADX2 LE」を配信しており、定期的なワークショップも開催してきました。その集大成の意味合いもこめて計画されたのが今回のゲームジャムです。当日はADX2 LEに加えて、ゲームエンジンのUnity(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)、サウンド制作ツールのGraph Arpeggiator 3(ブレインストーム)のライセンスが用意され、あちらこちらで音が鳴り響く珍しいゲームジャムとなりました。

ゲームジャムは初日の午前10時にスタートし、午後9時に中断。二日目も午前10時から再会し、午後6時に全開発が終了後、発表会と懇親会が行われるというスケジュール。開発時間は正味19時間の超ハイペースです。それでもUnity+ADX2 LE+Graph Arpeggiator 3というリッチな開発環境に加えて「足りない素材はUnityのAsset Storeで購入する」という力業で、全チームがゲームを完成。PCに加えてiPad対応をすませるなど、マルチデバイスでゲームを作ったチームも見られました。

#01「Halamonハラモン」

宇宙船から放り出された人を指やマウスでなぞりながら、画面左のモンスターに食べさせていくシュールな設定のゲーム。BGMにあわせて宇宙船が拡縮したり、排出される人数や移動速度が変わるなど、サウンドを元にしたレベルデザイン要素もある。サウンドは8本のトラックで構成され、ADX2 LE上で管理。3本のメロディもランダムで再生される。他にVocaloidの初音ミクがタイトルを読み上げる演出も加わった。時間があれば人の種類を変えたり、アイテムなども盛り込みたかったとのこと。

#02「かくしおん!」

正統派のリズムアクションゲーム。太陽の周りを星がぐるぐる回っていてるので、ラインに重なった時にタイミング良くスペースキーを押して曲を演奏していく。すべての星で成功すると次の曲に進める。音楽トラックをベースとメロディで2本用意しておき、判定に成功したら後者の音量を上げることで、手軽に音ゲーを実現した。「テーマをスペース(宇宙)にしたとき、スペースキーを押すだけのゲームに決まった」とのこと。カメラを回転させるなどのアイディアもあったが、時間切れとなった。

#03「SpaceOcean」

マイクの前で手を叩きながらタイミング良くイルカをジャンプさせ、障害物をクリアしていくリズムアクション。判定が成功するにつれてグルーヴが増し、音量が増したり、エフェクトが派手になっていく。ADX2 LEがサウンドのレベルをひろってUnity側にわたし、障害物が自動配置されていく仕組みだ。BGMはメロディやベース音などに分解され、常時4トラックが走っており、判定に応じて演出用のトラックが追加、最大8トラックで演奏される。当初は「ドン・パン」など、叩き方で複数の入力を切り替える案もあったが、うまく音の高低をひろえず、ワンボタンアクションゲームとしてまとめられた。

#04「Turn Galaxy」

惑星探査がテーマのゲーム。画面上で位置と方向・強さを決めて探査機を発射し、うまく惑星の周回軌道に乗せていく。惑星との距離や速度によって惑星に激突したり、引力圏を脱出してしまうので、微細な調整が必要だ。失敗すると国家予算が減っていき、ゼロになるとゲームオーバー。探査機の発射音や爆発音などのSEはGraph Arpeggiator 3で作成されている。「Graph Arpeggiator 3とADX2 LEのおかげで、いろいろな音が鳴るゲームをゲームジャムで作れた」とのこと。

一般的にゲーム開発では盛り上がるポイントが3回訪れます。第一に企画段階。第二にプレイできるものができた段階。そして第三に音が鳴った段階です。会場でも「やっぱり音が出るとモチベーションが上がる」といった声が、あちらこちらで聞かれました。Unityなどの普及でプレイアブルなプロトタイプを作る労力は劇的に下がっています。同様にサウンドの組み込みも早期に行えれば、さらに効果が上がりそうです。

今回のゲームジャムはまた、ミドルウェアメーカーが主催して、自社ツールの宣伝・教育・コミュニティ形成を目的に実施された点でもユニークなものとなりました。ゲーム業界でUnityを中心としたエコシステムが育ちつつある中で実施された、新しいゲームジャムだと言えるでしょう。世界最大規模のGlobalGameJamや、8月に開催予定の福島GameJamをはじめ、ゲームジャムは世界各地で広がっています。他のミドルウェアメーカーにとっても、ゲームジャムマーケティングは新しい切り口になるかもしれません。

■CRI・ミドルウェア 田中孝氏メールインタビュー

Q:サウンドゲームジャムを開催しようと思ったきっかけは?

A:サウンドにこだわったゲームジャムがしたかった。ゲームジャムに何度も参加していて、短時間だからこその表現、即興的なアプローチでのゲーム開発でも、サウンドの可能性を感じています。

Q:イベントの設計や運用で大変だった点や、気をつけた点は?

A:チーム分け、特にプログラマ以外の参加者へのメリットが課題ですね。今回の準備もかねて、以前10人で2チームの小規模ジャムを開催したことがありました。それが結構楽しかったのですが、グラフィック面が弱く惜しかったので、今回はグラフィックの人がチームに1人以上いてくれて助かりました。欲を言えばUIとモデラーというように、1チーム2人くらい欲しいですね。サウンドの方もプログラムの事を深く知ってる必要があり、モバイル環境での制作スタイルがないと参加が難しい所も課題です。

Q:ゲームジャムを終えての感想をひとこと

A:今回はとてもパワーのある方が多くて、どのチームもサウンドにこだわりつつ内容もしっかりしていて、とにかく凄い。Graph Arpeggiator 3も効果音作りにとても便利だし、ADX2 LEのサウンド機能も使ってもらいとても嬉しいです。Unityも含めこういうツールを駆使して何か作ると普段とは違う視点や発想、発見があり、新鮮な気持ちで参加できました。ツールを覚えるにも何か一つ作るという事は苦労する点と良い点を一気に短時間で経験でき、学習効果がとても高いと感じています。

Q:ずばり、次回の開催予定は?

A:次回は未定ですが、またやりたいです。

*今回制作された4本のゲームは、下記URLでリンクが公開される予定です。
http://www.adx2le.com/event/adx2le_sgj_130420.html
《小野憲史》

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