今回の記念イベントは、タワーレコード新宿店または渋谷店でCDを予約すると先着で整理券が配布されるというもの。イベント開始は11時30分でしたが、開店直後となる11時にはすでに50名以上の熱心なファンが集合。楽しみで待ちきれないといった様子が伺えます。
■“中世”と“魔法”をコンセプトにしたサウンド
まずは『レイトン教授VS逆転裁判』プロデューサーの竹下博信氏が、逆転裁判パートのディレクター・巧舟氏のメガネで登場。しかしファンからほとんど反応がなかったため、残念そうな様子でネタばらしをすることに。いつものメガネ姿になった巧氏が登場すると、会場からは「いつものだ!」と笑い声が聞こえました。
カプコンのコンポーザー・北川保昌氏、レベルファイブのコンポーザー・西浦智仁氏も登壇し「こうして会うのは久しぶりですね」という制作陣の挨拶から始まったークコーナー。というのも、制作時に巧氏と西浦氏が直接会ったのは1回のみ。制作時のやりとりはほとんどが電話で、西浦氏が「北川さんが、電話口で巧さんの真似をする」と振ると、北川氏は「そんなことやってません!」と言いながらも即興でモノマネを披露。会場からは大きな笑いと拍手が起きます。
巧氏は「『逆転裁判』シリーズは、いわゆるゲーム的な“ピコピコサウンド”を全面に出していました。しかし、これでは言うまでもなく『レイトン教授』シリーズとは合いません。そこでどうしようとなった時に“中世”“魔法”というキーワードに合わせて音楽を作ろうとなりました」と当時を振り返ります。
このほか巧氏は、思い出深い曲として、テーマ曲である「THE OPENING THEME OF “PROFESSOR LAYTON VS GYAKUTEN SAIBAN”」を挙げました。PVにも使用されたほか『逆転裁判』シリーズのメロディも入っており、ファンにとっても印象深い1曲です。こうしたテーマ曲のほか、スタッフロール部分などは「レイトングランドキャラバンオーケストラ」によるもの。収録立ち会ったという竹下氏は「楽器ごとにパートを順番に収録していき、だんだんと重なっていった」と様子を語りました。
■楽曲制作での苦労話も披露
楽曲制作では、西浦氏と北川氏が頻繁に打ち合わせをおこない、2人の意見のバランスを取るのが巧氏の役目となりました。とりわけアニメーション部分では、テレビ会議が半日に及んだといいます。
制作に取り掛かる際、まずは北川氏が西浦氏の元を訪れ、方向性や作り方について話し合いを行いました。基本的な作曲環境は似ていたという両氏ですが、実際にどのような音を使っていくか、機材をどうするかという部分をすり合わせていくことに。その後はデモを制作して巧氏のチェックを受け、修正点があれば変更するといった作業を繰り返したそうです。
西浦氏は、作曲にあたり「『逆転裁判』シリーズは大きなタイトルですから、ユーザーの皆さんが大切にしている部分を壊さないようにしつつ『レイトン教授』シリーズの世界観を出すことに気をつけました」と注意点を話します。
また北川氏は「『逆転裁判』シリーズは、もともとゲームボーイアドバンスソフトから始まりました。BGMはピコピコとした電子音楽ですから、今回は“中世”“魔法”というキーワードをかけ合わせながらどう昇華すればいいのか、巧さんと散々話し合いをしましたね」と当時の苦労を覗かせました。
■来場者への特典として、未収録曲や「ちょっと!」ボイスをプレゼント
今回、成歩堂龍一のボイスは実写映画と同様に成宮寛貴さんが担当しています。しかし当初は、従来どおり巧氏によるボイスへ切り替えできる「クラシックモード」といったアイデアも出ていました。そこで、新たに「ちょっと!」を加えたボイスを収録していたものの、結局ゲーム内では不採用に。公開する場もないからということで、今回イベントを通じてファンにプレゼントすることとなりました。「改めて聞きなおすと、10年前と同じようにはいかないなと感じた。ぜひ優しい耳で聞いてください(笑)」と話す巧氏。以前に比べ、音質がやや高くなったように感じました。
また、未収録曲の「大魔女の裁き・開廷[PRE-PRODUCTION]」は、北川氏がアコーディオンを取り入れて作ったもの。西浦氏の曲に対する意識が感じられますが、ゲーム内ではさらにアレンジを加えてより迫力を増したバージョンとして生まれ変わっています。2曲目は、重厚感あるコーラスが入った「追求 ~魔法をかけて [CHOIR VERSION]」となっています。
トークコーナー後のサイン会では、サウンドトラックをはじめ色紙やゲームパッケージなどさまざまなものにサインを貰うファンの姿が。なかには海外からのファンも参加しており、シリーズの幅広い人気が伺えました。
なお、竹下氏より、近々『逆転裁判5』について大きな発表をするという告知もありました。今後の展開に期待しましょう。
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