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【OGC2013】「1億人の生活インフラを目指すLINEの新たな挑戦」NHN森川社長

ゲームビジネス その他

NHN Japan 代表取締役社長 森川亮氏
  • NHN Japan 代表取締役社長 森川亮氏
  • 2013年1月に1億ユーザーを突破
  • 日本だけでなく、幅広い国と地域で利用されている
  • PCではなく、スマートフォンとして何が求められるのか、に集中して開発を行ったとのこと
  • LINEの特徴として、Closedのコミュニティが挙げられる
  • 各キャラクターのStampはユーザーに好評だ
  • プラットフォーム化は「Channel」という概念を元に行っていくと森川氏
  • 大ヒット「LINE バブル」をはじめ、多種多様のゲームがリリースされる
東京・神田にあるベルサール神田において、プラットフォームとゲーム、コンテンツの今後を探るカンファレンスOGC 2013(Open-Platform, Game and Contents 2013)が開催されました。その模様をレポートします。

2005年から開催されているOGCは、今年で9回目を迎えました。今年は、「新たなプラットフォームの可能性」「強力な魅力を持つゲームの力」「ゲーミフィケーションへの広がり」という3つのメインテーマを掲げ、多くの講演が行われました。

講演に先駆けて、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏が登壇し「LINE ユーザー 1億人突破 NHN Japanの事業戦略」というテーマで基調講演を行いました。

■スマートフォンでの事業展開
まず森川氏はスマートフォンでの事業展開について「日本ではPCからガラケー、そしてスマートフォンとインターネットのプラットフォームが変化してきました。正直に申し上げて、我々はガラケーのビジネスでは出遅れました。これはイノベーションのジレンマで、PCで成功していたからこそ、リソースをPCに向けてしまい、ガラケーに投資をしなかった。しかし、結果としてガラケーの市場は大きくなってしまいました。ここで世界に目を向けると、世界ではPCからいきなりスマートフォンへと移行しています。となれば、日本における「PCからガラケー」と同じ事が世界でも起きるだろうと予測し、かなり早い段階からスマートフォンへの投資は行っていました」と語りました。

■LINE開発のきっかけとは?
続いて、先日1億人ユーザーを突破し、ますますそのネットワークが広がるLINEの成り立ちについて「LINEのきっかけになったのは、2011年に起きた東日本大震災の後、社内サービスをつかって社員の安否を確認したところにあります。そのサービスには「既読」の機能が無く、安否が確認できるまで非常にやきもきしました。この経験をふまえて、『LINE』サービスが生まれたのです」と説明しました。

2011年6月からサービスが開始された『LINE』は、当初はプロモーションを行わず、NHN Japan社員やその家族、友人に使ってもらうことでそのクオリティを高めていったとのことです。その結果、使用した人からは「本当に便利だね」という感想をもらい、さらに仕事でも積極的に使用するようになって「いける!」と感じたそうです。現在は日本だけでなく、スペイン語圏で大きな伸びを見せており、スペインでは日本以上のユーザー増があるとのことで、その普及範囲には驚かされます。

■3つの成功の要因
LINEがここまで成長した要因についても説明がありました。森川氏はが挙げる要素は3つ。まずはPCから脱却し、スマートフォンに特化するという点です。森川氏はこれについて、「先ほどイノベーションのジレンマと言いましたが、ある分野で成功した企業は、どうしてもその成功をコアにして事業戦略を考えます。実際にNHNも、PCでの成功を元に、ガラケーに展開しようとして失敗していますから。

しかし、大きな階段を上がるときには、この成功が足手まといになることがあります。利用者からすれば、その環境・端末にあったサービスを望んでいて、ほかに成功してるかどうかなんて関係ないんですよね。だから我々は、スマートフォンにおける開発時には、それまでのものをすべて捨てて、どうしたらよりよいサービスになるのか、そこに集中して開発を行いました」と語りました。

次に「Closed」。TwitterやFacebookは、オープンであるがゆえのメリットもありますが、一方で知らない人から絡まれるなど、不機嫌な気分になってしまうこともあると思います。そこでLINEではClosedのコミュニティに限定し、差別化を図ったとのことです。

最後の要因は「Emotion」です。これについては「ガラケーでいうところの絵文字やデコメにあたるものを、スマートフォンでやってみようと始めたのが『Stamp』です。最初は大きすぎるとか、本当に使われるのかとか、いろいろな意見がありました。でも実際に開始してみると大盛況で。同じ言葉でも、個人差があって気持ちを伝えるのが難しい。そこで、ボディーランゲージと同じ感覚でStammpです。同じ表情でも、怖いキャラクターと優しいキャラクターではニュアンスが違ってきます」と語りました。

■アプリからプラットフォームへ
去年の7月に発表されたLINEのプラットフォーム化については、「Channel」という概念を元に目指す、とのこと。森川氏は「インターネットが世に現れてから、おすすめサイトのリンク集からディレクトリサービス、勝手サイトの登場などの変遷を経て、スマートフォンの登場により再びダイナミックに変わり、アプリというものが生み出されたことが大きい。今後は、デスクトップ自体がポータルとなり、画面に直接アプリを並べてそこからアクセスするのが主流となるでしょう。これらのアプリを、どうつなぐのかというのが、重要になってくるのではないかと思います」と語りました。

さらに「コミュニケーションにおけるHUBの役割をするのがLINE、そのコミュニケーションを通じてコンテンツやサービスをマーケティング化する。これをChannelと呼んで、サービスを展開していきます。まだ初期段階ですが、今年は皆さんがあっと驚くような展開をしていく準備をしています」と気になるコメントをしました。

■LINE GAME
また、LINEにおけるゲームコンテンツについては「ゲームは、カジュアルからコアへというサイクルが繰り返されると思っています。現在オンラインゲームではかなりコアユーザー向けになっており、匿名で遊ぶことが基本になっています。しかし、LINEではやはり実名で、友達と楽しく遊んでもらいたいと思いますので、カジュアルなパズルゲームから始めました。『LINEバブル』や『LINE POP』は、誰でもルールがわかり、誰でも練習すれば勝つことができるタイトルです。」と森川氏。ランキングが毎週リセットされるのも、ユーザーのモチベーションを保つためのひとつの施策とのことです。

パズルゲームのほかにも、現在ではさまざまなジャンルのゲームが出ていますが、基本的には一人用のシンプルなゲームを、仲間と競い合いというスタイルを維持しているとのこと。また今後の展開については、「MMORPGやカードゲームを出せば、一定の収益は上がると思います。しかし、ゲームの裾野を広げると言うことは産業として重要なことです。収益だけを目指すと一部のコアなファンだけが遊ぶことになってしまい、『ゲームってそういうものだよね』と言われてしまう。我々はそうではなく、もう少し知り合いと遊ぶゲームの楽しさというものをLINEでもう少し追求していきたい」と持論を展開しました。

■LINEにおけるマーケティングソリューション
森川氏はLINEにおけるマーケティングについて、「ネットで完結するのではなく、オフラインと連動することが強みです」として、4つのポイントを上げました。

1つはタッチポイント。テレビやパソコンでCMを見ても、実際の店舗からは遠い。しかしスマートフォン上であれば、店舗でクーポンを見るなど店舗に近い導線を確保することが可能。

2つ目はクリエイティブ。「見て終わり」ではなく、スタンプを通じて友人とコミュニケーションを取りながら広がる。

3つ目は展開地域とタイミング。LINEという全世界単一のプラットフォームを利用することで、各国ごとにバラバラではなく、全世界で同時に展開することが可能。

4つ目がコンセプト。一過性のキャンペーンではなく、公式アカウントなどで持続的にユーザーを定着させ、さまざまなデータを見ながら展開が可能。

■LINEの次なる展開は
次の展開については「生活インフラとしてLINEを確立させ、人・地域・オフラインを結びつけていくこと。これは、今までのインターネットでは出来なかったことなので、チャレンジしていくことでインターネットのあり方が変わるのではないかと思います。次に、グローバル化です。現在はスペイン語圏で伸びていますが、今年は英語圏での展開に向けて、各キャリアとも提携し、安価な端末で広げていこうと準備しています。」とさらなるLINEの普及についての意気込みを語り、貴重講演を終えました。
《恩田竜太郎》

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