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ローカライズ専門会社アクティブゲーミングメディアが語る、海外ゲーム市場の動向

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2月5日、アマゾンデータサービスジャパンの開催するゲーム開発者向けイベント「GO GAME GLOBAL! 海外市場へ出るための運営とインフラ」が同社オフィスの目黒で行われました。アクティブゲーミングメディアによる「海外市場で勝つためのマーケティング、運営、ローカライズ」と題されたプレゼンテーションが行われました。

同社は2006年に立ち上げられた日本初のゲームローカライズ専門会社です。コンテンツのローカライズの他、デバッグやマーケティングの事業を行い、2011年からはインディーゲーム専門の配信サービス「Playism」を立ち上げ、業界から注目を集めております。今回は東野猛郎氏とロバート・ポントウ氏が、ローカライズ業務を通して蓄積したノウハウと同社独自調査にもとづく海外ゲーム市場の動向を発表しました。

まず、ゲームビジネスにおいて海外展開が不可欠である理由を、東野氏はゲームの市場規模から説明しました。ゲームの市場規模はグローバルで見た場合、約5兆4000億円であり、その中で日本の市場規模は10%の6300億円です。さらにプラットフォームとしてはスマートフォン市場が急成長しており、地域別に見た時は国内市場が横ばいであるのに対して、中国などの東アジア市場が伸びております。

またPCゲームのプラットフォームであるSTEAMのユーザーは約4000万人ですが、その中の日本語ユーザーは約1%の40万人程度です。スマートフォンの普及率は2012年6月の段階で日本は20%であるのに対して、米国は44%、中国は33%、韓国は50%と大きく差が付けられています。このようにゲーム大国と思われがちな日本ですが、コンシューマ機以外のプラットフォームで比較すると日本の市場規模は世界ではそれほど大きくないことがわかります。

プラットフォームによってもターゲットとなる市場は異なり、コンシューマ向けゲームのリリース先は一般的に北米やヨーロッパであると言われます。というのも、これらのゲームソフト市場はコンシューマ機が普及した地域に限られるためです。他方、PCやモバイル向けのオンラインゲームやブラウザゲーム市場は中国、台湾、韓国などの東アジアとドイツやロシアにあるそうです。ただし、これらのオンラインゲームやモバイルゲーム、さらにソーシャルゲームなどは従来の市場セグメントであった「国」という単位を取り除き、「言語」という単位で市場を捉える必要があるといいます。そこでモバイルゲーム、ソーシャルゲームの市場は英語、韓国語、中国語、ドイツ語、スペイン語、フランス語にあるといいます。

次にそれぞれの市場の特徴を理解するために、市場のポテンシャルとトレンド、ユーザーインサイト、エキスパートの意見という3つの観点が説明されました。市場のポテンシャルとトレンドは、ユーザー数や市場規模、平均課金率、デバイスの売上数などから客観的に掴むことができるといいます。

それに対して、実際のユーザーが感じた印象であるユーザーインサイトは、FacebookやTwitterなどのSNSを利用したり、フォーラムや掲示板といったコミュニティを観察したりすることで得ることができる曖昧なデータになります。もちろん、アンケート専門サイトや市場調査会社を利用することで、ある程度、信頼性のあるデータを得ることも可能です。またそのようなユーザー視点のデータの他に、プラットフォーム事業者、パブリッシャー、プロモーション業者など、海外市場に長けたエキスパートの意見を参考にすることで、海外市場の特徴を理解することも可能です。

そこで実際に海外市場のエキスパートとして同社が行った市場調査にもとづいた海外市場の動向が次に説明されました。スピーカーは交代して、同社のマーケティング・ディレクターをつとめるロバート・ポントウ氏がプレゼンテーションを行いました。

まず、日本市場の現状から説明されました。ゲームジャンルに関するユーザー認知度のアンケート調査から、日本では格闘ゲーム、パズルゲーム、プラットフォームゲーム、RPGの認知度が高く、これらのジャンルは日本市場では既に飽和状態であると分析されました。意外な点としてMMOの認知度が低いことも、また指摘されました。

次にユーザーの「遊びたいジャンル」について調査したところ、パズルとRPGがトップに上がり、他方、認知度が高かった格闘ゲームは人気が低かったそうです。そのため、日本市場においてポテンシャルが高いゲームジャンルはパズルとRPGという分析結果が示され、昨年度大ヒットした『パズル&ドラゴンズ』はそのようなユーザーの期待に応えたものではないかと、ロバート氏は指摘しました。また日本市場の意外な点として、ソーシャルゲームの人気が低かったことも挙げられました。

次に北米市場の動向について、年齢と性別ごとのアンケート調査結果が示されました。北米の男性ユーザーでは、16から29歳の若い層、30から40歳の中年層の両者とも、アクションアドベンチャー、FPS、スポーツといったジャンルの認知が高いそうです。一方、「遊びたいジャンル」に関しては、若い層がアクションアドベンチャー、スポーツ、格闘ゲームと応えたのに対して、中年層はアクションアドベンチャー、格闘ゲーム、RPGと応え、年齢によって人気のあるジャンルは異なることがわかりました。

さらに北米ユーザーに「好きなゲームの理由」をたずねたところ、若い層にも中年層にも「ストーリー」という理由がトップに上がる一方、中年層は「ゲームのユニークさ」を評価して、若い世代は「ゲームシステム」を重視していることがわかりました。またどちらの層にも「長時間プレイできる」ことは重視されているため、以上の調査結果をまとめると、北米市場に最適なゲームは「システムとプレイ時間を重視した、個性のあるアクションRPG」となると、ロバート氏は説明しました。

しかしながら、北米市場の女性ユーザーに「遊びたいジャンル」をたずねたところ、1位はパズル、2位はパーティーゲーム、3位はアクションアドベンチャー、4位はソーシャルゲームと異なった結果が現れました。北米では女性ユーザーのソーシャルゲームの人気が強く、このジャンルはまだまだ成長する可能性があるそうです。

次に女性ユーザーの「好きなゲームの理由」をたずねたところ、ストーリー、ゲームプレイ、キャラクターデザインという結果がトップを占めました。そのため、北米の女性ユーザーをターゲットとするならば、「キャラクターデザインの美しいアクションゲーム」、「難易度の高い、ゲームプレイが面白いパズルゲーム」、「高いソーシャル性を持つパズルゲーム」などがあげられます。

話題は中国市場に移ります。中国のユーザーに人気がある「遊びたい」ジャンルはトップからアクションアドベンチャー、ソーシャルゲーム/カジュアルゲーム、MMOという結果になっています。プラットフォームとしてはAndroidがもっとも普及しているため、中国市場に最適なゲームジャンルは「Androidソーシャルゲーム」であると、ロバート氏は指摘しています。

また同じ東アジアのインドネシア市場の調査結果も示されました。「遊びたい」ジャンルのトップはアクションアドベンチャー、パズル、レースフライトとなっています。パズルゲームは中国市場でも人気が高いですが、既に市場は飽和状態であるため、パズルゲームをリリースするならインドネシアが適していると、ロバート氏は指摘しています。

このように市場規模だけではなく、市場の適正に見合ったタイトルをリリースすることが海外展開においては重要です。そのため、セールスや市場規模といった客観的にアクセスしやすい情報だけではなく、調査による市場動向の情報を手に入れ、リリースすべき市場を見極めることが重要だと、ロバート氏はまとめました。

スピーカーは再び東野氏に交代して、海外でのリリースのための準備の仕方が説明されました。アクティブゲーミングメディアはローカライズを専門とする企業ですが、単純にローカライズといっても様々な過程があります。同社ではローカライズの過程を、(1)ファミリアライズ、(2)カルチャライズ、(3)翻訳、(4)デバッグと分けて行なっているそうです。

まずファミリアライズとは、ローカライズ作業開始にかけて作品の内容を100%理解することです。ゲームの翻訳は他の翻訳と異なり、様々な文脈や専門的な要素が重要だといいます。そのため、翻訳側はプロデューサー並の情報量をインプットする必要があり、徹底的にゲームプレイするのは当然、ゲームの企画書を読み、ゲームプロデューサーとの面談も行なうそうです。

次にカルチャライズとは、ゲームの内容やデザインをその国や地域の文化に適したものに変更することです。市場調査の結果と、ファミリアライズの結果を照らし合わせて検討し、具体的には、ゲームタイトルの決定、キャラクターデザインの調性、ゲームバランスの調性などを行います。キャラクターの名前の要素なども重要であり、東野氏は自身の「猛郎」という名前が中国語では「クレイジーマン」や「絶倫男」といった意味になることを例にその重要性を説明しました。

ファミリアライズとカルチャライズがなされた後に実際の翻訳作業が始まります。ゲームの翻訳においては、アイテムやキャラクター名などの用語集を作成して、スケジュールを決定します。ゲーム翻訳は機械的な作業ではなく、コピーライティングのようなスキルがいるため、1人の翻訳者が1日あたりできる翻訳量は3000~4000字程度であるそうです。そのため、品質管理のためにスケジュールは適切に見積もる必要があるといいます。

最後にデバッグ作業が行われます。実際にテキストをゲームに入れてプレイして、テキストのはみ出しや間違いを修正します。ゲームのバグは海外では悪い口コミとして非常に影響が大きいため、デバッグ作業による品質管理は非常に重要であると、東野氏は強調しました。そのため、テキストのデバッグは社内で行なうのではなく、ネイティブがいる会社にまかせることが必要だといいます。

次に話はプロモーション方法に移りました。東野氏は、プロモーションは不可欠であると同時に、プロモーションは「オーダーメイド」であると説明します。つまり、プロモーション方法はタイトルによって異なり、成功したプロモーションがすべてのゲームを成功させるプロモーションではないことを強調しました。

実際のプロモーションの事例として、ニッチなタイトルではゲームのコミュニティを探し、リリース前から積極的に情報を共有するというユーザー巻き込み型のものから、ビッグタイトルでは普段ゲームをしない潜在的なユーザーに訴求するための広告を展開するものまで様々なものが紹介されました。また端的に広告やCMといっても海外と国内ではその目指す方向性が異なるといいます。特に日本ではCMでタレントを起用することが多いですが、海外ではゲームの面白さをアピールする動画が多いそうです。

最後に同社からの日本のゲーム開発者に向けて、「Be Original Be Perfectionist Be Respectful」というエールが送られました。これからの海外市場で戦うためには、独創的であり、完璧主義であり、さらに、それぞれの異なった市場のユーザーに敬意を払ったゲームを作っていく必要があると述べられました。
《今井晋》

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