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「クラウドファンディングはアニメーション業界をどう変えるのか」 I.G、CALF、グーパが議論

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司会を務めた「アニメ!アニメ」編集長の数土氏
  • 司会を務めた「アニメ!アニメ」編集長の数土氏
  • セミナーに登壇した3名がクラウドファンディングについて議論
  • 「クラウドファンディングはアニメーション業界をどう変えるのか」 I.G、CALF、グーパが議論
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2月1日、株式会社グーパが主催するトークイベント「クラウドファンディングはアニメーション業界をどう変えるのか」が中野坂上の株式会社イードのオフィスにて行われました。イベント後半では、イード「アニメ!アニメ!」編集長である数土直志氏が司会となり、報告者によるパネルディスカッションが行われました。

報告者は3名。Production I.Gの企画室の鈴木哲史氏は、アメリカのクラウドファンディング「Kickstarter」で短編アニメ『キックハート』のプロジェクトで20万ドルの資金を調達に成功しました。また、日本の短編映像作品を国内外に紹介するインディーズレーベル「CALF」の大山慶氏と廣瀬秋馬氏は、国内のクラウドファンディング「CAMPFIRE」において実験的な短編アニメ『放課後』のプロジェクトで50万円の資金を獲得しました。そして、株式会社グーパの代表取締役社長兼CEOの平皓瑛氏は、アニメーション特化型クラウドファンディング「Anipipo」を2月14日にベータ版公開予定であります。

ディスカッションでは、Production I.GとCALFが実際にクラウドファンディングを利用した事例を起点として、ただ資金を集めるだけでなく、プロモーションやマーケティングツールとしてクラウドファンディングをどのように使っていくかが話し合われました。そして、成功事例の共有と共に、実際に活用したときの落とし穴や気をつけるべきポイントが指摘されました。

まず司会の数土氏は、クラウドファンディングを利用した鈴木氏と大山氏にその満足度を質問しました。CALFの大山氏は、50万円の資金を調達できたこと、ファンが目に見える形で現れたことは非常に満足しており、自身が制作する作品へのモチベーションにつながったと振り返っています。

しかしながら、今回のCALFのプロジェクトでは目標金額の50万円にいち早く達成したものの、実際に制作費に使える額は4割から5割程度であり、アニメーションの制作費としては微々たるものです。そのため、今後、継続してアニメーション制作を続けるためには、どのクラウドファンディングを利用するか、いかに出資者を集めるかについて戦略を練っていく必要があると、大山氏は反省点を指摘しました。

次にProduction I.Gの鈴木氏は『キックハート』のプロジェクトを振り返り、最初は成功することを想定していなかったため、非常に満足していると述べました。20万ドルという資金を集めるだけではなく、英語のファンレターがたくさん届き、Kickstarterを通した告知効果が非常に高いことに驚いたそうです。湯浅政明氏と押井守氏がコラボレーションする『キックハート』の内容はマニアックなものですが、海外の評判は非常に高く、Kickstarterのプロジェクトの中でも話題性が強いものになっているといいます。

他方、CALFと同じように調達した20万ドルの内、実際に使用できる制作費は半額程度だといいます。『キックハート』の全体の予算はまだ決定されていないため、Kickstarterによる資金調達が予算のどの程度を担うかはまだはっきりしていません。そして、海外スタッフはボランティアで働き、プロジェクトのコストは採算度外視で行ったため、少なくともクラウドファンディングで得た資金がアニメーション制作の予算の大きな割合を占めることはなさそうです。それでも鈴木氏は、クラウドファンディングを単なる資金調達としてではなく、はかりしれない宣伝効果があったと肯定的にとらえています。

また鈴木氏は『キックハート』のプロジェクトは今回の短編アニメーションで終わりというわけではなく、今後なんらかの形で展開していく予定だと述べています。現在、ビジネスパートナーを探しており、次の企画を練っている段階だそうです。そして、そのためのプロモーションとしてもKickstarterで集まった出資者の数や資金額は効果を発揮することを期待しています。

この点について、アニメーション特化型クラウドファンディング「Anipipo」を運営する平氏は、クラウドファンディングはそのサイト自体がメディアとなる必要があり、場合によっては国や地方自治体からの助成金を得るためのパイプ作りも行なっていくと述べました。クラウドファンディングはプロジェクト初期段階の告知効果やニーズの把握において、その効果を最大限発揮するため、全体の資金回収としては別の形で行なうことも必要となります。

次に助成金という観点から、数土氏は通常のテレビアニメと異なる「短編アニメーション」の終始構造について大山氏に質問を投げかけました。大山氏によると、短編アニメーションの世界ではプロとして収益を上げている国内作家は片手で数える程度であり、ほとんどの作家は他の仕事の合間に創作しているとそうです。他方、海外には公的な助成金を得やすい国もあり、特にヨーロッパでは国際的なコラボレーションによる完成度の高い作品が多いといいます。

さらに数土氏は、助成金とクラウドファンディングという2つの資金調達方法の違いについて質問しました。大山氏は、ヨーロッパでは助成金制度が根付いている一方、アメリカではクラウドファンディングなどによる民間の力でプロジェクトを成功させる傾向が強いのではないかと応えました。同じく、平氏もアメリカではKickstarterを中心として、クラウドファンディングの認知度が高い一方、ヨーロッパではアートや文化事業に国が資金を提供する風土が根付いていると応えています。

最後に数土氏は、アニメーション制作側が今後のクラウドファンディングに求めることについて質問をしました。大山氏は実際に資金調達に成功したのは良かったが、利用したCAMPFIREでは日本人のみがターゲットであったこと、Kickstarterと異なりCAMPFIRE自体のファンがいなかったことを指摘し、今後は日本にクラウドファンディングという文化自体を根付かせることを期待したいと応えました。

一方、Kickstarterを利用した鈴木氏は非常に満足しており、そのサービスの充実感は完成されていると述べています。強いて言うなら、日本語に対応していないことが難点であるといいます。それに対して平氏は、Anipipoは英語と日本語の両方に対応すると共に、クラウドファンディング自体の認知度を高めていくことに尽力すると展望を述べました。

今回のイベントはグーパ株式会社が主催する定員25名の小規模なものでしたが、会場は定員一杯の満員でした。クラウドファンディングの事例紹介は、国内ではまだ少なく、貴重な話を聞ける機会であり、今後のプロジェクト企画者には非常に参考になるものであったと思います。また、来場者に学生の方が多かったことが印象的で、今後のアニメビジネスのあり方を模索する若い才能たちの意欲が感じられました。
《今井晋》

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