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【ロコレポ】第10回 この季節にこそプレイしたい「記憶の雪」のビジュアルノベル『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』

インサイド読者のみなさま、Here we go! ゲームライターのロココ試作型です。

任天堂 3DS
『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』は、アークシステムワークスが2月22日からニンテンドーeショップで配信しているビジュアルノベルです。
  • 『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』は、アークシステムワークスが2月22日からニンテンドーeショップで配信しているビジュアルノベルです。
  • 主人公の「Kurome(クロメ)」は、「白い街」で記憶を封じる職業である「封士」を生業とする青年。
  • 忘れたい悲しい記憶を持って「白い街」を訪れた少女、「La(ラ)」。本作品のヒロインであり「封士」としてのクロメの客でもある彼女はクロメと出会うことにより、外の世界や彼自身に少しずつ興味を持つようになります。
  • 3DS版のリリースにあたって一新されたというイラストはイラストレーターの「VOFAN」さんによって描かれており、作品に新たな命を吹き込んでいます。
  • 「白い街」は閉鎖的かつ寒々しい独特な雰囲気の街ですが、冒頭でクロメとラが出会うシーンも含めて、雪の風景描写がとても美しく印象的な作品です。
  • オープニングテーマの『記憶の雪』やサウンドは作品の世界観を上手く表現しており、作品の魅力を端的に感じ取ることができます。
  • どちらかと言うと、クリア後にもう一度見た時の方が感慨深いように思います。
  • 本作では選択肢などは一切登場せず、シナリオを読み進めるだけのシンプルなシステムです。
インサイド読者のみなさま、Here we go! ゲームライターのロココ試作型です。

第10回のロコレポは、アークシステムワークスが2月22日から配信しているニンテンドー3DSダウンロードソフト『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』のプレイレポートをお届けします。

『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』は、里美しばさんが2006年に発表したWindows用フリーノベルゲーム『TRUE REMEMBRANCE』のサウンドとイラストを一新して、原作にはなかったおまけシナリオも追加した3DS向けのリメイク版。原作をプレイしたファンの間で小説化や商品化がたびたび要望されてきた作品ということで、ニンテンドーeショップで見かけて購入しました。

■ 選択肢などは一切登場せず、シナリオを読み進めるだけのシンプルなシステム
本作はビジュアルノベルという形式をとりながらも、選択肢などは一切登場しません。そのためプレイヤーはひたすら、一本道のシナリオを集中して読み進めることになります。テキストのオート機能は速さを5段階に調節することができ、最も速い「1」だとかなり速くなります。このオート機能が便利なので、アニメを視聴するようなスタイルで落ち着いてプレイすることができました。

■ 各話ごとに変化する視点で描かれる、登場キャラクターの繊細な心理描写が秀逸
本作では、「白い街」に住む記憶を封じる職業である「封士」の主人公「Kurome(クロメ)」と、忘れたい悲しい記憶を持って「白い街」を訪れた少女「La(ラ)」を中心とした物語が描かれています。

面白い点として、1話はクロメ、2話はラといった具合で各話ごとに文章の視点が変わるので、プレイヤーは登場キャラクターの揺れ動く繊細な心理描写を時間軸と共に体験することができます。本作はシステム部分は小説に限りなく近い作品ですが、この辺りはキャラクターの立ち位置を把握しやすいビジュアルノベルの特徴が活かされていると思います。

■ 「白い街」に降り注ぐ雪の情景が美しい作品
本作の舞台となる「白い街」は記憶を封じるための街で、そこには忘れたい悲しい記憶を持った人々が訪れます。「白い街」は閉鎖的かつ寒々しい独特な雰囲気の街ですが、冒頭でクロメとラが出会うシーンを含めて、降り注ぐ雪の風景描写はその雰囲気と対比して輝くように美しく、そして印象的です。3DS版のリリースにあたって一新されたというイラストはイラストレーターの「VOFAN」さんによって描かれており、その豊かな色彩と光の表現は公式サイトの説明通り、作品に新たな命を吹き込んでいます。

■ 総プレイ時間は2、3時間程度。伏線の回収漏れもなく、爽やかな読後感
本作のテーマはタイトルにもある「記憶」で、それを封じること、繋ぐことの意味を問うているように思います。誰でも忘れたい「記憶」や、逆にずっと覚えておきたい「思い出」があるものだと思いますが、もしそれを「記憶操作」することができたら…というif的な視点で構築された「白い街」には、「封士」にまつわる謎も含めてどこかミステリアスな雰囲気が漂っています。

総プレイ時間は2、3時間程度。これといった伏線の回収漏れもなく、読後感はとても爽やかで、素直に「この作品に出会えて良かったな」と思うことができました。「記憶」と「記憶操作」というテーマを哲学的に追求するというよりも、全体的にキャラクターの心理描写を通した叙情的な視点と世界観で描かれているので、そこはプレイヤーによって好みの分かれるところかもしれません。

クリア後に閲覧することができる、原作者、制作関係者などのコメントや制作秘話では動画サイトでのプレイ動画など、この作品がアークシステムワークスから3DSでリリースされることになった経緯が語られていて、興味深い内容となっています。主題歌やサウンドも作品の世界観に合っており、特にオープニングとエンディングのムービーは何度も見返してしまいました。欲を言えばせっかくこういった形でのリリースなので、できればキャラクターボイスを収録して欲しかったと思います。



プレイ後にも「白い街」がこの世のどこかに存在しているような、不思議な感覚に囚われる作品でした。クリスマスも近いこの季節ですが、ちょっと現実を忘れて「白い街」を訪れてみてはいかがでしょうか。

『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』は、好評配信中で価格は500円(税込)です。

(C) Shiba Satomi
(C) ARC SYSTEM WORKS


【ロコレポ】 by ロココ試作型
INSIDEのゲームライターが3DSとiOSを中心に色々なソフトをプレイして、その魅力を伝える連載。RPGの魅力に目覚めたのは、ファミコン版『ウィザードリィ』。好みのゲームな場合にテンション上がり過ぎるのは許して…。
Twitter:@Rococo_TestType
《ロココ試作型》
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