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異なる文化に対応するためにはウェブ技術が必要 ― 社長が訊く最新号で明らかになった『Nintendo TVii』の試み

任天堂は12月11日、社長が訊く「Wii U」Nintendo TVii篇を公開しました。今までの任天堂ではなかった新たな試みも多く取り入れられた開発の秘話と、今後の展開が語られています。

任天堂 Wii U
社長が訊く「Wii U」Nintendo TVii篇
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任天堂は12月11日、社長が訊く「Wii U」Nintendo TVii篇を公開しました。今までの任天堂ではなかった新たな試みも多く取り入れられた開発の秘話と、今後の展開が語られています。

『Nintendo TVii』はWii U GamePadを電子番組表として利用できるサービスです。実はこのサービス、企画自体は早期から立ち上がっていたものの、実際に具体化されるまでにはかなりの時間を要したのこと。その要因として語られているのが、同社の岩田社長が決算の質疑応答でも話していた「各国のテレビ文化の違い」です。

例えば日本とアメリカを比べると、日本では地デジの視聴が8割を超え、BSを含めても10数局の中からお茶の間で楽しむ受動的なサービスという側面が未だに強いですが、アメリカはケーブルテレビが発達し、多チャンネル契約が当たり前で、岩田社長曰く「専門化、細分化が、日本の比ではない」とのこと。また、VODの発達も違いの1つに上げられています。

ということで、試行錯誤の結果、各地域で統一のアプリケーションを作るのは難しいということで、Webkitを利用し、ブラウザー的なアプリにして、サーバー側でサービスを実装する仕組みになりました。岩田社長は「任天堂は、これまで、ゲーム機の側で動いているクライアントのソフトウェアをつくり込むことを得意としてきた会社でしたし、WiiやニンテンドーDSiショップなどウェブ系技術で実装したサービスでは使い勝手や操作性が犠牲になっていた」と話し、意欲的な挑戦であったことがうかがえます。

岩田社長は「異なる文化すべてに対応するにはウェブ技術を活かしたつくりかたしかない」と語りつつも、どこかでネイティブアプリよりは操作性は失われると考えていたそうですが、デバッグ担当からはどこにウェブ技術が使われているか分からないほどの操作感になったということです。

また、手元で電子番組表を見られるということで、テレビの視聴を中断せずに番組の選択が可能になり、視認性を高めるために、特殊なフォントを採用しているということです。また、多くの視聴者は2~3時間後の範囲で視聴番組を決めるというデータをもとに、2時間の範囲が見やすいようにデザインしたそうです。他にも、Wii U GamePadでの文字入力のしやすさ、情報の豊富さなども、魅力だということです。

先ほどもお伝えしたように、アメリカでは多チャンネルなため、多くのサービスを横断して番組をまとめて検索できる「ユニバーサルサーチ」という機能を搭載しています。一方日本では、番組表に地デジ・BS・CSの3波の番組を全て表示できるようにしたところ、さすがに表示処理ができなくなってしまったため、放送中の番組をまとめて表示する機能が搭載されています。

また、受動的な視聴者が多い日本のユーザーのために、1人1人が興味がありそうな番組を提案する機能をチームラボの「レコメンドエンジン」を採用して導入しています。なお、オススメはユーザー単位ではなくWii Uで管理されるそうです。これも日本のテレビ文化を配慮してとのこと。ちなみに、オススメの精度は他のユーザーのデータも蓄積されるため、多くのユーザーが使用すればするほど精度が高まるそうです。

今後は「Miiverse」との連携機能を搭載し、ある番組についてリアルタイムで投稿が流れるようなタイムラインを実現させたり、サッカーの日本代表戦ではわらわら広場を真っ青なサムライブルーに染めたりしていきたいとのこと。また、ニーズや時代の流れに合わせてアップデートされていく予定だそうです。

最後に岩田社長は「これまで手段がなくて気づかなかった面白いものと出会うチャンスが増えるのが、今回のサービスの面白いところかな」とNintendo TViiを評価しています。

社長が訊く公式サイトでは、この他にも、開発の裏話や今後のテレビ業界の話も語られています。ぜひごらんください。
《宮崎 紘輔》

タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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