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ゲームの未来を示した2012年のトレンド・・・「ゲームウォーズ 海外VS日本」第27回

古代マヤ文明は、2012年12月人類は滅亡すると予言している。世界にとって大きな区切りとされている年に、ビッグサプライズをもたらすゲーム産業のノアは生まれただろうか?

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古代マヤ文明は、2012年12月人類は滅亡すると予言している。世界にとって大きな区切りとされている年に、ビッグサプライズをもたらすゲーム産業のノアは生まれただろうか?

決定的なサプライズをもたらしたとは言えないが、恐らくこの先の“未来のゲームトレンド”となるかもしれない、いくつかのニュースがあった。

今回の記事では、2012年を振り返りながら幾つかの変化の例を取り上げ、今後ゲームがどのようなシナリオを描き、世界中のゲーマーに影響を与えていくのかということを、私なりの観点で考察してみようと思う。

■タッチスクリーンとモバイルゲーム

タッチスクリーンは、モバイルデバイス・タブレット端末において日々そのサクセスストーリーを更新し続けている。欧米・日本でのスマートフォンとフィーチャーフォンの割合は、今でもフィーチャーフォンの方が高いが、逆転することは目に見えている。この傾向は、Google Playの利用者数と収益を爆発的に伸ばすことに繋がった。多種多様なデバイスに対応したアンドロイドが、モバイル・デバイスシステム世界No.1へ導いているのである。

ゲームシステムとしてのAndroidとApple iOSは、任天堂3DSやソニーPS Vitaなどの携帯ゲーム機をやがて上回るだろう。スマートフォンやタブレットなどで販売することには、多数の利点がある。独立系やインディーズ開発者、また日本のコナミやセガなど大手企業が、軒並みこれらのプラットフォームでの開発に集中するのも不思議ではない。

しかし、“タッチスクリーンのみのデバイス”でゲームを楽しむことに、ゲーマーは満足しているのだろうか?カジュアルゲーマーの需要は満たせたとしても、コアゲーマーは、それだけでは間違いなく満足しない。また今後は、ゲーム開発者がどのようにタッチスクリーンデバイスの有利性を最大限に引き出し、コアゲーマーにアピールできるかという点にかかっていると考える。

現在の日本の携帯ゲーム機は、未だリアルなゲーム体験に偏りすぎている。Google PlayやApp Storeではカジュアルゲームまたは、AAAタイトルを各デバイスサイズに縮めて移植したものばかりだ。コアゲーマーを魅了するためには、パブリッシャーはタッチスクリーン向けゲームを基礎から制作し、オリジナリティーがあり独創的な体験を提供できるゲームでこのゲーム市場に参戦する必要があるように思う。

また欧米で始まりそうな一つの潮流は、モバイル・デバイス向け周辺機器とコントローラーだ。多くの企業が、タブレット端末向けハードコアゲームのコントローラー開発に参戦するだろう。Wikipadは、革新的な第一歩を踏み出したコントローラーの代表格だ。AndroidでGrand Theft Auto IIIをプレーすることが可能となった。コントローラーの登場によって、コアゲームがカジュアルゲームとともに、同じ端末でプレーされるようになるという動向は、今後も続くであろうと推測している。

■クラウドゲーミング

クラウドゲーミングとは “ゲーミングオンデマンド”とも呼ばれるもので、ゲームにおけるオンデマンドサービスに他ならない。従来型の配信に比べ、幾つか利点がある。

1. 別の場所にあるサーバーを介してゲームをすることで、ビデオ/オーディオディスプレイが備わっているだけの端末でも、ハイスペックのゲームを楽しむことが可能になるかもしれない。ただし、高速インターネットへのアクセスが可能な環境が必要になる。

2. プラットフォームの独立性と、幾つかの異なるデバイスからゲームの続きを楽しむことができる。ユーザーはデバイスを接続すれば、どのデバイスからも即時にアクセスでき、あらゆるデバイスやどのような場所からでもプレーすることが可能である。なぜならゲームが、デバイスからデバイスを通してユーザーの後を追ってくるからだ。これが可能になればゲームデザイナーは、ユーザーに新たなゲーム体験を与える全く新しい形のゲームを創造し、同じゲームでも異なるデバイスによって、違った景色やモデルを楽しむことが可能になる。

3. 海賊行為防止。ゲームをダウンロードするのではなく、他の場所のサーバーを介してプレイすることで海賊行為防止に繋がる。また中国や韓国などの従来オンラインビジネスが成立しがたかった顧客層とパブリッシャーとの接続が可能にもなる。

4. ハードコアタイトルに、従来と異なる収益方法を付け加えることができる。フリーミアムや広告による収益方法である。それに加えて、クラウドゲーミングでは、過去のタイトルでも再び収益を上げることを可能にする。欧米や日本の中古品マーケットは現在も人気があるが、パブリッシャーとしては、そこから恩恵を受けることができない。

現在、主力なクラウドゲーミングは、競争関係にある2つの企業GaikaiとOnLiveが独走している状況だ。SonyがGaikaiを買収し、オープンな思索を繰り広げ、OnLivesのサービスは(仮説ではあるが)TVやPC、またはタブレットや携帯端末で直接使用することが可能だという。

この他にもBig Fish Unlimited の発表をしたBig Fish Games などもクラウドゲーミング市場の列車に飛び乗った企業の一つである。提供するゲーミングサービス100+ gamesはPC、携帯端末、そしてインターネットに接続可能なTVへのストリーミングが即時に可能である。

これらのクラウドゲーミングの未来には2つの要素が必要である。

一つは、ゲーミングサーバーや(モバイル)インターネット・ネットワークのスピードなどのストリーミング技術配信。今のところ恐らくは、日本を含む海外の主要都市のネットワークインフラがクラウドゲーミングに向かおうとしているだろう。

そしてもう一つは、独占的な主要タイトルのサービス提供だ。現在のセレクションが含むのはマイナー、または昔からあるタイトルのみで、サービスが生き残るためには新たなタイトルの独占権を獲得することが不可欠だと言えるだろう。

もしパブリッシャーがヒットタイトルを制作し上手く収益を上げることに成功すれば、サービス利用者は付いてくると予測される事で、クラウドゲーミングが未来のゲームプレーの主流になるだろう。

■Ouya

Ouyaという言葉を、まだ耳にしたことがないという人は恐らくいないのではないだろうか。Kickstarterによって1ヶ月で支援者の数63,416人、融資額$8,596,474を受けて誕生したアンドロイド4.2の無料ベースのゲームコンソールである。Ouyaは、主力なコンソールとして市場に踊り出るだろう。ここにも新たなメリットが存在する。

1.ハックが可能で、コンソールのパフォーマンス向上のためハッカーたちが公式に招待を受けている。

2.(理論上)Google Play全てのゲームプレイ可能となり、1000以上のライブラリーからフリーゲームを選ぶことができる。リアルなゲーム体験をするために携帯端末でのプレーを好まないプレーヤーに適している。

3.上記の利点を網羅しつつ、OnLiveを通じてゲームのストリームが可能。

ただし、コンソールの革新性だけですべてを一変させることはできない。そこにはいかなるタイトルが集まるかが、もちろん重要だ。注意深く監視し続ける必要もあるだろう。

まず、Ouyaには(リアル)コンソールゲームが必要であると考える。Google Playにあるほとんどのゲームはタッチスクリーン前提で開発されているため、Ouya専用のタイトルはやはり必要となってくる。が、もしこのシステムが新たなゲーム体験を提供できるのであれば、人々はここへ飛びつくと私は信じている。

何より、AndroidにはAAAのタイトルはない。Ouyaの成功は、大手パブリッシャーや開発者が、このシステムの開発にフォーカスするかどうか、またOuyaのデザイナーが、OnLiveと協力しゲームのストリーミングをどれだけスムーズに行うかにかかっている。これができなければ、悪循環を作りかねない。なぜなら大手開発者は、十分な収益が見込める程コンソールの規模が成熟していなければ参入しないし、またユーザーは、そこに面白いものがなければ興味を示さない。

もうひとつの懸念点は、Ouyaがゲームをリビングへ、TVへ、という考えのもと開発されているとはいえ、ゲームは確実にポータブルへと向かっていることだ。携帯端末向けにデザインされたGoogle Play 作品を、持ち運び不可能なTVで遊ばせるOuyaは、今の流れとは真逆の方向に進もうとしている。Wii Uのスクリーンコントローラーさえも携帯型に変化しようとし、毎日何千ものタブレット端末が売れているのだ。Ouyaは業界にサプライズをもたらしはするだろうが、長い目で見た場合に、市場での競争力を保つにはポータブルでの展開を考えざるを得ないだろう。

■まとめ

未来のゲームトレンドは、これまでに述べたどこかに落ち着くだろうと思う。

今後おそらく、モバイルゲームでも、カジュアルゲームとともに多くのAAAタイトルを目にすることになる。またより多くの周辺機器によって、ハードコアゲーマーがワイアレスネットワークを介してストリームされる大好きなゲームをどこからでも楽しめるような日がくるかもしれない。それとも今後、全く新しいサプライズがあるのだろうか?
《イバイ・アメストイ》
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