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【CEDEC 2012】進化を止めないゲーム開発環境「Unity」の最新アップデート

「Unity」は世界的にユーザーを拡大している統合開発環境です。ビジュアル環境で、実際にゲームを動かしながら調整できるという生産性の高さや、利用へのハードルが低い事から世界中にユーザーが存在し、規模の大きなコミュニティを形成していることが大きな特徴です。

ゲームビジネス その他
超満員だったセッション会場
  • 超満員だったセッション会場
  • Unity概要
  • 3人の創業者
  • Unityの利用者は100万人を突破
  • 世界の従業員は200人、しかも国籍は25以上
  • 開発風景
  • オフィス風景
  • 2011年の日本のUnityは記録的成長
「Unity」は世界的にユーザーを拡大している統合開発環境です。ビジュアル環境で、実際にゲームを動かしながら調整できるという生産性の高さや、利用へのハードルが低い事から世界中にユーザーが存在し、規模の大きなコミュニティを形成していることが大きな特徴です。スマートフォン向けの開発で注目されましたが、家庭用ゲーム機やブラウザゲームなどの開発にも広がりを見せています。

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の大前広樹氏はCEDEC 2012最終日の22日午後、「Unity4と加速するゲーム開発」と題して次期バージョンの「Unity4」や今後の可能性について語りました。

まず大前氏は「Unity」の現状を説明。利用している開発者は100万人を超え、ほぼ毎日使っている開発者も30万人を超える規模となっているそうです。「Unity」を利用して作られたゲームをブラウザ上で遊ぶ為のプラグインのインストールも1億2000万インストールを超え、毎月500万ずつ増加しているそうです。同社のオフィスは昨年設立された日本を含め世界9カ国・10箇所、従業員は200人まで成長しています。

日本市場でも2011年が1600%という記録的な成長だったのに続いて、2012年も200%と引き続き高い成長を続けているそうです。日本のみならずアジア市場で躍進を続けていて、各国別のユーザー数では米国が約20%で引き続きトップなものの、2~4位が中国・韓国・日本と合計で約23%を占めるようになっているそうです。日本法人ではウェブでの各種ドキュメントの整備やフェイスブック上でのコミュニティ、ゲームジャムへのサポートなどを積極的に実施しています。先日開催されたUnity Asia Boot Campの東京での一部セッションの動画の無料公開もスタートしています(http://vimeopro.com/unity3djp/unity-asia-bootcamp-tour-tokyo-for-the-public)。

採用タイトルも続々増えていて、『Lord of Knights』(Aiming)、『鬼武者Soul』(カプコン)、『ケリ姫クエスト』(ガンホー)、『ダークメナス』(グラスホッパー・ユニバース)、『ゆるロボ』(ゲームポッド)、『オーバーターン』(スタジオ斬)など有力タイトルでも活用されています。

このように利用が大きく広がっているUnityは単なる統合開発環境ではなく、開発プラットフォームとしての機能を持ち始めていると大前氏は言います。世界で100万人の開発者が同じ環境、ワークフローで開発を行なっていて、社内外での分業が飛躍的に容易になります。Unityがゲーム開発者にとっての共通言語として普及しつつあると言えます。

今後登場予定のメジャーバージョンアップのUnity 4では、「Mecanim」と呼ばれるヒューマノイドアニメーションシステムが登場するほか、モバイルでのグラフィックス機能強化、DirectX 11、Linux対応などが特徴となります。セッションでは特に「Mecanim」について詳しく紹介され、ノードツリーベースで柔軟なアニメーション合成を行う様子や、強力なリターゲティング機能で人間のアニメーションをゴーレムに適用する様子などが紹介されました。

また、Unity 4でのリアルタイムレンダリングの威力を示す、Passion Picturesとのコラボレーション作品「Butterfly Effect」というデモも上映されました。



Linux対応については『Humble Indie Bundle』の例では約20%がLinuxユーザーだったことや、クラウドゲーミングの進展があればウェブサーバーで多数採用されているLinuxで動作できるというのは魅力的だろうという理由が説明されました。

さらに、次々バージョンとしてUnity 4.xも既に視野に入っているとのこと。モバイルでの高速で新しいゲーム用GUI、入れ子にできるPrefab、タイムラインエディタなどの機能が追加されるほか、「Asset Store: Online Service」という新たなストアも登場します。これは、Inmobi、games analytics、PlacePlay、Virtual Piggyなどゲーム内広告やアイテム課金、分析機能など収益化に繋がるサービスをゲームやアプリに容易に導入するための仕組みで、Unityがゲーム開発から収益化までをカバーすることになります。

ちなみにこのセッションの直後、アムステルダムではUnityのプライベートイベント「Unite 2012」がスタート。こちらのイベントではUnity 4からWindows 8、Windows Phone 8をサポートすることが正式発表されました。

イベントでは3人の創業者のほか、22 Cansという新たなスタジオを創業したゲームデザイナー、ピーター・モリニュー氏が登壇。Unityを用いて開発が進められている新作『Curiosity』について話をしたそうです。これは同社が進める22の実験プロジェクトの一つで、この開発で得られた経験を更に大きな作品に活用する意向とのこと。数百万人が同時に遊ぶことをテーマとしているそうです。

「Unite 2012」の基調講演の様子も公開されていますので気になる方はチェックを。

《土本学》
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