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ゲームエフェクトの職人が語る「エフェクトの意味」とは?

ゲームビジネス その他

アグニ・フレア代表取締役・稲葉剛士氏
  • アグニ・フレア代表取締役・稲葉剛士氏
  • 2010年に設立され、数々のタイトルにかかわってきた
  • フリーのエフェクトデザイナーとして活躍
  • エフェクトは画面に意味と華をもたらす演出の最終工程
  • エフェクトは6種類に棲み分けられる
  • 非現実的なエフェクトはネタ出しから始まる
  • 現実的なエフェクトは実写から要素を抜き出す
  • 10種類以上の効果を重ね合わせてエフェクトを完成させる
14日、東洋美術大学にて「ゲームエフェクト・セミナー」が開催され、約90名の参加者が集まりました。その第三部では、アグニ・フレアの稲葉剛士社長がプロのゲーム開発者としての立場から、ゲームエフェクト制作の現状やテクニックについて講演しました。

稲葉氏は高校時代に旧コーエーでデバッグのアルバイトをふりだしに、デジタルハリウッドでCGを勉強し、卒業後はフリーのエフェクトデザイナーとして活躍。『サクラ大戦』シリーズや、『エルシャダイ』などのタイトル制作に携わってきました。2010年2月にはアグニ・フレアを創業し、リアルタイムエフェクトやキャラクターモーション、UIなどデザイン全般に特化した開発スタジオとして活動。これまでに20タイトル以上の作品開発を手がけています。

こうした中で、稲葉氏は「アクロアーツ」(セガ)、「エフェクトメーカー」(任天堂)、「MTフレームワーク」(カプコン)、そして「BISHAMON」(マッチロック)など、さまざまなエフェクトツールや、それらが組み込まれたゲームエンジンに触れてきました。これらのツールには、すべて制作したプログラマーの個性が反映されているといいます。もっとも、ツールが変わってもエフェクトの本質は不変です。稲葉氏はエフェクトを「演出の最終的な仕上げの作業で、画面に『意味と華』を持たせるもの」と説明しました。

続いて稲葉氏はエフェクトを「自然的か空想的か」「インゲームか、カットシーンか」「アニメ的かリアル的か」の3軸で分類し、それぞれに適した作り方があると説明しました。たとえば爆発のエフェクト一つとっても、空想的な表現では、まずその世界における「爆発表現」とは何なのか、さまざまなネタ出しと資料の収集が必要になります。またエフェクトの作成では一連の流れに導入・展開・山場・余韻といったドラマ性が必要で、多くのゲームやアニメの表現を分析することが参考になるそうです。

一方でリアルな爆発エフェクトの場合は、数多くの実写資料を当たって、爆発を表現する要素を抽出していきます。光、煙、破片、火の粉などです。その後、各要素をツール上で再現して合成していきます。この時にクオリティアップの秘訣として、火の粉のマテリアルカラーが四散に応じて変化するなど、光源処理について気を配ると、リアリティが格段にアップすると説明されました。

また現世代機ではBISHAMONで可能なポリゴン+テクスチャによるパーティクルエフェクト表現に加えて、シェーダーやポストエフェクトなどの処理を加えることも一般的だとしました。これにより3-4割ほど表現力がアップするそうです。

もっとも、これらはあくまで「素材」の引き立て役にすぎません。エフェクトを作る上で今も昔も変わらないのが「ビルボード」と呼ばれる手法です。これは常にカメラに正対して表示される、四角形の透明な板ポリゴンのこと。これにテクスチャを貼り付けてアニメーションさせることで、エフェクトの基本ができあがるというわけです。稲葉氏は「ビルボードを極めるものはエフェクトを極める」といいます。

このほかエフェクトを手軽に作成するうえで、ランダム要素を加えるテクニックが紹介されました。例として示されたのが白煙です。最初は煙の玉が一直線に規則正しく流れていくだけだったものが、放出角度や放出間隔、大きさ、速度、回転や角度などのそれぞれでランダム幅を加えていくことで、あっという間にリアルな白煙が完成しました。

もっとも個々の値をオーバーにすると、逆にコミカルな印象を与えてしまうので、注意が必要だと言います。逆に理想のシルエットのエフェクトを表現するために、ランダムで生成されたエフェクトの中で良い物を選んで、特定の値を固定にするテクニックも紹介されました。

「エフェクトはCGのさまざまな技法が必要とされる、非常に幅の広い分野です」と稲葉氏は語ります。メッシュデータ、プラグイン、骨入れやウェイトモーション、Zソートや半透明、ブレンド、シェーダー、ポストエフェクト・・・。優れたエフェクトには、こうした複数の要素(場合によってはすべて)が組み合わさっています。

一方で初心者が独学で勉強する環境が、なかなか整っていないのも事実。特にエフェクトはアニメーションの要素が不可欠なため、紙面でテクニックを紹介しにくい難点があります。稲葉氏も『BISHAMON』などのツールになれる一方で、映画やアニメ、ゲームなどの表現をコマ送りで観察するなど、日常的な勉強を欠かさないことが重要だと補足しました。

最後に稲葉氏はエフェクトツールの重要性について、改めて強調しました。かつては、エフェクト表現はプログラマーとデザイナーが張り付きで、一つ一つ作成していくのが普通でした。しかし、これでは量産ができず、クオリティも低く留まってしまいます。

そこでエフェクトツールが開発され始めましたが、会社やラインごとにツールが異なっていると、デザイナーの実力が十二分に発揮されないケースもあるとか。そうした中で、国内で唯一、一般販売されている『BISHAMON』は貴重な存在であり、まずはこのツールでエフェクト制作になれて欲しいとまとめられました。
《小野憲史》

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