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「日本と海外におけるゲーマーにとってのリージョン制限」・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第22回

リージョン制限(いわゆる「お前の国には売ってやんねーよ」略して「おま国」)は、現在、世界中のゲームプレイヤーにとって決して目新しい物ではない。

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リージョン制限を掻い潜る具体的な方法はあまり見つかっていない。その結果、多くのゲーマーにお気に入りのゲームで遊べない、目当てのゲームがローカライズされて発売されるまで待たなくてはいけない等の状況を生み出し、発売元の悪いイメージがゲームコミュニティーに広がる要因となっている。このようにリージョン制限は、合法的にゲームを購入しようとしいているユーザーにとって不都合を生み出す場合が多い。そうして不満を持ったユーザーはゲームフォーラム等で文句を書き連ねたり、ゲームの購入自体をあきらめたり、時にはゲームやコンソールをクラックしてみたりするのだ。違法行為の元凶がリージョン制限にあるとまでは言わないが、それが大きな原因の一つになっているのではないかと感じる。

そういったリージョン制限の網を掻い潜ろうとするため、ゲーマー達は色々と工夫し、(法律を破るつもりはなくても)その行動が法律上ギリギリの境界線上にまで達する事がある。マルチプレイヤー制限やオンラインアクティベーションに関する一例をみてみよう。
一部のユーザーはそれらの制限を、VPNを介し別のIPアドレスになりすます事で回避している(なりすまし)。特定のリージョンで購入できないSteamゲームに関してはゲームを他のユーザーに贈与する事で回避しているユーザーもいる(ギフティング)。こういった行動がエスカレートした場合、インターネットプロバイダやSteamのような配信プラットフォームとの間で法律的な問題に発展するかもしれない。

リージョン制限を設ける理由は上で挙げたような良い理由が沢山ある。しかし同時にそれに反対する理由も同じほどあるのだ。インターネットと安いシッピングチャージで世界がより身近になり、ゲームマーケット自体が小さい物となった。特にデジタルダウンロードサービスは世界各国のゲームユーザーからアクセスされている。一昔前までは言語の違いがリージョンロックとしての役割を担っていたが、日本のゲームを好んでプレイする海外ゲーマーがいるように、2ヶ国語以上理解出来る人も増えてきている。すでにリージョンロックはナンセンスなものになりつつあり、ハッカー達を違法行為へと誘うものになっているような気がしてならない。

※5実際には両親の許可を得ずに他のリージョンから有害なゲームを購入しプレイしている子供もいるのではないかと私は睨んでいる。

新しいトレンドともいえるソーシャルゲームのデベロッパー達がもたらす競争の激化を老舗のゲームメーカーも感じているはずだ。顧客を手放す訳にはいかないだろう。ゲーム産業にとってオープンなマーケットを開く時が来たのではないだろうか?もちろん全ての顧客が違いを感じる訳ではないだろう。しかし新しい顧客の開拓に繋がるはずだ。

そしてオープンマーケットを開拓すれば、日本と海外の文化的ギャップを埋める橋渡し役を担う事も可能になる。それがもっとも重要な事ではないのだろうか?
《イバイ・アメストイ》
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