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【GDC2012】ティーンエイジャーの女の子がゲームデザイナーに!?

かつてTrilobyte社を共同設立、『The 7th Guest』や『The Eleventh Hour』を制作、さらにid softwareで『Quake III Arena』のゲームデザイナーなどを務めたGraeme Devine氏による講演「あなたのティーンエイジャーの娘が遊んでくれるゲームデザインとは」が行なわれました。

ゲームビジネス 開発
かつてTrilobyte社を共同設立、『The 7th Guest』や『The Eleventh Hour』を制作、さらにid softwareで『Quake III Arena』のゲームデザイナーなどを務めたGraeme Devine氏による講演「Designing A Game Your Teenage Daughter Will Actually Play(あなたのティーンエイジャーの娘が遊んでくれるゲームデザインとは)」が行なわれました。

この講演には実際に彼の娘であるRoque Devine氏も参加、ステージ上が華やいだ雰囲気になりました。ちなみに彼女は生まれたころから父親のPCなどを触っており、ゲームも子供の頃から遊んでいるとの事。



現在のソーシャル/モバイルゲームにおけるティーンエイジャーの影響力は大きいものがあり、

・ティーンエイジャーの91%がソーシャルゲームを遊んでいる(「そして残りの9%がウソをついている」と会場を笑わせました)
・ティーンエイジャーのゲーム市場全体に占める売り上げの割合は44%
・2011年にはティーンエイジャーのスマートフォンの所有率は38%に
・13-17歳がオンライン課金した金額は2011年で3.15億ドル(!)

・・・との事。

Graeme氏は現在GRL Gamesという会社を運営しており、その最新作では娘さんの意見を大いに取り入れたそうです。この講演ではそこにいたる経緯が説明されました。

1) ClanDestiny
かつてGraeme氏が手がけたMacOSのパズルゲームの移植版ですが、Roqueさんの視点では「ガイドが無い、隠し要素も無い、グラフィックはホコリ臭いし、ゲームを買うのに無料体験版が無いのはありえない」とバッサリ斬られました。(彼女が言う「隠し要素」は現在のHidden Chroniclesを始めとする画面からオブジェクトを探すタイプのゲームのことで、現在FBでも最もポピュラーなジャンルの1つです)



2)Full Deck Solitaire
これまた元はMacOSのソリティアの移植、無料で遊べたので相当なヒットとなりましたが、当然無料なので会社にはほとんど利益をもたらしませんでした。彼女は「グラフィックがきれいなのと、私のiTunesに入っている音楽をBGMとして使える事、撮った写真を背景に使えるなどのカスタマイズ要素があるのが気に入っている。友達に見せたり、また遊びたくなる」と好意的なコメント。ちなみに、このカスタマイズ要素は彼女が父親に「難しいと思うんだけど…」と希望してGraeme氏が入れたものだそう。



3) Full Deck Poker Solitaire
ソリティアが成功したので、それほどコストをかけずに次のタイトルを作ろうとして生まれたタイトル、開発期間はわずか2週間ほどだそう。しかし、ユーザーのターゲティングが上手く行かず(前のソリティアが好きだったユーザーは「なんだ、ポーカーか」と遊んでくれなかった)、遊んでくれたプレイヤーの評価は高かったもののセールス的には失敗。彼女は「私ポーカーなんて遊ばないもの」とまるで相手にせず。

4) Full Deck Hold'em
テキサスホールデムというポーカーの一種に絞り込んで作ったタイトルで、人間っぽいAIのチューニングに時間をかけたそうです。ビデオチャット機能を実装し、Appストアのカジノカテゴリーで2011年の年間3位というヒットタイトルになりましたが、Roqueさんは「だからポーカーには興味が無いってば」と一蹴。

5) WORD Chat
文字を並べて遊ぶスクラブルのスマホ版、iPhoneならではの機能としてFacetimeも使えるようにしました。「グラフィックはシャープだし、元々ルールも知っていたのでゲームとしては悪くなかったけど、Facetimeは要らなかった。遊ぶときは下を向くし、カメラの事を意識するのは面倒だった。あと、フレンドに付き合わせてしまうのがイヤ、みんな自分の遊びたいときに遊びたいし」と不評。



6) Spider Swiper
これまでに200万DL以上を誇る、GRL社で2番目のヒット作。このタイトルではハイスコアを更新するとゲームが自動的にFacebookやtwitterにその事をポストするオプションがあったのですが、Roqueさんはそれがイヤだったそうです。「自分のタイムラインにスパムがあるみたい」との事。また、このゲームのアイコンに彼女の顔が(勝手に)使われていたそうで、それもイヤな理由なんだとか。

そして、Roqueさんがデザインに関わった「Dance City」の説明です。

元々ダンスゲームが好きな彼女、しかしモバイルで面白いダンスゲームが無いことから彼女が父親に相談して開発が始まったそうです。タイトルロゴもGraeme氏曰く「今まで無かったぐらいピンクが多い」との事。

彼女がインスパイアされたのは

・LMFAOのPV
・スペースチャンネル5 (彼女が6歳の頃ハマっていたそうです。Graeme氏も「去年のComic-Conでも未だにうららのコスプレをした人を見るし、あのストーリと掛け声を今でも簡単に思い出すことが出来る。素晴らしいゲームです」と絶賛)



・『Temple Run』



しかし、実際のゲーム製作はほとんど父親が行い、彼女はたまにチェックするのみ。プレイしている様子を父親に観察されるのがイヤだったようです。当然カスタマイズ要素は充実、近日中に公開予定との事。



・カスタマイズ要素はとても重要。特に自分で撮った写真を背景に使えるなどゲーム内で与えられる選択肢では無く、ゲームの外から持ち込める要素・チュートリアルは自然に、説明臭くないように入れて欲しい。
・無料で遊べる体験版が無いゲームは買おうと思わない
・フレンドのリアルタイムの時間を拘束しないようなフレンド要素
・Facebook, twitterへのフィードは本人が自分で出来るように

最後にRoqueさんはこのようにまとめて講演は終了しました。
《今鳩越前》
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