ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウス社長兼CEOはPlayStation Vitaの発売を2日前に控え、品川のソニーシティ(ソニー本社ビル)で報道陣とのラウンドテーブルに臨みました。
ハウス氏はスマートフォンやソーシャルゲームなど従来型の家庭用ゲーム機との競合が成長している点について、競合というよりむしろ取り入れるべき点があると述べました。
―――スマートフォンの成長でデバイスとしての家庭用ゲームに懐疑的な声も見られるようになりました
まず、日本国内について限った話をするとゲーム専用機には十分な市場があると考えています(PSPは今でも売れている)。
一方、海外ではPSPが多少チャレンジな部分があったのは、PS2時代からの単独のプレイを携帯にしたという点があったと思います。ここ数年でネットワーク化が進み、そうした機能を備えたデバイスが必要になっています。PSVitaはそれに応えたものになっています。
また、他社の例で恐縮ですが、米国のブラックフライデーでニンテンドー3DSが息を吹き返してかなり売れています。ですから、日本以外の國でもゲーム専用機、携帯ゲーム機のポジションというのはあると思いますし、誰も体験したことのないようなゲーム体験やネットワーク体験を実現するいい商品であれば売れるんじゃないかと思います。
―――ソーシャルゲームなどを遊ぶカジュアルなユーザーが増えているという点ではいかがでしょうか?
カジュアルなゲームユーザーに対してはPlayStation Suiteを広げることが有効な戦略になると考えています。
ソーシャルゲームで認識すべき点は、ゲームの形によってビジネスモデルが決まってくるという事です、あるいは逆もあります。米国子会社のソニー・オンラインエンターテインメントでは様々なMMOを運営していますが、従来型のモデルだけでなく、フリーミアムモデルも開始し、それで成功を収めています。ビジネスモデルはコンテンツに応じて検討していくべきです。
―――国内であればMobageやGREE、海外であればFacebookなどは巨大なゲームユーザーを抱えています。彼らは脅威にはならないでしょうか?
彼らは、我々がリーチできていないようなユーザーを獲得していると思います。ですから、競合性は余り無く、共存できると思います。
―――ビジネスモデルといえばダウンロード販売が主流になることで柔軟に設定できますね
PSVitaはユーザーさんによってベストな選択ができるような、柔軟な流通をやりたいと思っていて、パッケージとダウンロード販売を共存させていきます。これによって従来の流通に載せるにはリスクの高い独創的なゲームを販売することもできますし、パッケージでは常識的な値段が決まってしまいますが、ダウンロード販売であればある程度自由に決めていけます。おっしゃる通りで柔軟なビジネスモデルというものも実現できると思います。
―――他のデバイスやサービスの競争だけでなく、任天堂やマイクロソフトとの競争もあります。今後どのようなことが重要になっていきますでしょうか?
対Xboxや対Wiiという話で我々にとって非常に重要なのは自社スタジオの強さと考えています。ソニーのスタジオはグローバルに散らばり、非常に多くの才能を抱えています。西海岸のノーティドッグ(アンチャーテッド)、東京のポリフォニー・デジタル(グランツーリスモ)、多分聞いたことの無い街だと思いますがギルドフォードのMedia Molecue(リトルビッグプラネット)、ロンドンのロンドンスタジオ(SingStarやEyeToy)など全く異なるセンスが集っています。
また、ゲーム以外でもPS3はブルーレイの映画が見られますが、ネットワークコンテンツでは各国ごとに異なるコンテンツを提供しています。例えば米国ではNFLの試合を観戦できたり、欧州では他では見つからないようなインデペンデント映画を提供するサービスをやっています。こうしたサービスの面でも差別化をしていくのが重要だと考えています。
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