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【TGS 2011】全世界で10億人が遊ぶサービスを作りたい/グリー田中社長による基調講演

ゲームビジネス その他

 
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今年は3部構成となった東京ゲームショウ(TGS)の基調講演。そのトリをつとめたのが、SNSサービス「GREE(グリー)」を展開する、同社の田中良和社長です。基調講演は「ソーシャルゲームが起こすパラダイムシフト」と題して、日経BP者の品田英雄氏を聞き手に、対談形式で行われました。

冒頭、田中氏はTGSということもあり、ゲーマー遍歴と共に自己紹介を行いました。1977年生まれの田中氏は、小学生の時にファミコンに触れ、『ドラゴンクエスト』にハマった世代。中学・高校時代は放課後ゲームセンターに直行し、『ストリートファイターII』『バーチャファイター』で腕を磨く毎日。その一方でキューハチのゲームも楽しんだと言います。その後、大学生でWindows95の洗礼を受けました。

このように一般的なゲーム好きと、それほど変わらない思春期を送った田中氏。「東京ゲームショウには何度も遊びで来ていた」というほどで、今でもゲーム好きのDNAはうずくよう。基調講演では「正直、アウェー感を感じる」と漏らしつつも、「やっぱりゲームショウは楽しい」とコメントしていました。

■ソーシャルゲームと表裏一体で進んだ社会の変化

さて、その田中氏によると、現在のソーシャルゲームは「通信環境」「流通手段」「販売手法」という3つの社会変化と表裏一体で進みました。「通信環境」とは3G回線による常時接続環境。「流通手段」とは、いつでも好きなときに買えるダウンロード販売。そして「販売手段」とは少額課金が実現したアイテム課金販売です。

もっとも、これは過去の話。田中社長は「今後の5年間に起きる、もう一つの大変化」として、コンピュータのダウンサイジングの波を受けて、「スマートフォンを母体とした、統合コンピュータ基板が登場する」と分析。ゲーム業界も、こうしたIT業界の潮流を踏まえる必要があると語りました。

コンピュータの歴史を振り返ると、専用機と汎用機が互いに刺激を与えながら、DNAの二重らせん構造のように進化してきたことがわかります。専用機であるワープロと、汎用機であるPCの関係性などは、その好例です。ゲームもまた基調講演の第一部でCESA和田会長が示したように、専用機から汎用機へと領域を拡大させてきました。

もっとも田中氏は、これらは単純な対立軸ではなく、専用機と汎用機が両者の持ち味を生かして、共に市場を拡大させていけば良いと語ります。「ソーシャルvsパッケージのような、単純な対立構造には疑問を感じる」(田中氏)。

■ゲームを通して社会のイノベーションに貢献したい

一方で田中社長が予測するのが、スマートフォン自体が高性能・多機能化し、大量生産によって、無料に近い価格で世界中に拡散する時代の到来です。

ウェブ業界ではしばしば、アプリとウェブサービスの境目がなくなり、ウェブが全世界統一のプラットフォームになるという観測も聞かれます。キーワードはHTML5という記述言語です。サービスの母体がクラウドにシフトし、端末の役割がウェブの閲覧に限定されれば(リッチな通信環境が必須となりますが)、端末単価は劇的に下げられます。

ちなみに「端末はウェブ再生器」「サービスはクラウド」で実現したエンタテインメントが、まさにフィーチャーフォンによるソーシャルゲームに他なりません。これが普及したのは、日本が世界に先駆けて3G回線の整備と普及を行ったから。今後は世界中が日本のようになっていかない・・・と考える理由は、どこにもありません。

「まあ、iOSかAndroidか、はたまたHTML5が今後もスタンダードになるか否かはわかりませんが」としつつ、スマートフォンを中心とした環境がゲームに限らず、さまざまな専用機の機能を、急速に取り込んでいくのは確実と田中氏は分析します。こうした変化を踏まえて、サービスを考えていく必要があると言うわけです。

こうした観測のもとに、グリーは企業買収や提携拡大などを通して、世界展開を急ピッチで進めています。これもスマートフォンの爆発的な普及に伴う、社会のイノベーションに貢献したいから。パッケージvsソーシャルという狭い見方ではなく、こうした意識から、世界10億人に届けられるサービスを展開していきたいと意気込みを語りました。

余談ですが、この「10億人」という数字を聞きながら、2005年のE3にマイクロソフトのロビー・バック氏(当時)が、Xbox360の紹介で掲げたビジョンが思い出されました。10億人に先に到達するのはコンシューマが先か、それともソーシャルゲームが先か・・・という質問はナンセンスでしょう。昨今ではコンシューマのSNS対応も進んでおり、お互いがお互いの良さを取り込みつつ、両者で達成していただきたいところです。
《小野憲史》

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