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「ハンゲーム」で存在しないジャンルに挑戦、ピラミッド×NHN Japanによる新作『プラネットフロンティア』開発インタビュー

今夏、新展開を迎えた『ハンゲーム』のオンラインゲーム。『ブラウザ カルネージハート』『プラネット フロンティア』そして『 シュヴァリエ サーガ タクティクス』と、大型ブラウザゲームが続々と発表されています。

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今夏、新展開を迎えた『ハンゲーム』のオンラインゲーム。『ブラウザ カルネージハート』『プラネット フロンティア』そして『 シュヴァリエ サーガ タクティクス』と、大型ブラウザゲームが続々と発表されています。

特徴的なのは、これらがすべてコンシューマゲームを主力に開発してきたクリエイターと、NHN Japanとのコラボタイトルだということ。実際の開発風景はどうだったのか、話を伺いました。


■変化し続ける宇宙を再現した『プラネット フロンティア』

―――自己紹介をお願いします。

中尾: NHN Japanで『プラネット フロンティア』のプロデューサーをしている、中尾亮介です。

柏木: ピラミッド代表取締役副社長の柏木准一です。本作ではピラミッド側のプロデューサーとディレクターを担当しています。弊社は2001年にスタートした開発会社で、PSPで『PATAPON』シリーズや、アーケードの『DARIUSBURST』、Androidで『SILFIED Alternative』などの開発を行ってきました。他にはバンダイさんのデータカードダス系ゲームの開発などもやらせていただいています。

―――PCのブラウザゲームでも技術開発をされていますね。

柏木: 2006年から07年まで、弊社の公式ブログサイト「ピラミッド研究所」で、『HALLOHALLO』という、FlashベースのブログMMOゲームをテスト公開していました。これがご縁で、去年の春先にお声がけいただき、本プロジェクトにつながりました。常時接続できる環境の中で、みんなで遊べる空間作りは、会社としても興味があったんです。そこで、ぜひやりたいと。

―――『プラネット フロンティア』誕生の経緯を教えてください。

中尾: まず一つは、「ハンゲーム」で存在しないジャンルで挑戦してみたいということ、二つめは、韓国や中国、アメリカなど、海外でも通用するジャンルをという思いがありました。日本向けならファンタジーやRPGでも良いのですが、海外展開も視野に入れると、SFが適しているのではないかと。いくつか企画があった中でも、SFや宇宙を題材に、ピラミッドさんが蓄積されてきたFlashベースのMMOシステムを組み合わせたら、新しいゲームができるのではないかという思いがありました。

―――役割分担はいかがですか?

中尾: ピラミッドさんで開発を行い、弊社からはビジネスプランや運営プラン、オンラインゲームのノウハウなどをアドバイスさせていただきました。こうした機能を入れると継続率やARPUが上がるなど、お互いに知識を共有し合った感じです。

―――開発はスムーズに進みましたか?

柏木: 技術的な障壁は少なからずありました。最初に提示されたお題が「宇宙の創造」だったんです。

―――「宇宙の創造」ですか?

柏木:そうなんですよ。本作のコンセプトは「宇宙探索」です。宇宙船をカスタマイズして、深宇宙の探索に乗り出し、新しい星を発見して、資源を採集していきます。しかし、宇宙の全体図が最初から決まっていては、おもしろくない。そこで、それぞれの星に寿命があり、資源がつきると消失する一方で、別の場所で新しい星が生まれてくるようにしたんです。言うのは簡単ですが、作るのは大変でした。

―――なるほど、それは大変そうです。

柏木: 宇宙自体も広大なものにする必要があります。ワープ航法で一気に進むこともできれば、時間をかけて普通に移動できるようにもする。さらにエリア移動などでローディングが入らない、「シームレスに移動し続けられる空間」が求められました。ブラウザゲームとしては、他に比較するようなモノがない、独特なアイディアが詰まっています。

―――オンライン前提ということで、ゲームデザインに影響はありましたか?

中尾: 当初は「星を発見する」楽しさが不明瞭でした。そこで星の発見者が、その星の所有者になれるようにしたんです。そうすると新しい星を発見するために宇宙を探検するという目標ができます。さらに、他人の星で資源を開発しようとすると、ロイヤリティのようなものを所有者に支払うようにしました。こんな風に、現実でもあるような経済概念が入っています。

柏木: 現実の世界と違って、ゲームで領地の所有権を認めると、そこでゲームの進行が停滞する恐れがあります。ところが「変化する宇宙」を最初に作ったことで、うまくそうしたアイディアとマッチさせられました。

―――まさに「宇宙探検」なんですね。

柏木: 80年代前半に流行した『スタートレック』というPCゲームが出発点でした。他にもPC-8801やPC-9801の頃、宇宙をテーマにしたゲームが、たくさんありましたよね。あれの究極のスタイルを作りたいという思いがあったんです。

―――なるほど。

柏木: 新しい星を見つけるためには、それなりに遠方まで探索しなければなりません。そのためには、装備や経験が必要ですし、宇宙船もカスタマイズしなければなりません。ただ漠然と遊んでいては、星の発見者にはなれないんです。これまでのソーシャルゲームとは、ちょっと違ったプレイ感覚になっています。

―――お互いに勉強になった点はありますか?

柏木: コンシューマゲームでは、まずアイディアがあって、そのなかでどう遊んでもらうかを第一に考えますが、オンラインゲームでは運営を前提に組み立てを行う必要がありますよね。また、コンシューマーこれまではシングルプレイ前提のゲームが多かったんですが、それがマルチプレイ前提になって、どうコミュニティを作っていくのか。フレンドがいると、どんな影響が出てくるのか。それを強く考えましょうと言われたのが、新鮮でした。

中尾: 弊社で開発しているタイトルだと、比較的カジュアルなゲームが多いですが、今回は今までにないほど、こだわりが随所に感じられました。宇宙の表現だったり、宇宙船のカスタマイズだったり、深くゲームを遊ばせるために、技術面でも、遊ばせ方の面でも、弊社では出てこないような提案を数多くいただけました。

―――クロースドβテストの反応はどうでしたか?

中尾: チュートリアルなど、序盤のフォローが不足していて、戸惑われたお客様が多かったように感じられたのが反省点でした。ゲームに慣れている方であれば、自分で自由に進めて行く方もいらっしゃいますが、クエストやミッションを進めながら、徐々にゲームに慣れていかれるお客さまも多いですから。

―――特に基本プレイ無料では、そうしたユーザーさんが大半になりますよね。

中尾: そうなんです。そのため、オープンβテストから正式版にかけて、多少時間をかけてでも、チュートリアル的な要素をしっかり整備してきました。 もちろん、自分が好きなようにプレイすることもできますよ。

―――手応えはいかがですか?

柏木: 実は他に似たようなゲームがないんです。なので、おもしろさをうまく伝えるのが難しいんですよ。少なくとも、こういったゲームが好きな人には、すごく遊びこんでもらえるんじゃないかと思います。一方でカジュアルユーザーの方にどう楽しんでもらうかが、これからの課題ですね。一人でじっくり遊ぶこともできるし、みんなで軽く楽しめるようにもしたいと思っています。

―――アクション性も入っていますよね。

柏木: ガチなシューティングではなくて、マウス操作で簡単に遊べる、カジュアルなアクションシューティングです。ちょうどプチプチをつぶしていくような感じでしょうか。自分の宇宙船を育てていく感覚を、直感的に楽しんでもらうには、そっちの方が良いだろうと。

中尾: 遊び方はカジュアルですが、作りこみはしっかりしています。驚いたのは、弾のあたりを一つずつ処理しているところです。そのため敵の攻撃を弾幕で防御できたりします。弾幕同士がぶつかって、大勢の爆発がパチパチと宇宙にはじけ飛ぶ様は、見ていて爽快感がありますよ。

柏木: 仕組み的にはシューティングなので、土台は今まで作ってきたものと変わりません。その上で、お客様にあわせて、ゲームデザイン的な工夫をしているつもりです。ゲームに慣れてきたら、少しずつ難しくしていってもいいですね。そのうち究極の敵が登場するかもしれません。弾幕シューティングのように攻撃してくる敵も出せますよ。

―――宇宙船をカスタマイズできるのも、本作の魅力ですね。

柏木: いろんな部品をブロック遊びのように、組み合わせながら宇宙船を造りあげていきます。戦闘ユニットは防御力が高くても、燃料タンクの周りに配置すると、一緒に爆発する恐れがあるので、気をつけようだとか。もっとも、面倒だと思われると逆効果なので、あまりマニアックにならないように注意しています。

中尾: 似たようなブラウザゲームのなか、お客様の中にも、新しいゲームを遊んでみたいという欲求があると思います。そういう方々に、きちんとリーチできるものにしたいですね。

柏木: 深宇宙を探索すれば、それだけ新しい星が発見できる確率が高まりますが、難易度も上がります。ちゃんと準備をして、経験をつまないと、本当にゲーム内で遭難してしまうので、気をつけてください。最初にお伝えしておきます(笑)。

―――最後に読者に対してコメントをお願いします。

中尾: 宇宙を探索して、開拓するゲームということで、オンリーワンのブラウザゲームになっていると思いますし、そういったものが好きな人にはたまらないゲームになっていると思います。難しそうに感じられるお客様がいるかもしれませんが、ミッションなどを通して、プレイヤーをナビゲートする機能も充実しているので、ぜひ挑戦してください。そして銀河の果てまで行ってみていただければ。そこには何かがあります。

柏木: 探索のしがいがある宇宙を用意したので、存分に遊んでもらえると嬉しいですね。思わぬところで思わぬ発見があります。宇宙自体が移り変わっていくことで、「どこに行けば何がある」という情報がネットで共有されにくい作りにすることを、最初から意図していました。ぜひ自分だけの宇宙探検を体験してください。

―――ありがとうございました。

(C)NHN Japan Corp. /Pyramid, Inc. All right reserved.
《小野憲史》
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