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【CEDEC 2010】田中宏和氏が語るゲーム音楽、横井軍平、宮本茂

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【CEDEC 2010】田中宏和氏が語るゲーム音楽、横井軍平、宮本茂
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CEDEC 2010の初日13:30からの公演では、「Dub the future of game sound! ~ゲームサウンドの歴史と将来ビジョン~」と題した、セッションがDolby Japan株式会社 近藤弘明氏司会の元、株式会社クリーチャーズ 田中宏和氏より語られました。

田中宏和氏


田中宏和氏は、任天堂株式会社においてハードの開発は業務用から始まり、「ゲーム&ウォッチ」、「ファミリーコンピュータ」や「ゲームボーイ」など、ビデオゲーム黎明期から音源ハードの開発などを担当。任天堂を退社した現在は、『ポケットモンスター』や『大乱闘スマッシュブラザーズX』、「みんなのうた」などの楽曲などを手掛けてられているほか、株式会社クリーチャーズ代表取締役社長として活躍されています。また、同姓同名の「田中宏和」さんで活動する田中宏和.comでも名前を連ね活動されています。

セッションでは挨拶の後、ラブテスターを取り出し、故・横井軍平氏の遺言でと称して「初めて会う人とは必ずラブテスターで相性テストをしなさい」と司会の近藤氏とラブテスターをチェックしていました。結果は「40ラブでした…」と会場の笑いを誘っったところからスタート。

セッションタイトルにもあるDubという部分では、田中氏がレゲエが好きで、ベースとドラムだけ出す、感覚だけでギターを足したりなど、本当は仕上がっているものに対して、自由に手を加え抜き差しするというのが好きで付けたということです。公演では、田中氏の仕事においてのスタンスが中心語られていました。

まず、田中氏にとってのエンターテイメントとは娯楽であり、サービス業でもあるということで、これは「人を楽しませてなんぼ」という仕事をしているというベースの部分からの発言でもあり田中氏の基幹部分でもあるとのことです。

次に仕事においてのスタンスでは、固まらない、(いい意味で)常に安定しないでいようというのを意識しているそうで、これは自身の曲作りや、任天堂の仕事でも仕上がっていかないというのを意識して仕事をしているそうで、ゲームミュージックとの関わり方では、音を作っていくという考えではなく、また他者からは「ゲームミュージックですね」といわれることがあるものの、田中氏自身は“音楽”と思ったことはなく、ゲームをより魅力的にするためには、音がどうあるべきかという問題を考えること大事だと語られました。これは音楽であって音楽でなくてもよく、田中氏が入った頃のゲーム業界は、1人の人が音楽も作り、プログラムも、絵も作るという感覚であったため、作曲だけをするという感覚がなかからだそうです。

田中氏個人としては、チームプレイで仕事をすることが好きで、ゲーム制作などにおいては、多人数でやるのが好きだと語られていました。ゲームの現場では5人や10人などのチームになっており、そういう中で、自分がチームの一員となって仕事をするのが好きだそうです。

これはサウンドといえども、チームプレイは大事だという考えがあって、仕事は人という考え方は、チームプレイの良さとして、予期せぬアイデアが連鎖でおこったり、結果以上のことが生まれることが往々にして多いことからの考えだそうです。「任天堂もそうであったり、魅力のあるゲームを生む会社はそういう部分があった。いろんな人間がいて、時にはケンカもしながらも連鎖をしていい物を作っていく、それを大事にしたい。」と語られていました。

とはいえ、現在の大規模なスタッフを抱えて制作されるゲームでは、個々が細分化されていますが、音楽を作る人がしっかりどんなゲームかを知っていることが大事なことで、田中氏はこの部分に今でもこだわりがあると語られていました。

任天堂在籍時代の当時を振り返った話としては、音源の部分の話題があがりました。例としては、ファミコンとゲームボーイでは音源が違うといったことなどの当時の苦労話として上がっています。

ファミリーコンピュータもゲームボーイも音源は3音で構成されており、ファミリーコンピュータは4bitの16段階、ゲームボーイは3bitしか使えない。性能的な部分でゲームボーイは劣るが、自由度を上げるために、ファミコンは音を出すときに1フレーム単位で調整することが多かったところを、GBは1フレームよりも短い音を鳴らそう。そうすることで、現在でいうところのフリックやブリッジを可能にしていたといったそうです。

またゲームボーイでは右、左、真ん中といった疑似ステレオ仕様になっているため、音を鳴らす箇所をわけるといった工夫ができたとのことです。これによって、開発者によってはファミコンよりも自由度が増え、工夫次第で可能性が広がるのではないかということになったようです。

この音源部分の派生として、ゲームボーイや、ファミリーコンピュータの音源を使ったチップチューン的な遊びなどがありますが、田中氏は好意的に受け止めており、音源は少ないが、GBやFCの音源を使った音楽を楽しむ人が多く、ファミコン以前からそういう音に慣れ親しんだ人たちとも交流があるそうです。

現在においても人気のあるチップチューンですが、何が魅力なのか、どうしていまだに3音にこだわるかという議論では、3音で表現するとその人の表現が見える。一般的な音楽よりもチップチューンでアイデアや個性が出るというところが魅力とのことです。これは限られた制限の中で自分を発揮しようとすることで力が生まれるからだと語られていました。

また、近藤弘明氏から「昔のゲームにはBGMと効果音の明確な区切りがなかった。当時のハードウェアの限界をサウンドドライバなどソフトウェア的に補ったたのか?」という問いかけに対して、田中氏は「昔のゲーム音楽制作においてこだわったのは音量で、これは音が鳴る瞬間を意識しており、前の音が鳴ってる場面では、隙間などを意識して、効果音を作っていた」といいます。さらに、「音の長さは一緒ではあるものの、若干ではあるが、音の鳴る瞬間を何秒か開けることで、耳にはほとんど一緒に聞こえるものの、こういったこだわりを入れることで、新鮮味が残る」と語られていました。

プログラム的な処理としては、実際メロディを止めて効果音を鳴らす若干前の音を鳴らしたときに隙間を作り、その隙間の時間差をランダムで生成していたそうです。また、今のゲームサウンドについては、「当時は限られた音源のみで表現していたが、今は自由に作られたりサラウンドがあったりと自由でいいなと思います」と語られていました。

なお、田中氏は作曲にあたり、必ずテーマを決めており、たとえば、リズム、メロディ、生楽器使うなど、3つのテーマが決まるまでは作曲しないそうです。これを実践することで、作りやすかったり、テーマにブレない曲ができていくそうです。

ゲーム音楽以外の部分で、ポケットモンスターの歌についての話もあがっており、ゲームのときには意識しなかったが、歌詞がついてゲーム以上にゲームをしない人に聞こえる音楽を担当したとき、言葉にならない感情を維持したと語られていましtあ。これは簡単に口にできないような感情などを表現する場合、たとえば失恋したときに癒される音や、つらい思い出などがフラッシュバック時に言葉にできないが、呼び起こすような音楽などのことらしく、これらを常に心がけて文字に表れない文字、音に表れない音が魅力だということです。

そのほかにも横井軍平氏の話も出ており、横井氏のなにがよかったというと、絵を描く人を大事にしていたことだそうです。いろいろな場において実際に視覚化することでいろんな人が意見を出しやすくなる。そうすることで、人にさらされることでアイデアが生まれたり、アイデアがキャッチボールされて、それが連鎖していくことが面白いといった内容が語られていました。

また横井氏は常に無駄な部分を意識している。たとえば仕事が7、無駄が3、または8:2とあって、常に無駄を持っておくということが長く仕事をする上では大事な部分だと語られていました。これは現在でたとえれば、Googleにおいての20%ルールに近いものだそうです。

田中氏が横井氏から受けた影響は多く、ゲーム機を利用した特殊機器の企画、たとえばゲームボーイのポケットカメラなど、これは横井さんが辞められたのがきっかけで、横井氏が辞められてもできるぞという偶然の流れで生まれてきた商品だったそうです。

また任天堂退社後の『ちっちゃいエイリアン』は、赤外線通信の通信をしなくても蛍光灯とかに向けると雑音を拾うので、光の中に宇宙人がいるという遊びに使った商品となりました。これらは、横井氏からの影響もちろん、常日頃から商品を作るということを意識しないとアイデアは湧いてこないということから、田中氏から「作曲もそうだと思うが、常にアイデアを貯めておかないと枯渇してしまうので、常にやっていかなければならない。1曲を作ればいいというわけではなく、それは20曲くらい作った中から作られた曲であったり、1曲作ったらその曲から3曲分のアイデアが貯まらないといずれ枯渇する。試行錯誤の量が尋常じゃない。」と語られていました。

公演では、宮本茂氏の話も出ており、「宮本さんは徹底して考える人で、考えまくっている姿勢はすごい。当時仕事をしていたのは業務用で、こんなタイミングでこんなことを考えていたの? と驚くくらい、宮本さん自身がいいか悪いかに関してすごい動いてる。密度が濃い思考をされている。」と語られていました。

締めくくりとして、長いスパンでのゲーム音楽の歴史を見て、田中氏の見解としては、自分が変化していないと聞こえてこない音楽がある。走ってる物は走っている人にしか見えないということがあって、感情の上下が大事で、音にしてもゲームにしても、感情が大事。常にそれに対して敏感にしていくことが大事だと語られていました。

最後に田中氏は「意識しているわけではないが、エンターテイメントの世界で生きているということで、人を楽しませるということと、常に自分の気持ちが右往左往することが必要で、魅力あるゲームを作るということは一言では言い表せず、そういうものを作っていく仕事だからこそ、日頃から人を楽しませることを意識していくことが大事。これは時代に関わらず、エンターテイメントにおける大事なこと」だということが語られていました。
《鬼頭世浪》

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