『Mass Effect』『Dragon Age: Origins』といった超大作ゲームで知られるBioware。そのバイスプレジデントであるGreg Zeschuk氏は厳しい現状を以下のようにまとめています。
「たったいまAAAクラスの超大作を作ろうというのは、開発者たちにとって間違ったゴールです。これは私の世代では追い求めるものの一つでしたが、現在その可能性はより狭くなっています。10年前にEAの一部になることを打診されたらNOと答えたでしょうが、今なら情勢に合っていると考えます」
デベロッパー(開発会社)にとって独立を守ることは極めて大きな意味を持っているはず。大手の傘下に加わらないことである程度の自由が得られるのですが、これを投げ捨てることを考えるほどに市場は厳しいということなのでしょう。
映画界同様、ゲーム界でも超大作には華があります。ふんだんに予算をかけて作り込まれた世界観、思わず見入ってしまうビジュアル、耳に残る音楽・・・こうした要素は人を惹きつけます。いわばゲーム界の柱であるといっても過言ではないでしょう。
しかし世界は未曾有の不況のさなかにあります。可処分所得が減る中、娯楽費は切り詰められていきます。みんながゲームを買い控える中では、超大作といえど以前のようには売れません。一方でゲーム機は高性能化し、制作費は跳ね上がっていきます。超大作にとっては二重に苦しい状況なのです。
では、全てのデベロッパーが超大作を放棄すればどうなるでしょう。現実的な選択肢ではありますが、超大作を作る上でのノウハウが失われることが心配されます。その分雇用が減りますし、前述した「華」が減るのもあまりよろしくないでしょう。
2010年現在、ソーシャルな方面での仕掛け、つまり他人との関わりを促進したり、現実とゲーム世界をリンクする手法が注目されていますが、超大作にこうした要素を組み込んでみるのは有効なのではないでしょうか。
ただ、旧来の方法で作った超大作にソーシャルな要素を継ぎ足すだけでは効果も半減です。プロモーションにソーシャル的要素はあるものの、実際のゲームは一人で遊ぶ旧来型・・・では初動以降の効果は望みがたいでしょう。
ゲームデザイン自体にも、ソーシャルな要素が組み込まれている必要があります。ゲームをきっかけに他人と繋がり続ける、現実の話題や趣味が広がるようなものであれば効果は高いものとなるでしょう。
ゲームショップや家電量販店を不要とする意見が囁かれ続けてきましたが、ソーシャル的要素を追求するのであれば、リアルに人が集まれるこれらのスポットは大きな可能性を持ち得ます。これからの店舗に求められていくのはコミュニティーの形成力なのかも知れません。
Wedbush Morgan証券の試算によれば、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 2』では1200万人のプレイヤーが一週間に10時間をオンラインでのマルチプレイに費やしている、とされています。他人とゲームを遊べることには未だ大きな魅力があるのです。
超大作は超大作であるがゆえにターゲットを絞り込むような贅沢は許されないでしょうが、「人と人とが繋がること」は年齢性別を越えたセールスポイントになり得るのではないでしょうか。
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