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ナチュラルモーション社の技術がゲームのアニメーション制作を変える

近年急速に普及が進み採用実績が増えている3Dキャラクターアニメーションツール「morpheme」(モーフィーム)と、ダイナミックモーション合成エンジン「euphoria」(ユーフォリア)。

ゲームビジネス 開発
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近年急速に普及が進み採用実績が増えている3Dキャラクターアニメーションツール「morpheme」(モーフィーム)と、ダイナミックモーション合成エンジン「euphoria」(ユーフォリア)。これらを提供するのが英国のナチュラルモーション社です。今回、同社CTOのSimon Mack氏が来日し、その優れたテクノロジーの一端を紹介してくれました。

Simon Mack氏


■ナチュラルモーション社の技術

ナチュラルモーション社の技術は英国オックスフォード大学の研究室から生まれました。目指したのは、キャラクター歩行のアニメーションを自動生成することです。そのために人工知能(AI)と生体力学の研究を進め、環境に合わせて最適なモーションを選択して合成するという技術が生まれました。

一番最初の製品は「endorphin」(エンドルフィン)。この製品は主に映画やテレビCMの作成で用いられました。モーションをAIで実現することで、高価なモーションキャプチャーを全編で行う必要がなくなります。また、モーションキャプチャーを行いにくい、仮想世界での動きや、例えばクルマに轢かれる場面なども容易に作れるようになります。これは自然にゲームでも採用されるようになり、PS3、Xbox360、PCに最適化された「euphoria」へと進化します。

「euphoria」は『グランド・セフト・オート4』『StarWars Force Unleashed』『Red Dead Redemption』などのメジャータイトルで採用されていますが、次世代機以外の、例えばiPhone向けの『Madden NFL 2010』でも使用されています。

しかし、この頃から別の問題がある事に気付いたとSimon Mack氏は話します。それは、一般的なゲームメーカーのアニメーションのパイプラインが極めて貧弱であるということです。個別の場面にはモーションキャプチャーを用いて精緻なモーションが収録されているものの、それが完全にはゲームに反映されていなかったり、モーションとモーションの繋ぎの部分は不自然なものになっていたりということが散見されたそうです。さらに、アニメーションを構築するツールも確立されていませんでした。

■アニメーション生成ツールのスタンダードを目指す「morpheme」

そこで開発されたのが「morpheme」です。Maya、MAX、XS、モーションキャプチャーなどのデータをインポートし、そこにアニメーション、フィジックス、IKをブレンドツリーの形で合成していきます。グラフィカルなUIが用意されているのでデザイナーだけで作業を進める事が可能です。もちろん、リアルタイムに生成したアニメーションをチェックすることもできます。非常に強力で、多くのパターンが用意されている素材を組み合わせたり、パラメーターを調整するだけで、ゲームで使われる殆どのアニメーションを生成できるとのこと。

直感的なGUI環境が用意ノードをつなげていく事でアニメーションを生成する


生成したアニメーションは、ゲームに「morpheme」のランタイム(morpheme:runtime)を組み込むことでそのままPS3、Xbox360、Wii、PCで利用することができます。ランタイム自体も非常に軽量で、元々フィジックスを使うようなゲームであれば、プラスαの範囲で利用できるとのこと。『GTA4』のような大作ゲームでも利用されていることがそれを物語ります。また、全てのソースコードが提供されているため、自社でカスタマイズを施す事も可能です。

ゲームエンジンに依存することなく、どのような環境でも利用可能ですが、特に「Unreal Engine」「Emergent Gamebryo」「Trinigy」ではプリインテグレートが提供されているため、より簡単に組み込みが出来るとのこと。エンジンに付属のアニメーションツールよりも強力なため「morpheme」を使うメーカーも多いようです。

ちなみに、ツールに慣れるまでの期間は? と尋ねたところ「1カ月もあれば十分」との答え。もちろん日本語でのサポートが提供されるとのこと。

また、現在のところ「euphoria」と「morpheme」は別々のソリューションになりますが、今後は「morpheme」に統合していく計画だということです。「morpheme」がアニメーションの全てを扱うようなツールに進化していく構想です。

■全てのゲームに採用を目指す

昨年から日本や韓国市場にも参入し、日本ではIGM株式会社が取り扱いを始めています。既に幾つかのタイトルに採用され、リリースされるタイトルも少しずつ出てきているそうです。様々なパブリッシャーやデベロッパーと話をしていても、非常に前向きな声が多く「すぐに採用したい」という嬉しい話も多いとか。

最後にSimon Mack氏は「最終目標は全てのメーカー、全てのゲームでmorphemeを採用していただくことです。これだけ便利なツールは他にはないと確信していますので、こういうものがあるんだ、ということをまず多くの日本の方にも知っていただければと思っています」とコメント。これからの日本での普及に自信を見せてくれました。


ナチュラルモーション社の「morpheme」や「euphoria」は日本ではIGM株式会社が取り扱っていて、評価版は無償で提供されています。詳しい情報は公式サイトからご確認ください。


■IGM株式会社
弊社IGM 株式会社は、海外の優れたゲーム開発テクノロジー、ミドルウェアの日本代表窓口として日本のゲーム開発者の皆様にソリューションを提供。 また海外パブリッシャー・デベロッパーと、日本国内パブリッシャー・デベロッパーとのビジネスマッチングを推進。
《土本学》
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