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【E3 2010】『TROY無双』開発スタッフの9割はカナダ人、ジャンプをしない新たな「無双」

『真・三國無双』を皮切りに『戦国無双』『ガンダム無双』『北斗無双』と展開を続ける無双シリーズ。そんなコーエーテクモゲームスの次なる支流が、トロイ戦争を舞台にした『In Warriors:Legends of Troy』(日本名:『TROY無双』)です。

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【E3 2010】『TROY無双』開発スタッフの9割はカナダ人、ジャンプをしない新たな「無双」
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『真・三國無双』を皮切りに『戦国無双』『ガンダム無双』『北斗無双』と展開を続ける無双シリーズ。そんなコーエーテクモゲームスの次なる支流が、トロイ戦争を舞台にした『In Warriors:Legends of Troy』(日本名:『TROY無双』)です。



ギリシャ神話の一大叙情詩「イリアス」などで綴られているトロイ戦争がベースの3Dアクションで、開発はコーエーカナダ。E3のコーエーテクモブースで早速プレイしてみましたが、これが過去の無双シリーズとは、かなりイメージが異なります。



最大の特徴が「ジャンプしない」ということ。無双シリーズといえばジャンプしながらボタン連打で斬りまくるイメージがありました。しかし本作ではジャンプのかわりに盾で押し合い、相手の体制を崩して斬りつける、ガチなアクションゲームとなっています。

もう一つの特徴が、画面全体に飛び散る流血シーン。それもこれ、なまっちょろいエフェクト処理じゃなくて、わざわざシミュレーション的な計算がされています。いわゆる「無双乱舞」のかわりに「Fuly」(=覚醒)ボタンがあり、これを押すと流血量も倍増。キャラクターやグラフィックデザインもマッチョでバタくさく、過去にない強烈なオーラが画面全体から放出されています。



これはもう話を聞くしかない、というわけでプロデューサーの鈴木亮浩氏(写真右)と、ディレクターの門脇宏氏(写真左)に話を伺いました。鈴木氏は『真・三国無双』の初期から携わっており、門脇氏は『大航海時代online』のディレクターという経歴の持ち主です。

プロジェクトの発端は鈴木氏の「欧米で売れる無双シリーズをコーエーカナダで作って欲しい」というオーダー。これに対して門脇氏らが、現地のスタッフと共同で題材探しをするところからスタートしました。中には「ゾンビ無双」などのアイディアもあったそうですが、欧米向け第一弾、ブランドイメージなど、さまざまな側面を考慮して、最終的に「トロイ戦争」が題材になりました。

開発スタッフは9割がカナダ人で、ディレクターやグラフィックチーフなどの要所で日本人スタッフが参加。UAB TECMO KOEI Baltija.(リトアニア)のデザイナーも加わるなど、ミックスカルチャーで作られているそうです。門脇氏の役割も最終的な成果物を「ゲーム」としてまとめること。欧米で売れる物を、現地のスタッフで開発する姿勢が貫かれているようでした。

これが如実に表れているのが、前述の「ジャンプしない」「流血表現」という点。開発チームから「ジャンプ」よりも「盾で押し合い、相手を切り倒す」方が、爽快感があるという声が上がったのです。流血表現についても同様で、鈴木氏を驚かせたのだとか。このあたりが市場ごとの「ファンポイント」の違いということなのでしょう。

またアクションと共に今回、力が入っているのがストーリーテリング。ゲームはシングルプレイのみで、キャラクターやストーリー体験に重視がおかれています、

そのためメインのストーリーラインはカナダ人のテレビ映画監督が担当しました。マルタ島出身のイタリア系移民でギリシャ文化にも近く、ネイティブが遊んで違和感のない、骨太のストーリーになったそうです。キーワードはずばり「神々の悪戯」。神々の他愛のない悪戯が原因で巻き起こる人間界の悲喜劇という点で、すでに平均的な日本人の想像範疇外といった印象です。
 
主人公はプティーア王ペレウスと海の女神テティスの間に生まれた英雄アキレウスをはじめ、オデュッセウス、パリスなど6名が公開済み。ゲームは「ギリシャ編」「トロイ編」の2つがあり、ストーリーが立体的に語られるとのこと。コーエーのゲームに良くある「ゲームが実際の歴史に関心を持つきっかけになる」タイトルが期待できそうです。

一方で当初は無双エンジンをベースにプラスαのイメージでスタートしたはずが、次第にゲームエンジンをゼロから作り上げる方向に進んでいった誤算もあったとか。カナダ人スタッフは技術志向で、最初からゲームエンジンを作り込みたい欲求が強かったそうです。このあたり、企画重視の日本人とは正反対の指向なのでしょう。

ちなみにゲームプレイは、無双シリーズでおなじみの一騎で多数を相手にするものに加えて、1対1の戦闘、さらには巨大ボスとの戦闘も存在します。1対1のシーンでは、いわゆる「ロックオン」システムを装備。巨大ボスとの戦いは無双シリーズでは珍しい存在ですが、本作では要所で登場します。デモプレイでも女神アテナが乗り移った石像と戦うシーンが体験できました。

戦略目標は欧米市場ですが、日本でも発売が決定しており、流血などの残虐表現は調整される見込みです。とはいえストーリーラインに大きな変更はないと思われます。筆者も含めてトロイ戦争といえば脊髄反射的に「トロイの木馬」以上!という読者も多いかと思いますが、これを機会にゲームで触れてみるのも良いかもしれません。

(C) TECMO KOEI GAMES Co., Ltd. All rights reserved.
《小野憲史》
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