はじめのタイトルはParadox Interactive内制の最新作『Victoria2』。『Hearts of Iron』シリーズのゲームデザイナー、Johan Anderson氏の最新作で、19世紀の列強による植民地建設競争がテーマです。プレイヤーは同時代の多くの国家元首として富国競争レースに参加できますが、列強国(イギリス、フランス、ロシア、プロシア、オーストリア、オスマントルコ、アメリカ、スペイン)が大きな力を持っており、オススメです。
ゲーム期間は1836年から1936年の1世紀。1836年はテキサス独立戦争があり、テキサスがメキシコから独立を宣言してテキサス共和国を設立。日本は江戸時代の終盤で、翌年に大塩平八郎の乱が起こります。1936年はヒトラーが国井掲揚もかねてベリルンオリンピックを開催した年で、『Hearts of Iron』シリーズのスタート年。その合間に第一次世界大戦が勃発します。第一次世界大戦の原因が植民地分割競争の結果だったことを考えれば、非常に理に叶った設定です。
ゲームシステムは『Hearts of Iron』シリーズをベースに、セミリアルタイム方式で進んでいきます。『Hearts of Iron』は戦闘がテーマでしたが、『Victoria2』のテーマは内政と帝国創設。メインのインターフェースは「Military」(軍事)「Production」(生産)「Budget」(予算)「Technology」(技術)「Politics」(政治)「Population」(人口)「Trade」(輸出入)「Diplomacy」(外交)の8項目に分かれています。保守やリベラル、社会主義、共産主義、無政府主義、ファシストなどの思想レベルも細かく設定されています。
総じて歴史ゲー、パラドゲー好きのユーザーにはオススメの、かみ応えのある内容となっているようです。ポップアップが画面右側にまとめられるなど、『Hearts of Iron III』よりUIも進化している様子。2007年に発売された前作「Victoria: Empire Under the Sun」(邦題:ヴィクトリア 太陽の沈まない帝国)と同じく、日本語版の発売も進行中とのことでした。
■他社タイトルもユニーク
同社はスウェーデンで唯一のパブリッシャーで、歴史ゲームを中心に数多くの他社タイトル販売も手がけています。ブースでは大航海時代における南北アメリカの植民地建設競争がテーマの『Commander Conquest of the America』、十字軍遠征をテーマに、獅子王リチャード一世とサラディンの両方で楽しめるRTS『Lionheart Kings Crusde』、そしてヨットやモーターボード、はたまた沿岸警備船や大型タンカーまで操船できる『Ship Simulator Extremes』の三作が出展されていました。
『Commander Conquest of the America』は『Hearts of Iron』シリーズと同様の、セミリアルタイム戦略シミュレーションです。プレイヤーはスペイン、ポルトガル、イギリス、オランダといった7ヶ国から首相を選び、南北アメリカに植民地を建設していきます。「植民地」「お金」「軍事」「宗教」の4部門でバランスよく進めていくことがポイントです。ゲームシステムは「貿易」「資源管理」「海戦」が3本柱で、海戦は3Dグラフィックの美しい映像で、簡易RTS形式で進んでいきます。
これについて質問したところ、重々承知しており、日々刷新の努力をしているとのこと。その一例として首都ストックホルムにあるRoyal Institute of Technology大学と提携し、よりシンプルで大量のデータを直感的に扱えるUIの研究を取り組んでいるとのことでした。同社のエンジニアもほとんどが同大学の卒業生で、ここでもまた興味深い産学の事例がありそうです。
《小野憲史》