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【E3 2010】日本でも支持者増加中? 歴史ゲームのParadox Interactiveが4つの新作

第二次世界大戦をモチーフにした硬派な歴史シミュレーション『Hearts of Iron』シリーズのヒットで、日本でも知名度が上がってきたParadox Interactive。スウェーデンのディベロッパー兼パブリッシャーで、同社のタイトルは通称「パラドゲー」などと呼ばれています。

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第二次世界大戦をモチーフにした硬派な歴史シミュレーション『Hearts of Iron』シリーズのヒットで、日本でも知名度が上がってきたParadox Interactive。スウェーデンのディベロッパー兼パブリッシャーで、同社のタイトルは通称「パラドゲー」などと呼ばれています。

筆者もE3直前にシリーズ最新作『III』を購入し、ドイツで開始早々ポーランドに攻め込んで返り討ちにあい、わずか数ヶ月で降伏したり、マジノ線を越えて進撃してくるフランス軍におされる一方で、イタリア軍がパリを攻め落としたりと、奇天烈な歴史ドラマの数々にすっかりハマってしまいまいた。

そんな同社がE3で新作を4本発表するとのことで、自分の興味の赴くままに取材してきました。はたして本サイトの読者にどれだけ興味を引く内容かわかりませんが、たまには自分の関心外のゲームを遊んでみるのも、視野が広がってオススメです。

■19世紀の植民地分割競争『Victoria2』

はじめのタイトルはParadox Interactive内制の最新作『Victoria2』。『Hearts of Iron』シリーズのゲームデザイナー、Johan Anderson氏の最新作で、19世紀の列強による植民地建設競争がテーマです。プレイヤーは同時代の多くの国家元首として富国競争レースに参加できますが、列強国(イギリス、フランス、ロシア、プロシア、オーストリア、オスマントルコ、アメリカ、スペイン)が大きな力を持っており、オススメです。

ゲーム期間は1836年から1936年の1世紀。1836年はテキサス独立戦争があり、テキサスがメキシコから独立を宣言してテキサス共和国を設立。日本は江戸時代の終盤で、翌年に大塩平八郎の乱が起こります。1936年はヒトラーが国井掲揚もかねてベリルンオリンピックを開催した年で、『Hearts of Iron』シリーズのスタート年。その合間に第一次世界大戦が勃発します。第一次世界大戦の原因が植民地分割競争の結果だったことを考えれば、非常に理に叶った設定です。

PH1 19世紀から20世紀諸頭の植民地分割競争がテーマだ
PH2 欧州列強をはじめ、望むなら日本でもプレイできる
PH3 戦闘はRTS形式で、ユニットをドラッグ&ドロップで移動

ゲームシステムは『Hearts of Iron』シリーズをベースに、セミリアルタイム方式で進んでいきます。『Hearts of Iron』は戦闘がテーマでしたが、『Victoria2』のテーマは内政と帝国創設。メインのインターフェースは「Military」(軍事)「Production」(生産)「Budget」(予算)「Technology」(技術)「Politics」(政治)「Population」(人口)「Trade」(輸出入)「Diplomacy」(外交)の8項目に分かれています。保守やリベラル、社会主義、共産主義、無政府主義、ファシストなどの思想レベルも細かく設定されています。

総じて歴史ゲー、パラドゲー好きのユーザーにはオススメの、かみ応えのある内容となっているようです。ポップアップが画面右側にまとめられるなど、『Hearts of Iron III』よりUIも進化している様子。2007年に発売された前作「Victoria: Empire Under the Sun」(邦題:ヴィクトリア 太陽の沈まない帝国)と同じく、日本語版の発売も進行中とのことでした。

■他社タイトルもユニーク

同社はスウェーデンで唯一のパブリッシャーで、歴史ゲームを中心に数多くの他社タイトル販売も手がけています。ブースでは大航海時代における南北アメリカの植民地建設競争がテーマの『Commander Conquest of the America』、十字軍遠征をテーマに、獅子王リチャード一世とサラディンの両方で楽しめるRTS『Lionheart Kings Crusde』、そしてヨットやモーターボード、はたまた沿岸警備船や大型タンカーまで操船できる『Ship Simulator Extremes』の三作が出展されていました。

『Commander Conquest of the America』は『Hearts of Iron』シリーズと同様の、セミリアルタイム戦略シミュレーションです。プレイヤーはスペイン、ポルトガル、イギリス、オランダといった7ヶ国から首相を選び、南北アメリカに植民地を建設していきます。「植民地」「お金」「軍事」「宗教」の4部門でバランスよく進めていくことがポイントです。ゲームシステムは「貿易」「資源管理」「海戦」が3本柱で、海戦は3Dグラフィックの美しい映像で、簡易RTS形式で進んでいきます。

PH1 カリブ海を中心に南北アメリカ全域が舞台
PH2 貿易や資源開発で経済力を高めていく
PH3 海戦はリアルタイムで進み、海の描写が美しい

『Lionheart Kings Crusde』は十字軍遠征がテーマのRTSで、イスラエルからエジプトに続く中東の地が舞台です。ユニークなのは内政の要素をすっぱり切り捨て、戦闘だけに集中出来るようにしている点。その一方で経験値システムが導入されており、RPGのように部隊を成長させたり、アイテムを与えて強化させられます。グラフィックスエンジンもこなれており、拡大・縮小もスムーズ。リチャード一世とサラディンの両キャンペーンが収録されており、2人までのオンライン対戦もサポートしています。

PH1 十字軍遠征がテーマで戦闘に特化 
PH2 騎馬隊の突撃! 拡大縮小も自在だ
PH3 アイテムで部隊を強化もできる

『Ship Simulator Extremes』は世界的にも珍しい民間船専門のリアル系シップシミュレーターで、船舶タイプは32種類。モーターボードからヨット、客船、液化ガス船、さらには大型タンカーまで操船加能です。ハンブルグやニューヨーク、シドニーなど9つの港もリアルに再現。3つのキャンペーンシナリオが収録され、故障した船舶を曳航するなどのミッションをこなしていきます。24名までオンラインプレイができ、港湾火災などの複雑な状況をみんなで協力してクリアしていくといった遊びが楽しめます。

PH1 夕焼けに染まる海など描写が美しい
PH2 モーターボートでリゾート気分
PH3 船ごとにコクピット内部もリアルに再現

ちなみに開発元のVSTEPはデンマークのディベロッパーで、もともと船舶シミュレーター開発を手がけるシリアスゲームベンダー。現在でもシリアスゲームとエンタテイメントゲームの二本立てでビジネスを進めているとのことでした。

このようにニッチ分野に特化して、優れた内容のゲームを次々に発売している同社の戦略は、スウェーデンというお国柄も相まって非常にユニーク。もっとも同国には『バトルフィールド』シリーズで有名なEA DICEスタジオをはじめ、技術力の高い世界的なディベロッパーが存在します。ちなみに同社では25名の社員のうち13名が開発部隊で、メインデザイナーのJohan Anderson氏をはじめ、ボードSLGのマニアが揃っているとのこと。地元のボードゲームサークルと良好な関係を持ち、よく一緒に楽しんでいるそうです。

ちなみにパラドゲーといえば、残念ながら「UIが複雑なゲーム」としても周知のところ。先のイタリア軍によるフランス占領も、操作をあやまって西部戦線のユニットがいっせいにベルリン方面に退却してしまい、元に戻す方法がわからなかったことが遠因でした。これはこれで面白かったのですが、できればもっと直感的に遊びたいところです。

これについて質問したところ、重々承知しており、日々刷新の努力をしているとのこと。その一例として首都ストックホルムにあるRoyal Institute of Technology大学と提携し、よりシンプルで大量のデータを直感的に扱えるUIの研究を取り組んでいるとのことでした。同社のエンジニアもほとんどが同大学の卒業生で、ここでもまた興味深い産学の事例がありそうです。
《小野憲史》
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