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CEOに聞く「Scaleform GFx」の今後と日本市場攻略

先日、エピック・ゲームズ・ジャパンの設立発表会の席でUnreal Engine 3との連携を強化すると発表した、Scaleform Corporationのブレンダン・イリブCEO。来日に合わせてGameBusiness.jpでもお話を聞く機会がありました。

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先日、エピック・ゲームズ・ジャパンの設立発表会の席でUnreal Engine 3との連携を強化すると発表した、Scaleform Corporationのブレンダン・イリブCEO。来日に合わせてGameBusiness.jpでもお話を聞く機会がありました。

Scaleformでは3月から日本のカントリーマネージャーとして永山雄朗氏を新任し、再度日本市場の攻略にチャレンジします。

Adobe「Flash」でオーサリングしたファイルをゲームのUIで使用するためのソリューションとして世界で高い評価を受けている「Scaleform GFx」。今後はどのような戦略を持っているのか、そして日本市場をどのように捉えているのか、ブレンダン・イリブCEOに聞きました。

ブレンダン・イリブCEO永山雄朗氏


―――まず、これだけ「Scaleform GFx」が世界に受け入れられた理由を教えていただけますでしょうか?

最も重要なのは、より質の高いUIを作りたいというニーズが多かったということです。それから、これまでのUI開発ではデザイナーさんとプログラマーさん、「Scaleform GFx」とFlashであればデザイナーさんだけでUI開発を完結できます。そうすることによって、何度も繰り返しテストと再調整を繰り返す事ができるようになります。それを、高い質、短い期間、安いコストで実現できるソリューションだというのが大きいのではないでしょうか。

―――ゲーム開発現場にFlash使いというのはどれだけ居るものなのでしょうか?

市場によって異なります。北米や欧州ではFlashを理解する開発者が多いですね。また、韓国でも非常に普及率が高くて多くの開発者がいます。ただ、日本と中国では少し状況が違い、余りFlash技術者はゲーム開発現場には多いいません。ただ、Flashの開発者は世界で100万人以上います。その習得は決して困難なものではありませんので、Flash開発者の大小が普及の障害にはならないと思っています。また、Flashそれ自体ではまだまだゲーム開発に十分に足るものではないですので、そこはScalformが補い、ビジネスチャンスとしていきたいと思っています。

―――具体的な普及状況はどのようなものでしょうか

Scaleformは2004年に設立され、2006年から「Scaleform GFx」をリリースしました。これまでに600タイトルにライセンスされ、100タイトルが発売されています。また、ゲーム販売の上位20社中19社に採用されています。2008年からはアジア市場に特に注力をし始めていて、日本、中国、韓国にカントリーマネージャーを置いています。設立当初のアジアでの売り上げは全体の7%に過ぎなかったのが、現在では35%にまで増加しています。利用されるプラットフォームでは家庭用ゲーム機が60~70%、PCが30~40%です。これは地域によって変わり、韓国ではMMOに100タイトル以上採用されています。

―――今後の「Scaleform GFx」はどのような方向性を考えているのでしょうか

先般リリースしたバージョン3.2では3Diという3Dメニューに対応しました。Flashはまだ3Dに対応してませんが、Flashのエクステンションという形で提供しています。これによりZ軸のあるUIをマップ上に配置するような使い方ができるようになります。また、AMPというFlashのパフォーマンス測定ツールも追加されました。これによって時間軸でどのくらいのメモリを消費し、Action Scriptのどの行の処理にどのくらいの時間がかかったかもGUIツールで確認することができるようになりました。

―――プラットフォーム戦略としてはいかがでしょう

特にモバイルゲーム市場には着目をしています。2010年後半にリリースするバージョン4.0ではiPhone/iPad、Android、その他のスマートフォン、それからニンテンドー3DSにも対応したいと考えています。モバイル機器はパフォーマンスの面でチャレンジングですが、4.0では新しいレンダリングエンジンを搭載することで負荷を半分以下に抑える事を考えています。また、Flash10やAction Script 3への対応も当然予定しています。

―――アジア、特に韓国・中国で普及した理由を聞かせていただけますか?

韓国ではゲーム開発の全てがソウルに集中していて、開発コミュニティも強固です。私たちはScaleform Koreaを設立して、最初に2、3タイトルにライセンスをしました。すると瞬く間に100タイトルまでに広がったんです。彼らは結びつきか強く、口コミ効果ですね。それに新しい物に適応しようという考えは欧米よりも強いように思います。

一方の中国については、彼らは現地でのサポートを重視します。そのため、Scaleform Chinaのカントリーマネージャー(ベン・モーリー)はプログラマー出身です。必要があれば顧客の開発現場に入ってオンサイトでのサポートを行っています。また、中国ではゲームエンジンの「Gamebryo」(Emergent社)の普及が進んでいて、「Scaleform GFx」とのインテグレーションがポピュラーな一つの開発方法になっているという面もあります。中国では殆どの開発現場でサードパーティのゲームエンジンが利用されています。それも我々にとってはプラスになりますね。

―――では今後の日本市場はいかがでしょうか?

Flashはゲーム開発で使われておらず、サードパーティのゲームエンジンを利用する例は稀で、ミドルウェアの利用も低調です、日本市場は我々にとって非常に大きなチャレンジです。でも永山がいるので大丈夫でしょう(笑)。

一つのアイデアは、より緊密なコミュニケーションです。もっと積極的に日本の開発者に向けて「Scaleform GFx」の利点を普及していく必要があると思います。また、今でも日本語化されたドキュメントやウェブサイトがありますが、それを更に積極的に進めていきたいと思います。

永山: やはり日本人は海外のゲーム開発者と比べるとシャイな面があると思います。私はエレクトロニック・アーツやアクティビジョンで日本の代表を務めた経験がありますので、それを活かしながら、イリブも何度も来日した経験があり、日本の特殊性というのは理解してくれています。日本の状況をよく理解し、それに合わせて私たちも変わり、適切なソリューションを提供する努力をしていくのが重要だと思います。

また、これは日本市場のみの話ではありませんが、「Scaleform GFx」は各ゲーム会社が持っているUI技術を単純に置き換える存在ではなく、彼らが持っている以上のUIを実現するソリューションとして普及を図っていく必要があると思います。例えばバージョン3.2で搭載した3Di(3Dのメニューを実現)やAMP(メモリ使用量などの分析用プロファイラ)のような開発者にとって非常に便利な機能を追加することで、外部のソリューションを利用した方がより良いゲーム作りに繋がると理解してもらうことが必要なのではないでしょうか。
《土本学》
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