―― やがて話は雑談気味に他のステージに及ぶ。
私がもう1つやりたい、ポンプマンステージはどうだ。
私、CAPCOMさんの設定用原画を特別に見せていただきましたが、石油精製プラントが半分水に浸かっているような絵でした。
我々が本物のことを知りすぎているのがモチベーションあがらん理由かね。
下水処理場が舞台。でも実は本物を見たことないんです(笑)
ロックマンが飲み込まれる泡なんて、下水処理場のエアレーション(下水を綺麗にする微生物の働きを活発にするため、空気を吹き込むこと。)をヒントにしたんでしょうが、ちょっと泡が大きすぎますよね。
エアレーションは曝気(ばっき)とも言う。汚水処理の方法の一つに生物的処理があるが、多くの有機物(汚物)が微生物の生存と増殖で代謝・資化されることを利用し、下水中の溶解・浮遊性有機物を培養した微生物の餌とすることで水と炭酸ガス等に酸化分解する方式=活性汚泥法がその代表的なものである。
その際、酸素を供給、水中に溶解することで、主に好気性微生物を浮遊滞留させて水中の微生物有機物の分解を促進させるのだが、その際水槽の底のほうから空気を送り込むことをエアレーションと呼んでいる。ほとんどの処理場で主処理(二次処理)工程として採用されている・・・前田建設が真面目な建設会社でもあることが、おわかりいただけました?
これ、もはや水ちゃうんやないですか。ロックマンを苦しめるための石けん水とか、オリーブオイルとか。
なんでオリーブオイルなんですか?
いや、ウチのグループ会社である光が丘興産の宣伝しよか、思うて。
サンテラモのエクストラ・バージン・オリーブオイル・・・。
大きな泡をつくるのも難しいだろうけど、泡を消すのも難しいんですよ。
そうなんですか?
昔、水を川や海に放流する施設で、放流に伴い発生してしまう泡を景観に悪いから消してくれっていう依頼があり、散水による消泡などいろいろ検討したことがあるんです。
上手くいったんですか?
ランニングコストを出来るだけかけないよう、様々な放流位置や形状を実験し、突き詰めていって、ようやく泡を発生させないようにしましたよ。
しっかし、このポンプマンステージは高低差も大きいでんな。一般の下水処理場は微生物による処理時間を考慮してあまり高低差がいらない構造になっているところが多いんやけど。
でも、一方で重力エネルギーを上手に用い、下水処理場の稼動によって発生するCo2の量を減らそうという構想、まぁ当時はエネルギー消費削減だけ考えてましたけど、そういう検討も10年くらい前にあったといいますよね。
深い立坑ほって、その中に縦積みで施設を配置するんやったな。「ロックマン11」では、ひたすら縦スクロールのポンプマンステージや。
ここは単なる下水処理場ではなく、最近流行の下水処理場と海水淡水化処理を組み合わせ、効率的にきれいな水を作り出す、省エネ型の水循環システムだとしたら納得がいくよ。
世界で「水ビジネス市場」が注目されてますけど、その延長線上の未来で開発されるのがポンプマンだとしたら、わしらの仕事もポンプマンの開発の一部を手伝っているのかもしれん。なんか、うれしゅうなるね。
自分の右腕から汚水を吸い上げて、胸からきれいな水を噴出してロックマンに襲いかかってる。元々下水処理施設の浄水管理ロボットというが、これだけ小さな体かつこのスピードで浄化できるとしたら、体内での膜処理なんだろうな。
私はシープマンステージにもちょっと興味があって、ここは基板工場(半導体工場)とのことですけど、カラフルな消滅するブロックはシリコンウェハーの七色の反射が表現されているように思います。
そういう工場は中々見学させてもらえんから、うらやましいのぉ。
前のIE(インダストリアル・エンジニアリング)の仕事で勉強させてもらえたんです。で、半導体工場は落雷などによる停電がおきると生産が停止してしまい大きな損失になるためバックアップ用の自家発電設備を設けて緊急時の安全と操業維持に備えますが、ロックマンがコンベアを走って発電し、電球のような中ボス、オクトパチパチを点灯させるあたりは、それの発展系として設計したんでしょうね。私もやってみたいです。それから、このステージに出てくる部屋や敵キャラには、清浄度が求められる工場らしく「クリーンルーム」とか「無塵衣」出てくると完璧でしたね。
僕はチルドマンステージですね。観光ベースで氷の建築は色々始まってると聞きますし。
固めた雪は強度に問題があるため基本的には建築材料とは認められないようだけど、北海道のアイスヴィレッジやスウェーデンのアイスホテルなどもあるし、適切な施工と管理がされていればチルドマンのようなステージも夢じゃないんだろうね。
やりたくないとしたらどれでしょう?
それはコマンドマンやろう。
・・・やはりですか。
地雷処理は大きな問題だね。コマンドマンはそれまで爆弾を遠隔操作して地雷と一緒に爆破していたそうだが、あるアジアの地域での道路工事での、最初の作業が地雷処理だったと聞いたことがある。
パワーショベルのブームの先の地雷処理用のアタッチメントで爆発させるんだそうですね。爆弾で地雷を誘爆させているわけではないんですね。
現実世界の実際問題として、地雷処理はロボット開発が進んでいる分野だな。社会的に意義深い仕事となる「コマンドマン」が一番早く、我々の前に姿を現すのかもしれないね。
細かい話ですけど、このステージの砂漠とか砂の表現ね、特に立穴の部分。壁が斜めにならず、真っ直ぐ切り立った形になっているけど、やっぱりちょっと気になってしまうのは、建設会社土木職員の習性やろね。
砂には安息角(積み上げた砂の斜面と水平面とがなす角のうち、砂山が長い間崩れずに安定を保ちうる角度)というのがあって、下から砂を抜いたらどうしても蟻地獄のように斜面になってしまうからな。
ゲームのようにするんやったら、ライナープレート(細かな波状に加工しつつ、曲げ加工も行い、組み合わせると大きな円形(=トンネル・立坑)が構成できるようになっている薄鋼板の材料)か何かの壁を予めつくり、敵キャラが隠れた上で砂を埋める。ロックマンが来たら、下から強力なブロワーか何かで砂を吹き上げて戦う、という感じやね。
・・・なんか、むしろやりたそうな口ぶりですけど?
でもマーケットがないやろ・・・京都のお寺さんに「新しい石庭が表現できますよ」いうて営業してみよか。
「水なしで海底火山の噴火を表してます」とかですね。
ソーラーマンの人工太陽研究施設は興味はあるけど、実現となると「無茶振りNo.1」かな。
それができればウチの会社、建設辞めても食べてけるやろね。
まぁ・・・話は尽きないが、またCAPCOMさんとの機会があれば、応用編や発展編を検討してみよう。最後に「ロックマン11」で実現してほしいステージは何かあるかな?
部長はポンプマン「シビルモード」ですよね?
やっぱりシールドトンネルの現場やろう。横スクロールにピッタリやから。
いいね。それこそ「シビルモード」だな。
ボスキャラ「シールドマン」は切羽のシールドマシンのところにいて、泥を投げつけてロックマンを攻撃してくるんですね!
あの「工場用ヘルメット」姿の敵が、どのステージよりも活き活きと動き回ってな、工事のやりがいを謳いあげるわけだ。
で、攻略時間がかかりすぎると、シールドマシンがトンネル掘って前に行ってしまうという、ロックマン始まって以来の可変ステージになるっちゅうわけや。
わー楽しみ。ホントになる日が来るといいですね。
それではロックマンファンの皆様、我々の雑談にお付き合いいただきましてありがとうございました。宜しければ我々のホームページもご覧下さいませ。
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