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【OGC2010】オープンプラットフォームとは一体何なのか・・・成蹊大学 野島美保氏

【OGC2010】オープンプラットフォームとは一体何なのか・・・成蹊大学 野島美保氏

2010年2月21日(日) 13時59分
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モバゲータウン、mixi、GREEと、主要SNSサイトがこぞってオープン戦略を進める昨今。WEB2.0などと同じく、「オープン」が一種のバズワードとなっている感もあります。

しかし「オープン」であるということは、どういうことなのでしょうか。現在のSNSサービスとアプリベンダーのスタイルが、すべてなのでしょうか。今後求められる戦略とは何なのでしょうか?

成蹊大学経済学部准教授で、著書「人はなぜ形のないものを買うのか」などゲームコンテンツ研究の第一人者である野島美保氏は、OGCで「オープン化時代のゲームビジネス設計」と題して講演し、ソーシャルゲーム特有のマーケティング・フレームワークについて語りました。

成蹊大学経済学部准教授・野島美保氏


はじめに野島氏は、ソーシャルゲームにはプラットフォーム側(例:mixi)とコンテンツ側(例:サンシャイン牧場)の双方にコミュニティがある、二重構造になっている点が特徴だと指摘しました。

一般的なMMORPGではコンテンツ単位でコミュニティが形成されますが、ソーシャルゲームではSNSで作られたリアルな人間関係が、アプリにも引き継がれます。たとえゲームに飽きたとしても、そこで人間関係が終了するのではなく、再びSNS上で引き継がれます。

同じようにMMORPGではアイテム課金なり、月額課金なり、コンテンツ内で課金が行われます。一方でソーシャルゲームではSNSに人が集まり、広告収益につながる一方で、アプリごとに課金も可能です。マネタイズもSNSは広告、アプリは直接課金が中心となっています。

ソーシャルゲームではSNSとアプリの二重構造が特徴


これらはSNSのAPI公開によって生まれたビジネス形態です。しかし「オープン化」とは、単にそれだけを意味するのでしょうか? 「もう一度、意味を考え直してみましょう」と野島氏は問いかけます。

本来オープン化とは製造業で培われてきた概念で、オープン化はモジュール化を前提としています。モジュール化とは、製品を独立性の高いモジュールに分割し、そのつなぎ目であるインターフェースを固定化することをさします。その上で、このインターフェースを標準化し、公開することで、誰でも部品製作ができるのがオープン化です。

つまりモジュール化は「製品の設計思想」で、オープン化は「企業間分業」のこと。すなわちSNSにおいてAPIを公開することは、手段であって目的ではありません。SNSとアプリベンダーが分業することで、最大多数の最大幸福をめざすというのが、オープン化の目的というわけです。

このとき、製造業においてモジュール化を進めることは、企業組織のあり方についても影響を及ぼします。オープン化は共通部品を利用し、各企業が得意分野に集中できるため、低コストで製品が開発できるメリットがあります。一方で企業の体力勝負になりやすく、模倣される危険性があり、ノウハウの蓄積も進みません。

モジュールは製品、オープンは分業形態モジュールとインテグラルは企業戦略を決める


この反対がインテグラル化で、共に一長一短です。しかし、この判断をしっかり行なって舵取りを進めなければ、企業にとって致命傷になりかねません。

この好例がパソコン業界です。90年代前半まで、日本では各社が独自仕様の製品で競い合い、互いに互換性がありませんでしたが、高い収益性を誇っていました。これがDOS/VとWindowsの登場でオープン化が進んだ結果、価格が劇的に下がった一方で、日本企業のうま味も減少してしまいました。

では、この観点からSNSなどのソフト産業や、ゲームコミュニティ・ビジネスを俯瞰すると、何が見えてくるでしょうか? 野島氏は3つの課題があると分析します。「製品と部品に対応した『全体サービスと部分』の定義」「全体と部分の設計の最適化」「企業間分業の最適化」です。単にAPIを公開するだけでなく、もっと幅広い視点で自社のサービスを見つめ直しましょう、というわけです。

ソフト産業におけるオープンの意味フック・リテイション・マネタイズで分析


そもそもソーシャルゲームにおける「最終製品」とは何でしょうか。これはユーザーを楽しませることに他なりません。しかし野島氏は、一般に言われる「顧客満足度を上げる」だけでは不十分で、ソーシャルゲームでは「欲望を作り出す」ことが必要だと指摘します。

一例としてアイテム課金モデルにおいては、企業にとって仮想アイテムを購入してもらうことがマネタイズの基本になります。しかしソーシャルゲームでは、ほとんどのユーザーは友達に誘われたなどのきっかけで始めることが多く、最初から仮想アイテムのために始める人はいないからです。

そのためには、アプリを始めてからお金を支払うまでのユーザーの心理・行動プロセスを、さらに研究する必要があります。野島氏はこのプロセスを「フック(始める理由)、リテンション(続ける理由)、マネタイズ(支払う理由)」という3段階の理論で説明しました。このことはアプリ側だけでなく、SNS側にもいえることです。なぜなら冒頭のように、ソーシャルゲームにおいてはコミュニティと課金の二重構造が特徴だからです。

SNSからアプリに至るユーザー導線オンラインゲームの分業体制の変化プラットフォームに求められる役割は多彩


誕生して十数年の間、オンラインゲームにはさまざまな分業形態が生まれてきました。当初のMMORPGでは、1つのサービスの中にコンテンツ・コミュニティ・課金などがセットになっていましたが、そこからポータルサービスが生まれ、ゲームとコミュニティが分化しました。

そして今、ソーシャルゲームが生まれ、SNSとアプリの企業間分業が発生しました。近い将来、ここからさらに新しい分業形態が生まれることは、大いに予測できます。そこで求められるのは、より緻密なプラットフォームの設計です。野島氏は単にオープンといっても、技術的なインターフェース以外に、ユーザー管理システム、コミュニティ、運営、サービスなど、さまざまな対象があると指摘します。

「MMORPGからソーシャルゲームまで、技術とビジネスモデルはどんどん進化するけど、ユーザーの気持ちは同じ」。人間は仮想世界で何が楽しいのか、それを実現するためのビジネスモデルは何か、野島氏は「フック・リテイション・マネタイズ」で読み解けるのではないかと考えます。その上で、今後も普遍的なモデルを提示したいと締めくくりました。

(Article written by 小野憲史)

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