「IncrediBuild」は、イスラエルのXoreax Software, Ltd.が開発した分散コンパイル環境で、複数のPCのリソースを用いてコンパイルを実行、高速なパフォーマンスを引き出します。2002年から販売され、現在までに35ヶ国に5万ライセンスを導入しています。そのうち約6割がゲーム開発現場で、残りは金融・証券、科学技術計算、ソフトウェアベンダーなどで利用されているとのこと。
Windowsプラットフォームで動作するプロセスであれば全て分散処理が可能で、特にコンパイルに関してはVisual Studioとの連携が図られていて、Xbox/Xbox 360の開発で導入が最初に進んだということです。分散コンパイル環境と言いながらも、実際にはゲーム開発中で出てくるようなデータのコンバートなどにも威力を発揮することになります。
構成としてはCoordinatorと呼ばれるサーバーをLAN環境に1システムを導入。分散処理させるPCに「IncrediBuild Agent」を導入します。このとき、各PCのWindowsのバージョンやシステム構成は特に統一されている必要はなく、導入へのハードルが低いのが特徴です。ちなみに、複数PCがなくとも、マルチコアのPCであれば、コア数だけ分散処理が可能で、それだけでもパフォーマンスを引き出すことが出来るとのこと。
コンパイルの待ち時間は開発者にとっては、他の作業が何もできなくなる無駄な時間になります。しかも、その時間は開発のストレスを引き起こすものでもあります。グリッド環境の構築に、本格的なサーバーを用意するなどの方法もありますが、膨大な費用が必要となります。この「IncrediBuild」は導入コストを抑えつつ、分散コンパイルの利点を引き出すものと言えそうです。
関連リンク
編集部おすすめの記事
ゲームビジネス アクセスランキング
-
『FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア』を支える中国のデベロッパー・・・バーチャスインタビュー(後編)
-
YouTubeで違法動画を見てしまったら・・・?分からないことだらけの「違法ダウンロード刑事罰化」まとめ
-
コンプガチャはなぜ駄目か? ソーシャルゲーム今後の争点
-
USJのVRジェットコースター「XRライド」がヤバ過ぎる…レールのない空間を走り、前振りなく急落下する
-
【CEDEC 2010】田中宏和氏が語るゲーム音楽、横井軍平、宮本茂
-
ゲーム開発者はコミュニティを通して自分を磨くべき・・・IGDA日本理事・松原健二氏が学生向けに語った基調講演
-
レア社の創業者であるスタンパー兄弟が退社
-
イギリス人が選ぶ歴代トップ100ゲーム―マリオシリーズが圧倒的
-
任天堂がマイクロソフトにレア社を売却した経緯とは・・・3億7500万ドル巨額買収の裏側