海外ゲームサイトDestructoidは「Wiiゲームを作るサードパーティのための10のコツ」という記事を発表しました。
また、海外ゲームサイトIGNは「JRPGを改善する10の方法」と題した記事を発表しました。
「10のコツ」はWii用ゲームを開発するサードパーティへの提言で、「ゲーマー層とカジュアル層を同時に狙わない」「ニッチなゲームでお金儲けできると考えてはいけない」といった内容。Wiiではゲームデザインからして他のゲーム機と異なった心構えが必要であると説きます。
「JRPGを改善する10の方法」は、海外ゲーマーは、JRPG=和製RPGのどういった部分に疑問を覚えるのかを解説。「一本道を止め、世界を探索する楽しさを入れる」「ありがちなキャラクターを止める」といった点が海外RPGと異なっていると定義します。
現在の日本ゲームは海外市場を意識することが必要ですが、こうした提言を全て受け入れることで海外ヒット間違いなしのゲームが作れるのでしょうか?
答えはYESでありNOでしょう。むしろNOである割合の方が高いのではないでしょうか。
海外の意見を100%取り入れて作られるのは「海外ゲームのようなゲーム」でしょう。
海外ゲームを作る一番のプロフェッショナルは海外クリエイターたちであり、そこに「海外ゲームのようなゲーム」で勝負をかけても勝利は難しいと思われます。
もしも海外ゲームのような筋骨隆々の男性とバタ臭い顔の女性による『テイルズ』シリーズが出たとしたらどうでしょうか。恐らくは海外と日本の両方が失望することでしょう。
では、海外の意見を受け入れないで作ればどうでしょうか。
文化の差を吹っ飛ばすゲームデザインやグラフィックがあれば海外市場でも勝てるでしょう。
昔ならともかくも、2010年現在そうした衝撃を生み出すのは極めて難しくなっています。現在の日本ゲームの状況が何よりも雄弁に語っています。
ここで必要になるのは取捨選択する力です。
全ての意見を受け入れ、あらゆる年齢層・人種・性別のユーザーを狙うことは不可能です。
様々な意見のどれを取り入れ、どれを捨てるのか。
特に「捨てる力」は重要です。
「この提言は海外では有効かも知れないが、自分の作っているゲームには合わない」
「捨てる力」は信念から生まれるものであり、勇気と決断を必要とします。
海外ゲームよりも小さな制作規模と予算で異なる文化圏に対して勝負をかけなければならないからこそ「捨てる力」が問われるのではないでしょうか。
だからといって至極もっともな提言まで捨てていたのでは話になりません。
「捨てる力」は「拒否する力」ではないのです。
拒否せずに捨て、盲信せずに受け入れる。
その中には「海外で受ける」ことを捨てるという選択肢も存在します。
また、「いま、海外で受ける」ことを捨てるという手もあります。
無謀な冒険に乗り出すのではなく、今は力を蓄えて海外ゲームを学び、時勢の変化やタイミングをはかることも立派な戦略なのです。
いずれにせよ意識改革は必要なようです。
2010年、日本ゲームは海外ゲームと戦えるのか。
日本ゲーム界の取捨選択が問われているのです。
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