ポストモダン作家のRICHARD POWERS氏は「Out of Body, Out of Mind」と題した記事でWiiを総括しています。
氏はWiiが発売された2006年の冬を「誰に聞いても、このゲーム機(Wii)はパワーやグラフィックで劣っているという。何人かにいわせればサウンドも標準以下だそうだ。しかし人々は、このゲーム機を買うために2時間以上も並ぶ」と回顧。
氏の家では「私の10歳の姪っ子と60歳の義理の兄は、互いにめちゃめちゃに殴り合っている。彼女が大振りの恐ろしげなパンチを放つと、老人はこれを顔で受けてひるんでしまう。拳が飛び、足が踊る。汗まみれで呼吸困難の二人は狂ったように笑う。そして彼らは連打を浴びせて互いをノックアウトするが、私の義理の父はゴルフをやりたくて待っている」と世代を越えてWiiに熱中する姿が見られたそうです。
「WiiのキーとなるのはWiiリモコンだ。動きを検知するワイヤレスコントローラー。カウチポテト族をWii-itis(Wiiリモコンのやりすぎによる炎症)にし、バーチャルなテニスゲームで本当のテニス肘を引き起こす」。「最も荒涼とした予測は、我々の全てがウイリアム・ギブスンいうところのサイバースペースに姿を消すだろうというものだった。しかし、魅惑的なデジタルレンダリング世代が来たあとですら、我々は未だ世界を飛び回りたい。Wiiは我々の内のなにかが、まだ肉体というものを諦めていないのだとサジェスチョンしてくれる」「Wiiはあなたの体に影響することで、心にも干渉する」と現実に影響を及ぼすゲーム機であると結論づけています。
ゲーム機やテクノロジーの進歩は虚構の世界を形成しディテールを詳細なものとする方向へと向かっていったものの、WiiはユーザーにWiiリモコンを振らせることでリアルな肉体にはたらきかけ、その素晴らしさに再び気づかせてくれた……とするのがPOWERS氏の主張である模様。
映画「マトリックス」や「攻殻機動隊」などで描かれる「サイバースペース」的な没入型仮想世界こそがゲーム機の究極の形であるとされてきましたが、Wiiがスタートさせたモーションコントロールブームと身体へのはたらきかけが、その未来像を変えるのかも知れませんね。
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