【MSM2009】iPhone、アプリ内課金の可能性を議論

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2009年10月29日(木) 21時13分
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iPhone OS 3.0で可能になった機能の一つに、App Storeでのアプリ内課金(In App Purchase)があります。当初は有料アプリのみでしたが、今月から無料アプリでも課金が可能になり、改めて注目を集めています。

しかし、アプリ内課金の詳細や技術情報については、これまであまり知られていませんでした。これに対してMSM2009でHMDTの木下誠氏は「Store Kitによる課金モデルの詳解」という講演を行い、先駆者としての知見を公開しました。

なお同社は「デジタル大辞泉2009i」などの実用アプリに加えて、落下する卵をキャッチするゲームアプリ「Catch The Egg」(ハドソン)も開発しています。現在はコンテンツホルダーと提携して、ビューワによるアプリ配信ビジネスを予定しています。

HMDT 木下誠氏

 
はじめに木下氏はアプリ内課金で可能になる新しい課金モデルとして、「機能制限解除型」(シェアウェア)、「コンテンツダウンロード型」(アイテム課金)、「サブスクリプション型」(月額課金)を上げました。これを実現するためにアプリとApp StoreをつなぐためのAPIが、OS 3.0で追加されたStore Kitです。

ただし木下氏は、「Store Kitが対応するのは課金のみで、それ以外はすべて自分たちで用意しなければならない」と釘を刺しました。具体的には追加アイテム(プロダクト)などを配信するためのサーバ構築や、ダウンロード処理、セキュリティ管理などです。その上でコンテンツの完成度もさることながら、ビジネスモデルの構築とサーバ運用、セキュリティ管理といった、周辺領域が重要だと指摘しました。

またアイテム類を追加配信する場合、アプリと同じくアイテム類もApp Storeの審査対象となります。しかしアプリ内課金は始まったばかりのサービスで、今後も運用体制や審査ポリシーの変更などが考えられるため、あらかじめアップル側のリジェクトを想定して、複数のプランを用意しておくことが必要だと補足しました。

App Storeでは、すでにアプリ内課金を実装したアプリ配信が始まっており、実際に購入してみると、その手軽さには驚かされます。木下氏はStore Kit Programingについてもサンプルコードを用いて説明しましたが、ここでは省略します。というのも、技術自体はそれほど特殊なものではない上に、それ以外の部分の方が重要だからです。実際、ちょっとしたオンラインゲームレベルの体制作りが求められるといって良いでしょう。


アプリ内課金の例。BUYボタンをタッチするだけで、サファリやiTunesを開くことなく、非常に手軽にアイテムをダウンロードできる。

ここでのポイントとして、セキュリティを高めることは技術的に可能だが、ユーザーの利便性なども損なわれるため、関係各社とどのレベルまでセキュリティを保つか事前に話し合うことが上げられました。また悪意のあるユーザーをカジュアルユーザーとクラッカーの2種類に切り分け、クラッカーについては「セキュリティ上の落としどころ」で対応。カジュアルユーザーについては「飴と鞭」を与えて、自然に誘導することが重要だとされました。

認証において、ケータイアプリではIPアドレスとユーザーエージェントの併用が一般的ですが、iPhoneではWi-Fiなどからもアクセスでき、ユーザーエージェントも偽造可能なので、現実的ではありません。本体に固有のデバイスIDもiTunesで簡単に調べられる上、機種交換時のユーザーの手間を考えると、避けたいところです。Store KitからiTunesアカウント情報の取得もできないため、独自のアカウント管理が必須となります。

このほかiPhoneならではの留意点として、Jailbreakされるとコンテンツが自由に取り出せるため、暗号化して保存しておくこと。月額課金やシェアウェアなどの場合、Store Kitでは自動継続ができないため、毎回ユーザーによる認証が必要であること。その場合は期限切れ判定の改ざんを防ぐため、サーバから日付などを取得するのが望ましいこと。この場合、起動時にネットワーク接続が成立しない場合の対応を考えること、などが上げられました。

特に写真集アプリなどの場合、ユーザーによるスクリーンショットを防止する手段がないため、撮影した画像データの再配布などが問題になります。写真の保存先フォルダを常時監視して差分を検出するなどの対策もありますが、動作が重くなります。そこで正規のビューワ使用者には、何らかのメリットを与えるなどの対応が有効だとされました。またアップルに対して、機能改善の要望を上げることも重要だと語りました。


アプリ内課金における課金シークエンス。この過程で幾つかのセキュリティホールが発生してしまう。これらをどう現実的な施策で解決するかが重要。


そのためにはCarrot and Stick、つまり「飴と鞭」を使い分けながら、ユーザーを自然に導くことが重要だと説明された。

最後に木下氏は、「ユーザー・プログラマ・コンテンツホルダ・アップルの、それぞれの立場になって考える」「セキュリティは技術面と運用面の両方から解決方法を検討する」「飴と鞭を適切に用いて、ユーザーに正規に使用した方が得だと思わせる」という3点を上げて講演を締めくくりました。
 
このように自由度が高い反面で、かなり敷居の高い側面もあるアプリ内課金ですが、木下氏は今後、アプリはすべて無料配信となり、機能制限解除など、アプリ内課金での回収にビジネスモデルが移行すると考えています。その場合Store Kitプログラミングをベースとしたビジネス構築は、iPhoneアプリに必須の課題となります。無料体験版が前提のサービスには、ゲーム業界でもXbox Liveアーケードなどがあります。

ゲーム業界においてはiPod touch対応を考えると、すべてアプリ内課金スタイルに移行するのは難しいのも事実ですが、この流れに無関係でいられるとも思えません。アーケードゲーム、パッケージゲーム、月額課金型オンラインゲーム、アイテム課金型オンラインゲームで、それぞれの違いを見ればわかるように、ゲームデザインと課金モデルには高い相関関係があります。今後の流れを注視していきたいところです。

(Article written by 小野憲史)

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