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【DCEXPO2009】「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト」東京大会が開催~VRやARで学生が競う

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【DCEXPO】「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト」東京大会が開催~VRやARで学生が競う
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学生が手作りのバーチャルリアリティ(VR)作品を作り、世界をめざす「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト」(IVRC)の東京大会が、10月22日から25日までお台場の日本科学未来館で開催されました。

初日に行われた審査では、ジャケットを着て妊婦体験ができる「Mommy Tummy」が最優秀賞に輝きました。

IVRCは学生ならではのユニークな作品が多数出展されるVR作品コンテストで、1999年から開催されています。VRやAR(拡張現実)といった概念は、ゲーム業界でもWiiリモコンやiPhoneアプリ「セカイカメラ」などの登場で、一気に身近なものになってきました。

IVRCの特徴として、作品の方向性や要素技術が、非常に幅広いことが上げられます。最新のコンピュータテクノロジーから、段ボールやガムテープまでが混在し、汗と涙と知恵と勇気で一つの作品にまとめられるのです。また世界に向けて開かれた大会という点も特徴で、IVRCで総合優勝を果たすと世界最大のCG学会・シーグラフへの渡航サポートが受けられます。また部門賞の中には、フランスで開催されるヨーロッパ最大のVRイベント、ラバル・バーチャルへの招待展示も設けられています。

17回目を向かえる今年度では、運営に大きな変化がありました。まず例年では東京予選と岐阜本戦に分けられていたものが一つにまとめられました。インスタレーション部門とハンズオン部門という分類もなくなりました。また2005年から併催されているVR作品の展示イベント「インタラクティブ東京」と共に、経済産業省とデジタルコンテンツ協会の主催で昨年度から開催されている「DIGITAL CONTENTS EXPO」内での開催となりました。

■作品紹介
(カッコ内は大学名/チーム名)

01:Mommy Tummy(金沢工大学園/感じるケバブ)

水袋などを搭載したジャケットを着て、妊娠過程を疑似体験できる作品です。水槽内の温水をポンプで注入することで、胎児の体温や重さが体感できます。ジャケットにはバイブレータとエアアクチュエータも装着されており、心音や胎児の胎動を表現します。タッチセンサと曲げセンサによって腹部を撫でた強さも計測され、胎児の成長を感じたり、コミュニケーションが図れるのです。胎児には機嫌の感情モデルがあり、これによって胎動の頻度や心音の強さ、成長速度が変化するようになっています。男性にも妊娠体験を理解してもらうことがコンセプトで、足下の小物を拾わせたり、記念写真を撮影するなど、総合的な体験展示がなされていました。

思わず腹部に手を当ててしまう優しい作品

胎児の発育状態もモニタで見られるジャケットには水袋やセンサー類を装着


02:Air-Hair(東京工業大学/ビノール・ド・チャイ)

散髪の雰囲気や感触をVRで体験できる作品です。ディスプレイに映ったキャラクターを見ながら、ハサミデバイスでマネキンの頭上にハサミを入れていくと、実際に髪を切ったかのような抵抗感が得られます。それに合わせて、髪を切られる感覚が別の体験者にも空気と音で伝わります。ハサミデバイスには赤外線LEDがつけられ、Wiiリモコンで空間内の位置が特定される仕組みです。散髪者の動きにあわせて、被散髪者の頭上からエアーが噴出される感触がもぞがゆく、散髪時のイメージが良く再現されていました。またハサミ型デバイスにはチューブがつけられ、ハサミの開閉にあわせてピンク色の餡子が噴出し、切られた髪の毛が表現される点もユニークでした。

切る→切られるという非対称系の作品エアーの噴出口が頭上でくるくる回るハサミから髪に見立てた餡子が噴出


03:ダイラタノシー(大阪大学/ビッグチキンカツ)

グローブデバイスを装着して魚やヒトデなどが浮かぶ水槽内に手を這わせると、生物によって指先の感覚が異なったり、手の動きで魚が逃げるなど、磯遊びの感覚が楽しめる作品です。水と片栗粉を混ぜてできる「ダイラタント流体」の、力を加えると堅さが変化するという性質が応用されています。水槽には片栗粉がしかれており、グローブにはチューブが装着されています。ポンプでチューブからフィルタ越しに指先の水が吸引され、周囲のダイラタント流体の濃度が高まって、指を動かしたときに摩擦力が発生する仕組みです。グローブは2台のカメラで位置計測が行われており、手の移動に伴って魚が反応します。指先がねばつく感じが何ともいえず「変な感じ」で、楽しい作品でした。

見た目にも美しいアート的な作品だグローブは二重構造になっている


04: Column Gear~ぼくのからだがうごくまで~(豊橋技術科学大学/はっぴーたーん)

球状機械生命体「Column」を、ボール型コントローラの「ColumnGear」を振って操作するというロボット型の作品です。Columnはケミカルウッド製の8枚の板の組み合わせで作られており、12個のモーターを搭載した関節部分で球状にまとめられています。ColumnGearには3軸の加速度センサーが内蔵され、振ると無線で動きの情報がPCに送られて、そこから有線でColumnの各モーターに信号が送られ、形状が変化する仕組みです。展示では3人で操作するスタイルで、思うように動かないもどかしさと達成感が味わえます。ColumnGearを振るのを止めると、自動的に球状に戻る点もポイントで、これまでのIVRC作品にはあまり見受けられなかったコンセプトと、完成度の高さに驚かされました。

ケミカルウッドで作られた不思議なボール板は8枚で、動きの自由度もなかなかColumnはバスケットボール大の大きさだ


05: 海へ(慶應義塾大学/70cmの鯛)

長靴型デバイスを履いて仮想の川を歩ける作品です。長靴デバイスを両足に履いて、右足で床の上のカードを踏むと、靴底にあるRFIDリーダがカードのタグ情報から川の情報を読み込みます。長靴には加速度センサーと距離センサーが組み込まれ、右肩にかるう魚籠とコードでつながれています。魚籠の中にはPCとアンプが入っており、長靴の動きに応じてバシャバシャという音が靴中に響いて、川の中を歩いている感覚が楽しめるという仕組みです。長靴デバイスの中には保冷剤が入っており、ひんやりとしている点もポイントです。本作品を装着して、暗渠化された渋谷川に沿って歩くというパフォーマンス映像も流され、作品に広がりを与えていました。

水音データは実際の川から収録した長靴デバイスと魚籠の組み合わせライブパフォーマンス映像も上映


06: スパイダーヒーロー(北陸先端科学技術大学院大学/ピース)

バーチャル都市のビル群を、スパイダーマンのようにスパイダー・ウェブで飛び回れる作品です。体験者は筐体と紐でつながれたグローブデバイスを両手に装着し、バランスWiiボードを設置した椅子に座ります。グローブデバイスにはWiiリモコンの中身が分解されて内蔵されており、腕を動かして画面上のマーカを移動させられます。体のバランスで向きを変え、腕を動かして狙いを定めて、スパイダー・ウェブを発射し、飛び回るのです。空間内を移動中は、紐でグローブデバイスが引っ張られると共に、足下のファンが回って、風を感じることもできます。商標利用について権利元から許諾も得るなど、世界観構築にこだわりが感じられました。

スパイダーマンになってビル群を飛び回る左右のグローブを紐でつないで牽引力を表現Wiiリモコンを分解してグローブを作成


07: だいたい無限デスク(電気通信大学/スノーマン)

けたたましい笑い声と共に、机の引き出しが勝手に開いたり閉じたりするという、ポルターガイスト的な現象が体験できる作品です。思い通りにならない引き出しを、夢中になって開け閉めしてもらうという点がコンセプトで、何度引き出しを閉じても、また開いてしまうという不条理な体験に見舞われます。引き出しに設置したモータで開閉させているのですが、不要なトルクが発生したときに、うまく力を逃す工夫もなされています。引き出しのガイド部分を金属で補強するなど強度も十分で、作品としてだけでなく、普通に机として使用することが可能です。トラブルで袖側の引き出しだけでなく、正面の引き出しが動かなかったのが残念でした。

けたたましい笑い声と共に引き出しが開くモータ類や配線が複雑に設置されている


08: ビッグマウス(大阪大学大学院/MASK)

人間の口の動きを大きな唇で再現するという作品です。箱の上に広げられた大きな唇はシリコンでつくられており、箱の中のキャタピラとマジックテープで装着されています。コップ型のデバイスに向かって喋ると、底にあるカメラが口の動きをモニタリングし、PCで唇の動きが画像解析されます。その情報に基づいて台座のキャタピラが動き、唇の形状が変化する仕組みです。同時に話し声もリアルタイムでフィルタ処理されて、スピーカーから再生されます。最初は縦置きスタイルの展示にする予定だったが、唇をうまく動かせず、やむなく横置きスタイルになったとのことです。またキャタピラをコマ送りするシステムの制作に苦労したとのことでした。

話し声に合わせて唇が動く戦車のプラモデルのキャタピラが使われた


09: 花よ、咲け(岐阜大学/シロ)

童話「花咲爺さん」のように、スクリーンに向かって「灰」をまくと、枯れ木に花が咲くという作品です。「灰」にはエアガンなどで使われるBB弾が用いられており、これをブラインドのスクリーンに向かってふわっとまくと、BB弾の動きをウェブカメラがキャプチャして動きを解析し、当たった場所にCGの花が咲くという流れです。跳ね返ったBB弾が再キャプチャされないように、スクリーンにはブラインドが用いられて、裏に落ちるようになっています。また青色のBB弾を用いたのも、認識精度を上げるためとのことです。総じて安価な機材をうまく組み合わせで、作品にまとめられています。ただしBB弾がブラインドに当たる音が耳障りだったのが残念で、ここが改良点とのことでした。

スクリーンに向けて「灰」をまくと花が咲く「灰」には青色のBB弾が使われている


10: Piano Dan(週刊メルボルン/奈良先端科学技術大学院大学)

拡張現実(AR)技術を用いて、自動演奏ピアノをより楽しめるようにする作品です。自動演奏ピアノがメロディを奏でると、鍵盤の動きが液晶モニタの裏側に設置されたカメラが認識し、それにあわせてモニタ上で何匹ものカエルが跳ね回ります。クラシックの名曲やアニメのBGMなど、あらかじめ5曲の音楽がプリセットされています。それ以外にキーボードも用意されており、その場で演奏した音楽を録音して、音楽を再生させながらリアルタイムに動くカエルたちも楽しめます。カエルたちは時には手を叩いたり、舌を伸ばしたりと、芸が細かいのもポイント。鍵盤の動きにあわせて自然に跳ね回らせるのに苦労したとのことでした。

手前にキーボード、奥に自動演奏ピアノがあるカエルたちの細かい動きが楽しい


【フランス招待作品】
SCOPE(ナントアトランティックデザイン大学/Frantz Lasorne)
http://www.frantz-xx.com/
http://vimeo.com/3515273
http://vimeo.com/3515273
http://vimeo.com/4377647

【11-01】【11-02】【11-03】

テーブルや床の上にミニチュアなどを並べてプレーする「ミニチュアゲーム」と、拡張現実(AR)を組み合わせた作品です。プレーヤーはウェブカメラを取り付けたゴーグルディスプレイを装着して遊びます。おもちゃのユニットには6方向にマーカーが付けられており、1ターン2分の間に頭を動かして武器や戦術などを選択し、次に目標を選択して攻撃します。これをくり返して、先に相手のライフポイントをゼロにすれば勝ちです。制作者のFrantz Lasorneさんは、もともとミニチュアゲーム「ウォーハンマー」の大ファンで、UBIやレゴ社でインターンをしている間に思いつきました。また日本アニメのファンで、コクピット風の画面デザインは「マクロス」に影響を受けたそうです。
AR技術を用いたミニチュアゲームだロボットアニメ風のディスプレイが秀逸ゴーグルディスプレイにカメラを装着


■結果発表

冒頭で述べたとおり、総合優勝に輝いたのは妊娠体験システム「Mommy Tummy」でした。チームリーダーの岩本拓也さんは、昨年度は食べ物の臭いでモンスターを撃退するシューティングゲーム「La flèche de l'odeur」チームの一員として各務原市長賞に輝いており、2年連続の受賞となります。受賞式ではチームメイトで金沢学院短大の長根尾希さんと登壇し、昨年同様に目を潤ませての挨拶となりました。

2位に当たる日本VR学会賞と、一般来場者の投票によって決まる未来観客賞は「ダイラタノシー」が受賞し、審査員による評価と一般からの人気をバランス良く集めました。3位に当たる岐阜VR大賞と、ラバル・バーチャルへの招待展示が受けられるラバル・バーチャル賞は「ColumnGear~ぼくのからだがうごくまで~」が受賞し、完成度の高さを見せつけました。

このほか第1回IVRCの参加者で、東京大学大学院で講師を務められていた川上直樹さんが9月に急逝されたのを受けて、新たに「川上記念特別賞」が設立され、「だいたい無限デスク」が受賞しました。また明和電機の土佐信道社長は、新発売されたオタマトーンで表彰式の定番サウンド「見よ勇者は帰る」の演奏を披露しつつ、明和電機賞として「Air-Hair」を表彰しました。

受賞式の模様総合優勝をたたえる舘暲氏(慶應義塾大学)講評を述べる岩田洋夫氏(筑波大学)


総合優勝「Mommy Tummy」(金沢工大学園/感じるケバブ)
日本VR学会賞「ダイラタノシー」(大阪大学/ビッグチキンカツ)
岐阜VR大賞「ColumnGear~ぼくのからだがうごくまで~」(はっぴーたーん/豊橋技術科学大学)
ラバルバーチャル賞「ColumnGear~ぼくのからだがうごくまで~」(はっぴーたーん/豊橋技術科学大学)
川上記念特別賞「だいたい無限デスク」(スノーマン/電気通信大学)
明和電機賞「Air-Hair」(ビノール・ド・チャイ/東京工業大学)
未来観客賞「ダイラタノシー」(大阪大学/ビッグチキンカツ)

オタマトーンを演奏する土佐信道氏(明和電機)優勝旗を手に舘暲氏を囲んでの記念撮影


Mommy Tummy チームリーダー 岩本拓也さん(金沢工大学園・岩本拓也さん)

本当に嬉しいですね。(徹夜続きで)あんなに辛い思いをして、やる価値があるのかとずっと思ってましたけど……でも、やる価値はありますね。きっかけは、i-tokyoで展示された「La flèche de l'odeur」でも使われている、エアーアクチュエイターです。お腹に当ててみたら、偶然にも胎動の動きにそっくりだと言われて、これだっ!と。(前回からステップアップしての受賞で)賞の重みが違いますね。責任があるというか……でも、心地よい重みです。「La flèche de l'odeur」でラバル・バーチャルとシーグラフにも入選して、その時の経験も非常に生きています。締め切りまでのモチベーション維持や、英語での投稿という点で、とても鍛えられました。ありがとうございました。


今回はインタラクティブ東京で「La flèche de l'odeur」が出展され、スタッフが足りなくなったため、昨年度優勝した「YOTARO」(筑波大学)のチームメンバーが展示を手伝うという姿も見られました。共にラバル・バーチャル、シーグラフに出展しており、国際展示を通して交流が深まったとのことです。展示スタイルに「YOTARO」チームから大きなアドバイスもあり、岩本さんも「彼らの助言がなかったら絶対に優勝できなかった」と感謝していました。

ともあれ、この奇天烈なVR作品がシーグラフをはじめ、海外でどのように評価を受けるのか、今から楽しみです。そして一回り大きくなって、来年度のインタラクティブ東京で再び体験できることが期待されます。
《小野憲史》

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