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ミドルウェア開発からゲーム制作まで~シリコンスタジオにPS3『3Dドットゲームヒーローズ』について聞く

ゲームビジネス 開発

3Dドットゲームヒーローズ
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フロム・ソフトウェアから11月5日に発売されるプレイステーション3向け『3Dドットゲームヒーローズ』は、ミドルウェアベンダーとして知られるシリコンスタジオが、同社の「DAIKOKU」「YEBIS」を活かして開発したゲームです。

3Dドットで表現された特徴的なゲームについて、恵比寿にあるシリコンスタジオにお邪魔してお話を聞きました。

■参加者
・寺田健彦 シリコンスタジオ代表取締役社長
・渡邊耕一 シリコンスタジオ執行役員 ゲーム開発本部 本部長
・芦原栄登士 シリコンスタジオ ゲーム開発本部 テクニカルディレクター

―――まず御社の概要を聞かせて下さい

寺田: シリコンスタジオは、2000年にシリコングラフィックスのエンターテイメント部隊とエンジニア部隊が分社独立した会社になります。 ちょうどプレイステーション2が登場した頃ですが、同じくシリコングラフィックスから独立したアメリカのベンチャー企業と提携しまして最初に国内に紹介したのが、リアルタイムアプリケーション開発用ミドルウェアの「ALCHEMY」でした。 

寺田: そこから、ゲーム以外の映像制作向けのソリューション事業などもやりながらですが、ミドルウェア事業を徐々に強化していって、2004年頃から自社でのミドルウェア開発をスタートしました。ちょうど今度はシェーダ世代の次世代機が登場してきましたので、それに対応した「DAIKOKU」と「YEBIS」という製品を開発し、一昨年ごろから正式なリリースを始めています。

寺田: ゲームコンテンツの開発部門は昨年4月に立ち上げ、既にPSP『己の信ずる道を征け』というゲームをリリースして、今回のPS3『3Dドットゲームヒーローズ』が2本目になります。また、ゲーム関連業界向けの人材紹介、人材派遣といった事業も行っています。

―――御社の事業を見る限りだと、ミドルウェアや人材紹介など開発の側面支援という色が濃いように思いますが、どうして自社でのゲーム開発に参入されたのですか?

寺田: ミドルウェアのような事業を行っていると、様々なゲーム開発者の方と接する機会が多くなります。その中でミドルウェアという話になると、どうしても乗り越え辛い心理的なハードルをどう超えるかという話になってきます。そうであれば、自分達でミドルウェアを活かした形でゲームをお手本のような形で作ればいいのではないかと以前から興味は持っていました。

寺田: そうした中で昨年春にたまたまゲームを制作できる人間に巡り合い、その人間が中心になって社内で、ミドルウェアを使ってゲームを制作するという体制を作れました。ミドルウェアが有効に使えるという証明にもなりますし、良いゲームを作ることが出来れば、ミドルウェア自体の評価も上がるという相乗効果が狙えるのではないかと思うのです。

寺田: また、開発チームでは受託開発をするのではなく、全てオリジナルの企画を手掛けていくというのも大きな特徴です。

―――先日、「EnterNext」という新CIを発表されましたね

Entertainmentから、EnterNextへ


寺田: シリコンスタジオは今年で設立10周年を迎えました。以前は売上に占めるハードウェア販売の比率も高かったのですが、徐々にエンターテイメントにシフトしていきました。ですので、10周年を機に新しいCIを導入しました。また、今までない技術、最先端の技術を導入していこうということで事業を行っています。Entertainmentという言葉を考えると、Enterとtainから成り、tainは現状を保つというような意味合いにもなるので、我々は先に行くという気持ちを込めて「EnterNext」というCIを立てました。

『3Dドットゲームヒーローズ』
発売元:株式会社フロム・ソフトウェア
機 種 プレイステーション3
発売日 2009年11月5日
価 格 7140円(税込)


(c)2009 FromSoftware, Inc.

―――『3Dドットゲームヒーローズ』の企画はどのようにして生まれたのですか?

寺田: 弊社に「DAIKOKU」「YEBIS」というミドルウェアがありまして、非常にフォトリアルな表現ができる特性を持っています。 本作はこれらのミドルウェアを活かしたものを作ろうというポイントから企画がはじまりました。極力シンプルなラインで陰影や光の表現を際立たせるとどうなる、というアイデアから、ドットのブロックで画面を作ましたら非常に良い結果が得られたのです。 それでゲームとしても、表現としても新しいものが作れるのではないかという感触が得られ、開発がスタートしました。

―――「DAIKOKU」「YEBIS」を使ったゲーム開発のポイントはどういったところでしょう?

渡邊: 一般的にPS3の開発などでは絵を出せるようになるまでに多くの時間がかかってしまう場合があります。弊社の「DAIKOKU」「YEBIS」を使えば、企画から絵を出せるようになるまでの時間をかなり短縮できます。『3Dドットゲームヒーローズ』の場合も、かなり早い段階で絵が出せて、それを元にクライアントのフロム・ソフトウェア様とも意見のすり合わせが出来ましたので、それが良いゲーム作りにも繋がったと思います。フロム様にも、企画の初期から絵が出て、完成段階をイメージしながら進められたので、安心だったと好評をいただきました。開発自体も、PS3ということや、ボリュームがかなり多いことを考えると、びっくりするくらい効率的に開発が終わったと言えると思います。

(注釈) DAIKOKU / YEBIS
いずれも描画品質の向上を目的としたミドルウェア。DAIKOKUはリアルタイムのシェーディングテクニックを提供。シェーダを実装する負担を削減するとともに、様々な機能を組み合わせて容易に利用できます。YEBISは様々なポストエフェクトを実現するミドルウェア。被写界深度、グレア、トーンマップ、カラー補正など様々なエフェクトを利用するためのライブラリです。


―――『3Dドットゲームヒーローズ』はどのようなゲームなのですか?

渡邊: 内容としては王道のRPGで、アクション要素も多く含まれています。ドット全盛期のゲームへのリスペクトを込めた、様々なオマージュやネタも仕込んであって、ファミコンゲームを遊んでいた人が、にやっとするような内容も盛り込んでいます。グラフィックとしては画面を見て貰えれば分かると思いますが、世界を全て3Dのドットで表現して、箱庭的な世界を作り出しています。



―――3Dのドットはかなり印象的で目を引きますね

渡邊: ドットの置き方にはかなり苦労をしました。昔のドット絵は、ブラウン管で潰れることを前提に打っているものなんです。なので、近付いて綺麗に見えるのと、遠くから綺麗に見えるのは全く別物です。でも、今のハイビジョンテレビだと全てのドットを綺麗に映し出してしまいます。キャラクターなどは当初は、昔ドットを打ってた人にお願いしていたのですが、最後は3Dモデリングに長けた人にお願いしました。ドットでどこまで作り込むか、作り込まないべきか、非常に調整は苦労しました。

―――遠景も全てドットを置いて表現しているのですね

渡邊: 負荷を減らせるので、背景は描き割りも試してみたのですが、どうしてもドットの世界の中に、背景が描いてある板が置いてある、という印象を拭えないものになってしまい、それで遠景も全てドットで表現することにしました。それを、被写界深度を調整してリアルに見せています。

―――ゲーム中のポストエフェクトはYEBISの本領発揮といった感じでしょうか

芦原: パラメータさえいじれば、ポストエフェクトで何でも表現できてしまいます。夕方の表現や、真夏の正午の雰囲気など、簡単にポストエフェクトで実現できます。ここをしっかり調整することで、単なる3Dのドットにリアル感を与えて、まるで現実世界にあるジオラマを俯瞰して遊んでいるような感覚ができています。長年研究を続けている分野で、ライブラリ自体もかなり軽くなっています。

寺田: ポストエフェクトをかけることで絵の味が出ています。それが無ければ、このリアルさや現実感といったものは表現できなくて、ただのポリゴンになっちゃうんです。それがパラメータの操作だけで実現できるというのは大きいところだと思います。

エフェクトや影の処理など美しい表現を実現


―――それでは、楽しみにしているユーザーの皆さんに一言お願いします

渡邊: シリコンスタジオの開発チームは、自分達の作りたい、オリジナルの企画を作るという使命を持っています。『3Dドットゲームヒーローズ』も自分達の作りたいゲームと強く思うゲームで、情熱をこめて開発しました。良い物に仕上がっていますので、ぜひ遊んでみてください。

芦原: プログラマとしては、色々なミドルウェアを上手く活用して作っているゲームなので、特にプログラマの方に見てもらいたいゲームですね。特にHDRやポストエフェクトなど、分かる人は分かる部分でも頑張ってます。手に取って遊んでみてください。

寺田: 自分も昔は沢山ゲームを遊んでいたのですが、最近なかなか遊べていません。最近のゲームはおじさんには難しいんですね(笑)。でも、そんな中でこのゲームは久々に最後まで遊んでみたいと思わせてくれるゲームです。ぜひ楽しみにしていてください。

シリコンスタジオとしては、ミドルウェアは今後も最先端の映像表現を追求し、ゲームではその応用で、まだ誰も見たことのないような表現をユーザーの皆さんに提供していきたいと考えています。いまは日本のゲーム業界が海外に対して元気のない状態が続いているので、少しでも勇気づけるような取り組みをしていけたらと思っています。

本日はどうもありがとうございました
《土本学》

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