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【CEDEC 2009】「428 ~封鎖された渋谷で~」におけるゲームの現場・映画の現場

ゲームビジネス その他

【CEDEC 2009】「428 ~封鎖された渋谷で~」におけるゲームの現場・映画の現場
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Wiiで発売され、高い評価を得たサウンドノベル『428 ~封鎖された渋谷で~』(以下『428』)。映画のスタッフを起用し、渋谷の街で60日という長期間ロケを刊行したことでも話題となりました。

ゲーム部分を担当した株式会社チュンソフトの開発部プロデューサーであるイシイ ジロウ氏と、映像部分をてがけたフリーランスの映像ディレクター飯野 歩氏は、異業種が共に仕事をする上での面白さを講演しました。

忌火起草428

映画業界とチュンソフトの共同作業は『428』で2度目。最初の『忌火起草』と『428』ではチュンソフトの側に意識の変化が起こったといいます。

「ゲームを作るスタッフは“草食系”だが、映画業界のスタッフは“肉食系”というイメージ」があったというイシイ氏。『忌火起草』ではこのギャップを埋め、「現場をコントロール」(イシイ氏)するために撮影監督として飯野氏が起用されました。

『忌火起草』の撮影はゲーム上での静止画を意識したもので、イシイ氏が予め決めておいた通りのイメージが要求されました。絵的な部分は通常カメラマンに一任されるのですが、本来はカメラマンに指示されるべきところが『忌火起草』の現場では撮影監督の飯野氏に行っており、「“この通りの絵”は出たが、現場はしんどかった」(イシイ氏)ものだったといいます。

セット内での撮影が主だった『忌火起草』とは違い、『428』は状況のコントロールが難しい野外。渋谷が舞台となることは決まっていましたが、イシイ氏が『忌火起草』の助監督だった毛利氏に相談したところ、「渋谷は日本で撮影が一番難しい場所」であり、「札幌でできませんか?」とも言われたそうです。それでも渋谷であることは動かせないとするイシイ氏に毛利氏は自らの豊富な経験からアドバイスを行い、このことが毛利氏の監督就任のきっかけとなり、「『忌火起草』では自分が全てコントロールしようとしたが、『428』ではお任せする」(イシイ氏)ことになりました。

『428』では撮影の際に俳優が演技しています。実際に身体を動かし、台詞を喋るというアイデアは当初なく、撮影初日に毛利氏が突如提案したものだったそうです。現場は戸惑ったそうですが、飯野氏はその理由を「2ヵ月という長丁場で緊張感を維持するために必要だったのではないか」と分析します。芝居をすることにより、俳優は自分が何をしているかが分かり、このことでスタッフ全員がゴールを共有できるようになったといいます。また、演技の一瞬一瞬を捉えるため「シャッターを押すことに躊躇するな、という現場になった」(飯野氏)という変化もあったそうです。演技を撮影することになり撮影データは膨大な量に。10枚用意されていた2GBのメモリーカードもすぐに満杯となり、スタッフが急遽買い足しに出たそうで、3日間で90枚ものメモリーカードが消費されていったといいます。最終的に撮影された写真は12万枚にも達し、そこから厳選された4000カットが晴れてゲームに使用されたそうです。

イシイ氏は「『忌火起草』では僕らが決めたものを映画業界の人にやってもらったが、『428』ではそれができないことから適材適所で作ってもらった」と二つの現場の違いを語ります。「『忌火起草』ではゲーム側のやり方を押しつけた。どうやって(映画業界の人に)いうことを聞いて貰うか必死だったが、『428』では投げることができた」と意識の変化が仕事のやり方にも影響したと述懐。トップである監督の権威を揺らがないものとするため、スタッフの前で監督に意見を述べることも止めたそうです。

「『428』は(ゲーム業界と映画業界の)二重ピラミッド。他業種と仕事をするには、相手業界のピラミッドを理解することが重要」とイシイ氏は述べます。プレイステーション3、PSPへ移植された『428』でロケの苦労に思いを馳せると同時に、新たなるチュンソフトの実写ゲームにも期待したいところです。
《水口真》

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