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明日のゲーム業界のために~『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く

今年のCEDECでは新しく、学生にゲーム業界の仕事を紹介する「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が同時開催されます。

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『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く
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―――基調講演でどのような話を?

遠藤:まず事務局から話をいただいた時、ホントに僕でいいのか、という戸惑いはありました。でも良く考えてみると、確かにほかに、なかなかいないんだよね。だって僕は現役の開発者としてゲームを作っていて、講師として学生にゲーム開発も教えている。東大が終わった後も、TDCS(東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナー)の講師として、毎週秋葉原に通っています。それからゲーム開発会社の経営者として、採用の合否判断も行っている。ベテランのゲーム開発者で、この三役を一人でやっている人は、他にいないんですよ。

―――確かに、珍しいご経歴です。

遠藤:それで当日話す内容だけど、まずゲームの仕事って、こんなにあるんだよ、という話をします。それから「あこがれ」と「仕事」は別だという話ですね。というのもゲーム業界の志望者って、多くがゲームデザイナーか、プランナー志望なんですよ。理由は「絵が描けないから」「プログラムができないから」。それでゲームデザイナーになりたい、というのがすでに間違ってますよね。でも、そういう子がとても多い。

―――そうですね。

遠藤:そもそも就職活動って、自分はどういう人間で、何に向いているんだろう、ということをしっかり掴むことが、一番大切なんですよ。それが最初は全然わからないから、まずは名の知れた大手メーカーにみんな突進して、玉砕する。それで次に、もう少し企業や職種の幅を広げていく。一次面接は通ったけど、二次面接で落ちる。そうした過程を通して、今まで自分が知らなかった仕事であったり、自分は本当はこうした分野に向いているということが、だんだんわかってくる。そうした経験を重ねて、就職できるんです。

板垣:実は私も前の会社では2年ほど、採用担当を行っていました。そこで熱意はあるんだけど、それしかないという応募者が多かったんです。志望動機を聞いたら、うちで作っているゲームのキャラクターが好きだ、という答えが返ってくる。でも、それ以外の理由がうまく答えられない。そうした問題意識は感じていました。

遠藤:そもそも「ゲームの仕事」って、ゲームを作るだけでもさまざまな仕事がある。もともとゲーム作りって、最初はハードウェア技術者しかいなかった。彼らが電気回路を直接触って、ゲームを作っていた。それが次第にプログラムで作れるようになって、ソフトウェア技術者が中心になってきた。それでも最初はプログラマーしかいなくて、彼らが下手な絵を描いたり、変な音をつけていた。そこから次第にデザイナーやサウンドやプランナーに分化していったよね。今では分業化が進んだ結果、中間職がものすごく増えている。たとえばレベルデザイナーや、スクリプトワーカーなどがそう。そうした仕事ってユーザーからは、ものすごく見えにくい。

―――まったく、その通りです。

遠藤:それに今は「作って売って終わり」じゃなくて、その後の「サービス」が重要になってきている。さらにアーケードゲームであればゲームセンターへの営業活動だったり、自社ロケの運営であったり。コンシューマであれば広報・宣伝活動もすごく重要。もしかしたら、自分はゲーム作りではなく、開発以外の仕事の方が向いているかもしれない。でも、そうしたことって、ゲーム業界が「あこがれ」でいるうちは、なかなかわからないんですよ。

―――ええ。

遠藤:就職活動をする上で、当然こうした業界研究は大事。でも、普通なら数ヶ月とか半年とかかかってわかる情報が、当日はぎゅっと濃縮した形で得られる。とにかくゲームの仕事はこんなにたくさんあって、その上で自分は本当は何がしたいのか。どんな分野に向いているのか。そういう自分を客観的に知ることが大事だよ、そんな話をしたいかな。

―――セッションの選出理由は?

板垣:今年のCEDEC本体は公募中心になりましたが、「ゲームのお仕事」業界研究フェアではフェア準備会を設置して、内部でさまざまな議論を行い組み立てました。私もその中でCEDECアドバイザリーボードの一人として、さまざまなセッションの準備をお手伝いしてきた経験をフィードバックさせていただきました。それで、もしこうしたイベントを行うのであれば、できるだけたくさんの仕事を、網羅的に取り上げる必要を感じていました。そのため、最終的に、これだけの数になったのだと思います。

―――注目セッションは?

板垣:遠藤さんの基調講演は勿論として、まず「携帯電話コンテンツに必要な人材」ですね。これは遠藤さんからフォローいただけると思います。それから「徹底分析・データでみる世界ゲーム市場の現状と未来図」では、エンターブレインのリッキー谷本さんと、IGDAの新清士さんによる講演で、世界市場における日本のゲーム業界の位置づけや、今後の潮流がつかめます。「ゲーム業界人事採用者対談」もオススメですね。フロムソフトウェア、AQインタラクティブ、ナウプロダクション、アトラスの人事担当者による、生の声を聞くことができます。またCEROの「家庭用ゲームソフトの『年齢別レーティング制度』について」も、ゲーム業界をめざすなら、ぜひ知っておいて欲しい内容です。

遠藤:CEROに関する話は業界人でも、なかなか聞く機会がないと思うよ。レーティング制度を意識しながらゲームを作るというのは、すごく重要なこと。でも実際はプロのゲーム開発者でも、CEROがどういう団体で、どんな意義があって、どんな審査を行っているのか、あまり知られていなかったりする。

―――遠藤さんはいかがですか?

遠藤:僕は「オンラインゲーム運営ビジネスについて」かな。さっきも言ったけど、今はゲームは作って売って終わりじゃなくて、サービスの側面が重要になってきている。オンラインゲームだけじゃなくて、アーケードゲームもそうなってるよね。そうしたことはぜひ、知ってもらいたい。

―――なるほど。

遠藤:あとは「ゲームシナリオのお仕事」について、単独で聞けるというのも珍しいと思うよ。

―――講師はベックの芝村裕吏さんですね。人気セッションになりそうです。

遠藤:それから「メダルゲームのお仕事『メダルゲームとは? 新たなアイデアがゲームセンターを変える!』」も注目。今のメダルゲームって昔と全然違うからね。なんといっても大人以外に、子供がメダルゲームを遊ぶ時代だから。

板垣:また「サウンドのお仕事」についても、コンシューマとアーケードで2セッション行います。コンシューマでは、これまでCEDEC本体でおなじみだった佐野信義さん、細江慎治さん、相原隆行さんに語ってもらいます。一方でアーケードでは、コナミデジタルエンタテインメントの「ビーマニプロダクション」の方々が、この手のセッションでは初めてご登壇されます。

■変わりゆくゲームビジネス

《小野憲史》
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