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本格的に日本進出へ、『Fallout 3』でも使用されたゲームエンジン「GAMEBRYO」の新バージョンが発表

ゲームビジネス その他

本格的に日本進出へ、『Fallout 3』でも使用されたゲームエンジン「GAMEBRYO」の新バージョンが発表
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EMERGENT GAME TECHNOLOGIESは同社のゲーム開発ミドルウェア「GAMEBRYO」上で動作する、ゲーム開発フレームワーク「GAMEBRYO LIGHTSPEED」を発表した。

■GAMEBRYOとは?〜実績のある古株ゲームエンジン

ゲームエンジンというキーワードは最近ではよく耳にするが、この考え方は今世代機から始まったものではなく、欧米でのゲーム開発においては比較的前から存在していた。

その中でも老舗的な存在なのがNDL社の「NetImmerse」エンジンだ。NetImmerseエンジンは「Dark Age of Camelot」「The Elder Scrolls III : Morrowind」「Star Trek:Bridge Commander」「Freedom Force」などの著名タイトルで採用された実績を持つが、これが2003年にバージョンアップしてPlaystation2,Xbox,GameCubeといった家庭用機への対応を果たす。この折にNDL社はEmergent Game Technologiesと合併し、この時にNetImmerseから「GAMEBRYO」に改称している。2007年にはGAMEBRYOはバージョン2.2へと進化を果たし、この際に、Xbox360,PS3への対応を果たしている。

バージョン2.2では新しいシーンエディタが提供され、面倒なインポート処理などを行なわずとも、直接、GAMEBRYOのランタイムエンジン上でのレンダリング結果を確認しながら、シーンやステージの制作が行なえるようになった。

この2.2では、PS3に搭載されるCELLプロセッサの128ビットSIMD型RISCプロセッサのSPE(Synergistic Processor Element)にも対応した「Floodgate」と呼ばれるストリーミング・プロセッシング・エンジンが搭載されている。Floodgateは、グラフィックスの前処理、AI、サウンド処理、物理シミュレーションなどのゲーム進行に必要になる各種ゲーム処理ジョブを、PC、Xbox360、PS3といった各プラットフォームにて最適なマルチスレッド処理に置き換えて実行してくれる強力なものであった。

なお、現在の最新版はWiiにまで対応したバージョン2.6になる。

GAMEBRYOの採用最近作で最も著名なものとしては、GDC2009にてGame Developers Choice AwardsにおいてGame Of the Yearを獲得した『Fallout3』(ベセスダ・ソフトワークス)がある。また、日本での採用タイトルとしては『侍道3』(アクワイア)がある。

ヒット作『FALLOUT3』はGAMEBRYO採用タイトルだ


■LIGHTSPEEDとは?〜GAMEBRYO上で動作する開発フレームワーク

LIGHTSPEEDは、このGAMEBRYO上で動作するゲーム開発フレームワークになる。

GAMEBRYOはどちらかと言えばライブラリ集的な位置づけにあって、各ゲームスタジオはGAMEBRYOをベースにして自社開発のゲームエンジンと融合させるといったことが利点であった。

しかし、EPIC GAMESのUNREAL ENGINE3やCRYTEKのCRY ENGINE3のようなトータル開発フレームワークの台頭が大きく取り沙汰されるようになり、業界的に、こうした簡単にゲームの雛形製作が行えるまでのトータルソリューションを望む声が高まってきた。これを受けて登場したのがLIGHTSPEEDということになる。

GAMEBRYO/LIGHTSPEEDのソフトウェアスタック図


対応プラットフォームはPC,PS3,Xbox360,Wiiの現行プラットフォーム全てとなる。EMERGENT GAME TECHNOLOGIESはLIGHTSPEEDの基本コンセプトとして2つを挙げている。それは「ラピッド・プロトタイピング」と「ラピッド・イテレーション」だ。

ラピッド・プロトタイピングとは、短期間にゲームのプロトタイプを作り上げること。何百ページの企画書よりも画面に出して動かせるプロトタイプの方が説得力があることはゲーム開発においては常識とされる。ゲームを製作における各工程を強力に支援するツール類が充実しているLIGHTSPEEDでは、ゲームの雰囲気を伝えるプロトタイプの製作をスピーディに行えるというわけだ。

ラピッド・イテレーションとは、ゲーム開発で、ついて回る「トライ・アンド・エラー」作業によるチューニングをリアルタイム(あるいはそれに準じたレスポンス)で高効率に行うこと。LIGHTSPEEDではツール上で行った調整や変更が、再コンパイルやローディングをせずとも、即座に実行中の実機に反映される仕組みを持っており、これがLIGHTSPEEDにおけるラピッド・イテレーションということになる。

LIGHTSPEEDでは、作り上げたシーンやゲームパラメータをプログラマの手を借りずともデザイナやアーティストが高効率に調整できる機能を持っている。これは前述の短期間で見栄えのするプロトタイプ製作の実質にも大きく効いてくる要素だと言えよう。

EMERGENT GAME TECHNOLOGIES、CEO Geoffrey Selzer氏EMERGENT GAME TECHNOLOGIES、鎌田 浩平氏


■LIGHTSPEEDを構成する強力なツール群

LIGHTSPEEDでは、アーティスト向けには3ds Max、Maya、XSIの主要DCCツールに対応したエクスポータプラグインが提供される。例えばMayaで構築したシーンをGAMEBRYOレンダラで表示し、Maya上でパーティクルシステムを編集すればPC,PS3,Xbox360,wiiの各プラットフォームの実機でその変更がリアルタイムに反映される。

また、マテリアルやメッシュ(モデル形状)などはアップデート(リフレッシュ)ボタンを押すことで各実機への反映が行えるのだ。この他、3Dアセット表示とシーングラフの詳細検査を行う「AssetViewer」、アニメーションキャラクタの表示操作を行う「AnimationTool」が同梱する。

これが「ラピッド・イテレーション」だ。
「ラピッド・イテレーション」の解説


ゲームデザイナ向けのツールとしては3つのツールが提供される。その1つがゲーム世界を構築するための「World Builder」だ。デザイナはWordl Builderプラグインを使用して、作成した3Dオブジェクトをゲーム世界に配置したり、ゲームシステムの初期状態を設定したりすることができ、さらに、実行中の実機で動作中のゲームに対してラピッド・イテレーションが行える。

ゲーム世界を構築するための「World Builder」
「World Builder」の解説


二つ目が、ゲームオブジェクトの定義を作成する「Entity Modeler」だ。このツールではゲーム内の様々なオブジェクトごとのパラメータや振る舞いの設定をリアルタイムに変更が行える。もちろんこれもラピッド・イテレーションに対応する。

ゲームオブジェクトの定義を作成する「Entity Modeler」
「Entity Modeler」の解説


三つ目が、Luaビヘイビアの作成とデバッグが行える「Script Debugger」だ。このツールでは実際のゲームロジックの作り込み、ゲーム進行の設計、及びそれらの修正やチューニングが行える。そして、こちらもラピッド・イテレーション対応になる。

デバッガはVisual StudioライクなGUIを採用しており、構文のハイライト、ブレイクポイントの設定、ステップバイステップ実行などの強力な機能を備えている。また、LuaだけでなくPythonにも対応する。

Luaビヘイビアの作成とデバッグが行える「Script Debugger」
「Script Debugger」の解説


これらの3つのツールは「Toolbench」と呼ばれるLIGHTSPEEDプラットフォームツールで管理され、LIGHTSPEEDユーザーはLIGHSPEEDプラグインを開発することで、自社独自の機能やツールをLIGHTSPEEDフレームワークに統合させることが出来る。これも訴求力の高い部分だと言えよう。

このほか、LIGHTSPEEDには、エンジニア向けの50以上のC++サンプルプログラム、リファレンスマニュアルとチュートリアルドキュメントが同梱される。ドキュメントについては現状、主要部分の翻訳が完了しており(全体の1/3)、今後、翻訳をさらに押し進め、全ドキュメントの翻訳完了を目指す。

LIGHTSPEEDに含まれるサンプルゲーム『MangleMetal』


■日本での成功は? 〜日本でのサポートが重要視される

海外製ミドルウェア(開発フレームワーク)は、それがどんなに優秀な機能を備えていても、そのサポート体制が、その地域にちゃんと根を張ったものでないとなかなか受け入れられない。『EPIC GAMESのUNREAL ENGINE3』もその機能の高さには定評があるが、日本での現地技術サポートがないために採用スタジオがEPIC GAMESとのコミュニケーションに苦労している。

この点を重く見たEMERGENT GAME TECHNOLOGIES社は2007年より日本法人を立ち上げ、日本人の専任技術スタッフを置いて対応を図る。日本語で、日本時間でのサポートが受けられる点は高く評価されることだろう。

また、GAMEBRYO,LIGHTSPEEDのユーザーコミュニティも日本語版が設置され、徹底した日本語ベースでのサポートを展開するようだ。海外製ゲームエンジンは、日本で大きく成功したという事例があまり大きく聞こえてこないだけに、今後のGAMEBRYO,LIGHTSPEEDの展開には注目しておきたい。

なお、2009年3月には、スクウェアエニックスがGAMEBRYOライセンスの取得をしている。
《トライゼット西川善司》

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