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【GDC 2009】任天堂・桑原氏がニンテンドーDSiの開発の裏側を明らかに

任天堂 DS

【GDC 2009】任天堂・桑原氏がニンテンドーDSiの開発の裏側を明らかに
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岩田聡社長による基調講演の後、午後からのセッションでは、DSiのプロジェクトリーダーを務めた任天堂技術開発本部の桑原雅人氏が「The Inspiration Behind Nintendo DSi Development」(ニンテンドーDSiの開発の裏側からのインスピレーション)と題した講演を行いました。このセッションでは桑原氏のバックグラウンドから、いかにしてDSiの開発がスタートしたのか、そして開発者に贈るメッセージまで、興味深い内容が展開されました。

■桑原氏が過去に携わった製品

まずは自己紹介を兼ねて、過去に関わり印象深かった製品が紹介されました。

ポケットカメラ


まずはゲームボーイカメラです。DSiでもカメラに縁のあった桑原氏ですが、ゲームボーイのカメラも氏の着想であったそうです。なかなか理解の得られない商品だったそうですが、たまたま同時期に同じカメラをテーマに、ソフト面でアイデアを温めていた田中ひろかず氏(現クリーチャーズ代表)と出会い、田中氏のソフト、桑原氏のハードが合わされ、二人で当時の山内社長にプレゼンをしたところ、即製品化が決定したそうです。ハードとソフトの両面に長けているのが任天堂の強みだと桑原氏は説明してくれました。

GBAワイヤレスアダプタ


また、GBA向けのワイヤレスアダプタも氏が中心的な役割を果たした製品だということです。当時、2000年頃は部署内でオンラインゲームの『ディアブロ』が流行していて、最初は初代GBの通信モジュールをワイヤレス化しようという取り組みを個人的にやり、そこから社内プロジェクトとして正式に決定して本格的に作業が進められたそうです。当初はブルートゥース規格で考えていたものの、10cm程度の距離でしか通信ができなかったらしく、独自規格も織り交ぜながら苦心の作品だったようです。

ハードは完成したものの、なかなか使用するゲームが見当たらないという状況で、一旦は『ゼルダの伝説 4つの剣』で使おうという話もあったそうですが、開発期間の問題で立ち消えになったところで、岩田社長のトップ交渉でポケモンの『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』で採用され、同梱される事が決定したそうです。ちなみに、実際に使用されたことはありませんが、内部的にはゲームをダウンロードするような機能もあったとか。こちらはDSで陽の目を見ています。

「ニンテンドーWi-Fiコネクション」も桑原氏が関わったプロジェクトです。任天堂の社内体制として、ニンテンドーDSからは会社全体がハードの設計から関わる体制となり、DSの場合は100人規模のプロジェクトになったそうです。桑原氏は「ワイヤレスアダプタ」もあったことから、後半に加わり、通信部分を担当。「ダウンロードプレイ」という名称を考えたのも桑原氏であったということです。この頃には社内横断でのプロジェクトが活発に行われていて、プロダクト会議という場で、「すれちがい通信」や「Nintendo Spot」のアイデアを提案したのも桑原氏だということです。

■中にはお蔵入りになった製品も

陽の目を見なかったGB後継機
2スロットのデザイン


元々開発されていた新バージョンは桑原氏によれば、DSゲームカードスロットが2つ搭載されていたそうです。これは毎日遊ぶゲーム+もう一本という使い方には最適でしたが、その分、ハードは大きくなり、重い・厚いということで評判が良くなかったそうです。そこで、スケジュールが大幅に延びるのを覚悟の上でデザインと基本設計をやり直したのが現在のDSiだということのようです。その甲斐あってか、桑原氏曰く「DSの決定版と言えるもの」になっていて、再設計で苦労をかけた機構設計のエンジニアからも「良いものになった」という言葉が貰えて、非常に満足のいく製品になったと桑原氏は話していました。

■DSiがもたらすもの

こうして完成を見たDSiは、カメラや音楽再生機能、SDカードスロットが新たな搭載されたほか、「マイDS」を支えるメニュー機能や、DSiウェアへの対応といった特徴が加わりました。

開発者の視点から考えると、ゲームを提供する手段が多様化したというのは大きいことと言えそうです。デジタルディストリビューションの手段としてDSiウェアが追加されました。また既存の流通を利用する場合でも、従来型のDSカードを使用、DSとDSi両対応のカードを使用(講演では「エンハンスドゲームカード」と紹介)、DSi専用カードを使用、という3パターンが今後は考えられます。両対応カードは、DSでもDSiでも使用できるもので、例えば、DSiで使用した際のみ、カメラ機能を利用できる、といったゲームが考えられます。また、DSi専用カードはその名前から分かるように、DSiのみで遊べるカードです。これら2つはまだ準備中ということですが、そう遠くない将来にこれらのカードを利用したゲームが発売されることでしょう。



DSiウェアの北米や欧州での正式な開始日は明らかにされませんでしたが、当初『Nintendo DSi Browser』『WarioWare:Snapped!』『Art Style:Aquia』を用意するということです。期間内にDSiショップにアクセスすると1000ポイントが貰えるキャンペーンは北米でも実施するということで、桑原氏は10月末までの期間内に良質なタイトルをリリースして流れを掴んで欲しいと話していました。

桑原氏は、まだ期間が短いこと、発売日前のプロモーションを行ってないこと、を前置きしながら、DSiタイトルが発売の翌週以降も継続的に売れているというデータを紹介しました。



それによれば、パッケージゲームは初週の本数を100とした場合、2週目には31、3週目には19となり、10週目には僅か4にまで減ります。一方でDSiウェアの場合は2週目には99、3週目には98となり、10週目でも17という数字を残します。パッケージと比べて非常に息が長く売れる傾向があります。

桑原氏は、推測としながらも、DSiウェアは、ネットや口コミなどの評判を聞いて買う傾向が強く、評判が高まれば息が長く売れていくのではないかとコメントしていました。また、そうした場合、中古を考慮しなくて良いのも売る側としてのメリットになります。

最後に桑原氏は、パッケージソフトは競争が激しい分、切磋琢磨され、多くのゲームユーザーを魅了しユーザー層の拡大という良い結果をもたらしている一方で、開発コストが高騰し、開発者のワンアイデアで革新的なものにチャレンジする余地を狭めていると指摘。DSiウェアのような挑戦する機会のあるプラットフォームで、ぜひカメラやタッチパネル、マイクなどの特徴を活かした、今までにないユーザーエクスペリエンスを実現して欲しいとエールを送っていました。
《土本学》

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