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【CEDEC 2008】MGS4サウンド制作という…「戦場からの帰還報告」

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【CEDEC 2008】MGS4サウンド制作という…「戦場からの帰還報告」
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CEDEC初日の13:00から「METAL GEAR SOLID 4の音響演出」と題したセッションが行われました。

このセッションでは、コナミデジタルエンタテインメント ゲームコンテンツプロダクション サウンド制作部 サウンドプロデューサー MGS4サウンドディレクター戸島壮太郎氏が登壇し、MGS4サウンド制作という…「戦場からの帰還報告」と題した講演が行われ、次世代ゲームにおけるサウンドの制作事例についての説明を開発機材上での『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』のデモプレイとともに行われました。



戸島氏は、1998年より『METAL GEAR SOLID 2』から、ナレーションなどの声や効果音を編集し、バランスを整えるMAとしてゲームサウンドに携わり、「ANUBIS Zone Of the Enders」「METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES 」を手掛けた後、MGS4ではサウンド全体を統括しています。

戸島氏は、開発現場はNO Place TO HIDEという本作のコンセプト同様に、「隠れる場所はなかったわけですけれども、なんとかMGS4を発売できました。ということを報告し、パネルに移った写真はMGS4で忙しくなる前の写真だということを説明していました。現在の自分がどれだけ髪の毛が減ったかを見ればどれだけ過酷だったかがわかると思いますといったジョークを飛ばしつつ、実際の戦場でも無事にキャンプに帰ったら帰還報告をするというデブリーフィングを行うということで、セッションを開始しています。

セッションの最初は、MGS4でサウンドの特徴的な部分を中心に説明していくという話から行われ、MGS4のサウンドがどのようなサウンドをならしていくか、デモサウンドとゲームサウンドの融合という部分に焦点を当てて語られました。



MGS4のサウンドコンセプトは、「どれだけ感情を揺さぶれるか?」をコンセプトに、人間の持つ喜怒哀楽などを表現できるかをサウンドが助長し、プレイヤーを世界に引き込んでからシンクロしてもらい、スネークとして錯覚してもらって衝撃的なドラマを演出するという部分を軸にアプローチしているとのことです。

また、サウンドチームが持つコンセプトでは二つあり、ひとつは「クリエイティブであり、無い物を作る」とのことです。

これは効果音ひとつにとっても敵が歩いているなら足音をつけるといった単純なものはもちろんのこと、戦場ではあるけれども、赤ん坊の泣き声が聞こえるといった演出も個々のデザイナーが行った演出なので、クリエイティブだとという説明がされています。



もうひとつはミキシングで、良いミキシングができれば音数もたくさん使えるし、聞かせたい音も明確に伝えられる。空間表現や演出力といった意味でも強力な武器になるので、重要に考えているといった内容が説明されていました。

サウンドの仕様部分での説明では、出力はSTREAMを含めて128Out、アプリケーション側で制御しVRAMもSTREAMとして使えるように対応されており、音源の圧縮方式はオリジナルのADPCM(一部リニアPCM)といった説明が行われ、デモプレイでは距離遅延の実演が行われ、弾丸の到達までの音などを雷の音のように遅延させているといった内容が説明されていました。

また、サラウンド部分での工夫として後方の音量を減らすようにしているとのことで、ゲームの場合、リアに音を持っていきすぎると疲れるという特性があるために、リアに関しては実際の距離よりも遠めの設定・計算にして音量を調整しているとのことです。

音源に依存しないDISC STREAMでは、デモサウンドを使用したBlue-ray DISC STREAM、音楽系のHDD STREAM 1、環境音系に使用しているHDD STREAM2といった3つのSTREAMが使用されており、今までのSTREAMだけだと厳しかった表現なども、HDDを利用することでより演出に幅が広がったという話がされていました。

また、MGS4で使用されている主な音源カテゴリは、ON MEMORY上で再生される「近景戦場」、HDD STREAMによる「遠景戦場」、これらに演出効果をもたらす「戦場ストリーム」の3つに分かれているとのことです。

たとえば近景戦場は、プログラムで再生されることもあるため、敵兵の銃声は二人目以降は若干遅らせるといった工夫や、兆弾の音なども対象に合わせた4パターンほどの音が設定されているといった内容、またランダムで距離を無視して最大音量でなるような工夫がされているそうです。

この近景戦場にON MEMORYで出しにくい音で構成した遠景戦場と戦場ストリーム(HDD STREAM)を重ねることで中距離の銃声や兆弾など、ゲーム中に表示される音とはリンクはしていないながらも、コンセプトであるNO Place TO HIDEを演出しているといった内容が語られていました。

また戸島氏曰く、KONAMIでは色々なクリエイターが作成した音を小島監督や音響監督と相談し、最後にファイナルミックスをして狙った演出までたどり着かせるといった流れになるそうですが、ON MEMORYのみでのフィニッシングは非常に難しく、ここで音数が足りないと思えばメモリのリソースもさらに必要になるといった結果になるため、戦場ストリームを不足成分の補完として空間の演出などの仕上げとして使用したと利点について述べていました。

MGS4のゲーム性を阻害しないためにもできるだけ音源はON MEMORY上に持っていきたかったものの、戦場ストリームは結果として、思い切ったアプローチになり、4チャンネルのサラウンドを回さず差別化を図るなど、ゲーム性を阻害しない演出は可能だったといいます。

また音を作成するにあたり、MGS4では各サウンドエディターとの細かいルールは設定せず、最低限として低音の使用ルールのみを決めていたそうです。

具体的には、環境音が低音を担当し、ON MEMORYや戦場STREAMは中高域で作成。重要なSEはこれらのルールを度外視してLFEまで含めたフルレンジで使用可能にするという内容だったそうです。



戸島氏が行ったもうひとつの挑戦としては、各音を小さく作り、波形を潰さないことを徹底的に行ったそうです。

これはダイナミックスをしかっりと使いたいということで、急に怒声が聞こえたらびっくりするような部分も大事にしたいためとのことです。

制作工程では、最初に音声を小さめに作ってアプローチしてみたものの、結果としてこれが非常に困難を極めてしまい、サウンドエディターたちがが音の波形を潰すことに慣れてしまっていたため、効果音が音楽のほうで潰されていたり、さらには開発チーム内での社内音量競争が発生し、音声が基準にならずに非常に苦労したとのことです。

これは、最初の音圧ビジョンが甘く、最大音量は主観視点で作っていたが、そうはいかなかったため、後半になり巨大な乗り物が出てくるシーンなど、小島監督の最大音量で鳴らせといったリクエストがきたりといったこともあり、仮に128という音量をMAXに設定できるツールがあったとして、大きな乗り物の音を160と設定すれば周りが合わせて音量を下げてくれるようなツールがあれば助かったかもしれないと話していました。

戸島氏はスライドの要所にポイントとして「伝えたいこと」を用意しており、ビジュアルでは、キャラクターがコピーされて使用されていれば気づいてしまう恐れがあるため、高解像度のゲームではビジュアル部分ではつらい部分があるかもしれないといった反面、サウンドは原始的な部分もあり10人くらいの音声を聞きわけられればすごいという話もあるほどで、1000ほどの音源を出したらわからない。人間がリアルに体感できるような部分ではサウンドで埋めていきたい部分だという話をしていました。

続いて語られたのは、ゲーム中のボリュームコントロールになります。



MGS4では危険(ALERT)、回避(EVASION)、警戒(CAUTION)、潜入といったゲーム中のスネークの状況がありますが、サウンドではシーンごとに各チャンネルのボリュームをコントロールしているとのことです。

たとえば潜入時はすべての音量が下がった状態になっていますが、敵に見つかった危険モードでは、危険曲と回避曲の音量がMAXで演奏され、回避シーンでは回避曲が70%ほどの音量に、警戒では警戒曲がMAXになるといった演出がされているそうです。

また戦闘が激化したた場合は、前述の危険モードに加えて戦場STREAMもMAXになるといった演出効果が行われているとのことです。

それらの演出の他に、ゲーム中に登場するiPodを使用している場合は危険、回避、警戒のチャンネルはiPodが使用し、戦場STREAMのみが再生されているといった内容になっているそうです。

これらの処理としては、環境音が聞こえなくなり、ON MEMORYと戦場ストリームの音量を若干絞った状態にしており、ヘッドフォンを使用した場合を演出しているとのことで、iPodで音楽を再生中の時はそちらを主軸にしているため、銃声が聞こえなくなるという効果になっているとのことです。

この部分での「伝えたいこと」では、今後の課題として、同じステージで何回見つかっても、同じ戦闘の曲が流れてしまうと、プレイヤーは冷めてしまうので、そこをいかに変えていくかといった話や、曲のバリエーションが増やした場合、必要な曲が増大になってしまい、スネークの目的にブレが生じてしまうといった可能性もあるといった話がされました。

そのほかにもデモとHDDSTREAMを併用した手法も公開され、音楽の再生の終わり目にHDD STREAMを持っていくといった内容が公開されました。

MGSのインタラクティブシーンでは、一部のキャラクターはスクリプトのようなもので動作しており、中東シーンでの民兵の動きなどかなり固定されているようです。

また、各章の冒頭にあるブリーフィングで、METALGEAR MkIIを操作することができますが、MKIIの居場所によって、登場キャラクターの声に遮閉がかかったような効果をだすようなことなども行っているといったないようが公開されました。

戸島氏は、HDD STREAMの利点として、MGSシリーズのみならず、これまではボスとの戦闘前にローディングがあり興ざめする部分もありましたが、HDDからのストリームなどを併用することで、音楽を含めスムースに流れを演出できるといった利点もできたことをアピールしています。

また、ゲームは描画などもリアルになってきており、ゲームという特性上パーツの切り貼りやCPUが行うデジタル判定なども多いため、自然な部分を演出するのは難しいけれども、デモシーンのいいところは時間軸というもうひとつのリアリティを演出できるといった内容が語られ、「賛否両論のあるMGS4のデモシーンですが、ゲーム中では同じ兵士が出てきたりといった時間軸のずれが生じますが、デモ中はリアルな時間が流れており、ゲームの場面にも自然な時間が流れ始めたといったこともできるようになりました。」といった内容や、「ゲームの時間軸はワークフロー的にもバラバラでできてくることもあり、最初に作るデモがエンディングのMAだったり、戦場のシーンが上がってきたら気合いを入れて作ったら、次の戦場はもっと強い音へといった指定があったりと、それぞれのバラバラな制作工程ではあるが、物語の流れを把握していくことが大事です。」といったメッセージがセッション参加者に送られました。

最期に戸島氏は「時間軸というもう一つのリアリティがこれからのテーマになるのではないか」という言葉とともに、「現在のゲームで表現できるのは視覚、聴覚、振動くらいですが、ディレクターのリクエストである生活臭のある街や火の音にしてももっと熱い火の音などちょっとした工夫でできることが可能ではないだろうか」といった結論で講演を終了しました。
《鬼頭世浪》

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