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【オンラインゲーム一週間】コピーソフトとの戦い、任天堂の戦略

ゲームビジネス その他

北京オリンピックも終わり、次はペナントレースの行方が気になる8月最終週は、コピー問題に関する取り組みのニュースがいくつも舞い込んできました。今回も少しだけオンラインゲーム中心からは外れた内容となります。

韓国任天堂(Nintendo of Korea)はニンテンドーDSでコピーソフトを助長する「マジコン」の販売自粛をインターネットのショッピングサイトに対して要求しています。韓国任天堂はこれまでにもコピーソフトへ厳しい姿勢を取っており、今後も「マジコン」への取り組みが続きそうです。

アタリ、Topware Interactive、Reality Pump、Techland、Codemastersの5社はファイル共有で不正にゲームを手に入れた25,000人に警告、これを無視した500人を提訴。1,600ポンド(約480万円)の支払いを命じられた人も出てきています。

ユーザーを訴えるというアタリなど5社連合の動きに対して、エレクトロニック・アーツのEA SPORTSプレジデントを務めるピーター・ムーア(Peter Moore)氏は、「音楽業界に倣えばユーザーを訴えても上手くいかない」とコメント。こうした運動に参加する考えのないことを明らかにしました。

また、id SoftwareのCEO であるトッド・ホレンスヘッド(Todd Hollenshead)氏は、PCで音楽や映画などが違法ダウンロードされていることを知りながらハードウェアメーカーが有効な対策を行わないばかりか、消費者への“隠れた利益”として黙認しているとハードウェアメーカーの姿勢を非難するコメントを発表しています。

コピーの際に物理的な劣化が起こる書籍と異なり、ゲームソフトはデジタルメディアですので原本と寸分違わないコピーを作り出すことができます。コピーはゲームの黎明期からずっと続いている問題ですが、近年は「マジコン」などハードウェアの販売が利益を生み出すことやファイル共有で大容量のデータをやりとりできることから悪化の一途を辿っています。

ソフトをコピーしても認証が不可能であるため、プレイには正規の料金が必要となるのがオンラインゲーム。しかしこちらは流出ソフトを使った違法サーバーが世界各地に存在しており、コピー問題とは無縁ではいられません。

違法コピーは法的にもユーザー感情的にもなくなることが望ましいのはもちろんのこと。ではこれをいかにして実現するかが問題となるわけですが、ピーター・ムーア氏のコメントは非常に深いものを含んでいます。音楽業界では違法ダウンロードしたユーザーを訴えるということが行われてきましたが、氏のいうように「ユーザーを訴えても誰も友達は作れない」ことを学ぶ結果となりました。

任天堂はこれまでGBAのソフトをファイル共有で配布した男を告訴するなど、5社連合に近いユーザーを訴える手法を取ってきましたが、最近の手法は「マジコン」を売る「コピーソフトで利益を得る業者」がターゲットとなっています。GBAとNDSのハード的な事情の違いもありますが、この変化には大きなものがあるのではないでしょうか。

たとえ話をしましょう。あなたはレストランへ食事にいきました。食事をしていると食い逃げしようとした人が捕まり、警官達に連行されていきました。食い逃げは犯罪ですし、これを捕まえることも何の問題もありません。しかし、折角食事とムードを楽しんでいるのだから、取り締まりは他の所でやって欲しいと思うのが本音ではないでしょうか。取り締まりを店内で行っているのがアタリなど5社連合の手法。店の外のどこかで食い逃げの手引き書を売ったブローカーを叩こうとしているのが現在の任天堂の手法です。

「コピーソフトで利益を得る業者」は個人ではなく集団。そうした意味で個人であるユーザーから遠く、ゲームを楽しまず不当な利益を得ているという点で更に遠くなります。つまり、正規ユーザーにとっては全く異質な存在なのです。異質かつ違法なものを排除することで、クリーンなゲーム業界を取り戻す。この図式は極めてシンプルなものです。「コピーソフトで利益を得る業者」を正常なゲーム業界の外部からの侵略者であると位置づけている訳です。

正しいことをするにも分かりやすさと人々からの支持が大切になるのが現代のイメージ社会。「マジコン」というハードの特殊性と、これを売る業者をターゲットとする路線変更によって、任天堂はコピーソフトとの戦いにおいてシンプルな図式を手に入れました。ピーター・ムーア氏が5社連合の手法を「上手くいかない」と評したのは、こうしたシンプルな図式の有無なのではないでしょうか。確かに、店内で食い逃げを捕まえて罰金を請求する5社連合の手法は任天堂のやり方と比べるとストレートに見えますが、だからといってコピーソフトへの対策を怠ってはならないのも事実。シンプルな任天堂式とストレートな5社連合式、コピーソフトという魔物に有効な打撃を与えるのはどちらなのか、非常に興味深いテーマといえるでしょう。
《水口真》

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