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【DIEC2005】 岩谷氏がパックマンの面白さについて語る[5]

ゲームビジネス その他

さてさて次なる登壇者は『パックマン』の生みの親として知られる株式会社ナムコ インキュベーションセンター コンダクターの岩谷徹氏です。ナムコは1974年にアタリの日本法人を買収した経緯があり、ブッシュネル氏のアタリとは深い繋がりがあります。岩谷氏は「The secret of PAC-MAN's success」というタイトルで、「ビデオゲームの源流」からスタートしました。

岩谷氏が最初に紹介した『Tennis for Two』(1958年)は一番最初のゲームの1つと呼ばれ、アメリカ・ブルックヘイブン国立研究所のウィリー・ヒギンボーサム博士が一般公開の為に制作したものです。ミサイルの軌道計算を応用してオシロスコープで動いているものです。日本テレビの番組で使われた貴重な映像も上映されました。次に『Space War』や『PONG』そして日本産の『スペースインベーダー』が紹介されます。そのころから日米の競作が始まり、タイトー、アタリ、ナムコ、セガ、任天堂といった会社が「アタリを追いつけ追い越せが合言葉。我々にとってはアタリという会社が先生だった」と話しました。

1980年には『パックマン』が発売されます。パックマンは日本のみならず米国でも大ヒットし、最高視聴率52パーセントとして驚異的な数字をたたき出したアニメが放映されたこともあるそうです。また2005年には29万3000台という業務用の最高売上を記録したタイトルとしてギネスブックに載りました。これはナムコから申請したものではなく、ギネス社の側から「載せてもよいか?」という話があったものだったそうです。

岩谷氏によれば『パックマン』には3つのコンセプトがあったそうです。1つ目は、当時のゲームセンターは男ばかりで殺伐としていて、それじゃ楽しくない、女性が遊べる、カップルで遊べるというものです。そして2点目として、どうやったら女性に受けるだろう?ということで「食べる」という動詞を使うことです。最後は、非常に優秀なプログラムによる、隠れたスパイスとしてキャラのモーションにも秘密があったそうです。

岩谷氏がプログラマに対して要望したのは「敵はパックマンを追いかける」というものだったそうです。しかし普通に作ってしまえば、敵は数珠繋ぎになり面白くなくなってしまいます。そこでどうしたかというと、それぞれの敵は別の所を狙って動いていくようにしたそうです。具体的には赤の敵はパックマンの中心点を狙って進み、ピンクはパックマンの口先の25ドット先を目指し、青はパックマンと点対称の位置に進み、オレンジはランダムで進むそうです。このことによって絶妙なバランスが生まれがぜん面白くなったと岩谷氏は指摘します。

また、『パックマン』のシンプルさも成功の秘密だと考えられます。岩谷氏はこのシンプルさのお陰で「もちろん狙ったわけではないけれど、携帯電話に移植するのが非常に簡単だった」としました。海外でも売れ行きがいいそうです。もう1つ驚きの例としてNHKが放送した「天才ザル カンジくん」の映像を流し、カンジくんがパックマンを上手く操作するところを紹介しました。エサを取った状態では敵を追いかけるという所まで理解しているようでした。そして「要はサルでもできるゲームはヒットする」と話して会場は爆笑でした。「最近は複雑なゲームが多かったけど、シンプルなゲームに戻ってきているのではないか」とも指摘しました。

岩谷氏は次にアタリ『Grand Track 10』から『Ridge Racer』までレースゲームの振り返ることで技術的な進歩について話をしました。これまでの進歩のトピックとして2D→3Dという映像表現、メモリは最初のナムコのゲームの5KB→4000000KB、そして固定→稼動筐体という3つを挙げました。今後の注目技術については、ディスプレイの面でLCD、プラズマ、有機LE、インターフェイスでは各種センサー、没入型のディスプレイとしてHMDディスプレイやVR、そしてAIを挙げています。

将来のゲーム機に関しては「いまXbox360、PS3、レボリューションという次世代機が出ようとしていますが、リビングのテレビにゲーム機を繋いで遊ぶというスタイルはいつまで続くのか? 自室にPCがあって、当然ネット環境がある。キーボードでテキストを入力して遊ぶゲームや、ゲーム専用コントローラーをつなげればゲーム機になる。専用の世界汎用のチップを共同開発してチップをPCメーカーに入れてもらって、PCを汎用のゲーム機にする。そして自分の部屋でやろうじゃないか、そういう時代になるんじゃないか。ゲームに詰まったら辞めて、攻略サイトを見てヒントを得て再開する。技術的にはそうなるんじゃないかと考えています」としました。

岩谷氏は常に考えている言葉として「Fun First」(楽しさ第一主義、楽しくなけりゃゲームじゃない)を紹介します。「間口の広い易しい設定から入って、徐々に、という風にしていかなければいけない。そのためには人間の心の研究は大切で、心のメカニズムを常に問いかけていくのがゲーム作りじゃないか」と述べました。

最後に3つの言葉を紹介します。

1.勇気を持って事に当たる
2.ゲームを作るために生まれたんだというくらいの使命感
3.それを推進するエネルギー

「勇気、使命感、エネルギーの3つがあれば必ず皆は成功すると常々言ってます。ですので諦めず勇気を持って事に当たり、使命感を持ってエネルギーがあれば必ず成功する。ですので若い開発者の方もおられると思いますが、それを信じてまい進してもらいたいと思います。どうもありがとうございました」
《土本学》

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