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【DIEC2005】インタラクティブ・エンタテイメントの歴史と展望[1]

2005年12月2日に立命館大学衣笠キャンパス以学館2号ホールにて、国際シンポジウム「Digital Interactive Entertainment Conference 2005 インタラクティブ・エンタテイメントの歴史と展望」が開催されました。立命館大学はインタラクティブ・エンタテイメントの研究に力を注いでいてゲームアーカイブ・プロジェクトなどを推進しています。今回のシンポジウムは文部科学省21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」、文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業「デジタル時代のメディアと映像に関する総合的研究」の研究成果の発表の場でもありました。

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2005年12月2日に立命館大学衣笠キャンパス以学館2号ホールにて、国際シンポジウム「Digital Interactive Entertainment Conference 2005 インタラクティブ・エンタテイメントの歴史と展望」が開催されました。立命館大学はインタラクティブ・エンタテイメントの研究に力を注いでいてゲームアーカイブ・プロジェクトなどを推進しています。今回のシンポジウムは文部科学省21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」、文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業「デジタル時代のメディアと映像に関する総合的研究」の研究成果の発表の場でもありました。

京都駅からバスで約40分の衣笠キャンパスにある以学館2号ホールは約300名程度が入れると見られるホールで、参加者は事前に入場受付が必要でした。英語でのスピーカーが2名招かれている関係で、同時通訳レシーバーの貸し出しも行われました(英→日のみ、外人の参加者も多く居ました)。

スケジュール

開会挨拶(10:30-10:40) ・細井浩一(立命館大学教授)

基調講演・「インタラクティブ・エンタテインメントのデザイン展望」(10:45-11:45) 武邑光裕氏(立命館大学チェアプロフェッサー、札幌市立大学設置準備室教学研究担当部))

シンポジウム

第1部「ゲームデザイン・テクノロジーの源流」(12:50-15:15) ・ノラン・ブッシュネル氏(アタリ社創業者、元会長) ・大墻 敦氏(NHK衛星放送局制作部チーフ・プロデューサー) ・岩谷 徹氏(株式会社ナムコ インキュベーションセンター コンダクター) ・上村雅之氏(任天堂株式会社アドバイザー、立命館大学教授)

第2部「ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来」(15:30-17:30) ・宮本 茂氏(任天堂株式会社専務取締役情報開発本部長) ・ロビン・ウォーカー氏(Valve Corporation, Design Lead) ・小島秀夫氏(コナミ株式会社執行役員、小島プロダクション代表) ・浜村弘一氏(株式会社エンターブレイン代表取締役社長)

閉会挨拶(17:30-17:40) ・長田豊臣(立命館総長・立命館大学長)

今回のシンポジウムは上のようなスケジュールで、各人が独立して講演を行っていきました(最後の小島氏と浜村氏だけは宮本氏、ロビン氏を交えてのラウンドテーブル形式)。

しかしこれだけの豪華なメンバーは滅多に揃うものでは在りません。ゲームの生みの親に始まって今も一線で活躍するクリエイターの話を聞けた参加者は幸せだと思います。活躍されている方たちだけあって話の内容も頷くような内容ばかりでした。個人的にはアタリの創業者であり、父であるノラン・ブッシュネル氏を見れたことは収穫でした。話も鋭いってなんの(Mr.Cubeの「autograph please」が通じた事にも感動(笑)signでないことを知ってたのを褒めてください)。

ノラン氏も宮本氏も上村氏もなかなか大勢の前で講演する機会の無い方々です。そんな貴重な話を順番に紹介していきます。

開会挨拶 細井浩一(立命館大学教授)

最初に開会挨拶として壇上に上がったのは立命館大学教授の細井浩一氏でした。

細井氏はまず、ゲーム全般を指すインタラクティブエンターテイメントの意味が急速に拡大している、例えば携帯やネットワークを利用した活用がされているとしました。その例としてニンテンドーDSを利用して(ピクトチャット?)講演の連絡をしていたそうです。細井氏の話が長ければ「そろそろ終わってね」と連絡ができると。

それにも関わらず、細井氏はこの分野の研究が進んでいない「遊びと人間という学問的研究のフレームワークは非常に貧弱」と指摘しました。

具体的には、この分野の古典としては「遊びと人間」や「ホモ・ルーデンス」という書があります。そして最近になって「フロー体験 喜びの現象学」・「人間はなぜ遊ぶか」という本が生まれました。しかしこれらはアカデミックな潮流とは成り得ませんでした。しかしその状況が変化したのは90年代からで、「新・電子立国」、「テレビゲーム文化論」、「ゲーム立国の未来」など色々な分野での著作が生まれ始めました。

しかしながら、それは一応の集結を迎えてしまったのではないかと細井氏は言います。ここ数年「Computer Game」、「Rules of Play」、「INTERACTIVE DESIGN」といった本が出版され、特に最初の「Computer Game」は学問のハンドブックであり、ハンドブックが出たらその分野は終わりというのが一般的に言われます。しかし、これらは全て海外で出版された物で、我々がそれをやらなくてはならない、これが今回のシンポジウムの意味ということを示唆して、細井氏は開会の挨拶を終えました。

ちなみに当日、立命館の琵琶湖のキャンパスの方ではSCEでプレイステーションの開発者の方の講演があったそうです。「このシンポジウムを早退して琵琶湖の方に行かれないように」と話して笑いを誘っていました。組織が大きくなるとこういうこともある、と話しておられましたが少し残念でしたね。
《土本学》
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