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【PEOPLE'S PROFILE】第2回 岩井俊雄

ゲームビジネス その他

超不定期連載、第二回は『エレクトロプランクトン』の岩井氏を紹介します。

岩井俊雄は日本だけでなく世界で活躍し高い評価を受けている、日本を代表するメディアアーティストです。任天堂からニンテンドーDS向けに発売される『エレクトロプランクトン』を制作しました。東京大学先端科学技術研究センター特任教授。

81年に筑波大学芸術専門学群総合造形コースに入学後、8mmフィルムやビデオを使い実験アニメーションの制作を始め、翌82年に第1回OMNIアートコンテスト佳作を受賞しました。以後多数の作品を制作し、85年には映像インスタレーション「時間層 I」でハイテクノロジーアート公募展金賞受賞、「時間層 II」で第17回現代日本美術展大賞受賞。87年に筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻総合造形コースを修了しています。

岩井氏は早い段階からコンピューター・ゲームに関心を持っており、87年にビジュアル・ミュージック・ゲーム『OTOCKY』をファミコン向けに制作しました(アスキーより発売)。

『OTOCKY』は今はポケモン関連商品の総プロデューサーを務める株式会社ポケモンの石原恒和氏が関わっていました。若き日の石原氏は、CG制作を志しセディックという制作会社に務めていましたが、岩井氏も同じ頃セディックに出入りしていました。2人は同じ筑波大学で石原氏が先輩に当たりますが、どのような出会いだったのかは不明です。兎も角2人は出会い、フジテレビで放映された「糸井重里の電視遊戯大展覧会」などの番組を制作します。

石原氏はここから任天堂と糸井重里氏が設立したエイプに引き抜かれ、後にポケモンのプロデュースをします。岩井氏は「TV-EV電視進化論 浅田彰4.5」で始めてテレビにCG映像を用いて、後にウゴウゴルーガの「テレビくん」になります。岩井氏は筑波出身者に多いAMIGAフリークの一人であり、これらの作品もAMIGAで制作されたそうです。

岩井氏は90年秋よりフジテレビ「アインシュタイン」にてCGによる映像美術を担当し、91年秋には8ヵ月間サンフランシスコ・エクスプロラトリアムにて客員芸術家として作品を制作しました。92年スペイン・セビリア万博日本館に作品出品。92〜94年にはフジテレビの子供番組「ウゴウゴルーガ」にて、ライブとコンピュータグラフィックスを組み合わせた映像を実現しました(現在、CS放送のフジテレビ721/739で再放送中)。

1994年10月に任天堂からスーパーファミコンで発売される予定だった『サウンドファンタジー』は岩井氏の作品でした。これは伊藤あしゅら紅丸氏が始めて関わったゲームでもあるそうです。結局、発売には至らずお蔵入りとなってしまうのですが、PC向けとしてマクシスから『シムチューン』として発売されたようです。これのプロデューサーは石原氏でした。

その後はゲーム作品は途絶えますが、メディアアーティストとして確固たる地位を築いていきます。92年セビリア万博、93年ECジャパンフェスト、95年リヨン現代美術ビエンナーレなどでは日本代表として優れた作品を出展した。96年に発表した坂本龍一とのコラボレーション・パフォーマンスではアルス・エレクトロニカ(オーストリア)のインタラクティブ・アート部門グランプリを受賞している。

次なるゲーム作品はワンダースワンの開発環境「ワンダーウィッチ」にて自主制作された『テノリオン』という作品です。16x16のマスにドットを描いて手軽に作曲ができるというものでした。現在は立花ハジメ氏の「アーティストC.The END」にてiアプリ版がダウンロードできます。ワンダーウィッチを使った作品ではボタンに合わせてキャラが踊る『ゆびさきダンス』もあります(展示会のみで公開)。

2002年7月ににSCEから発売されたPS2『びっくりマウス』も岩井氏の作品です。CGアニメーターで頻繁に共に仕事をしている、うるまでるびとの共同制作であります。ゲームの方は、マウスを使って色々な絵が描けるというものでした。単なるペイントツールとしてだけでなく、描いた絵が上手い具合にアレンジされる機能も付いています。

さて、4月7日に発売されるニンテンドーDS向け『エレクトロプランクトン』ですが、制作のきっかけは任天堂側からの誘いだったそうです。岩井氏は、2004年の始めに岩田氏や宮本氏に呼ばれて、ニンテンドーDSの企画書を見せられて「ぜひこれは岩井さんに何か作ってほしいものなんだ」といわれたそうです。5月には実際の試作品を見て、これは今までやってきたような作品が実現できると思い、制作をスタートしたそうです。

岩井氏はこれまでに「触れる映像・音楽作品」を多数制作してきました。触れるタッチパネルを搭載したニンテンドーDSは正にぴったりのハードです。今回の『エレクトロプランクトン』は「アーティストとしての20年近くの蓄積が始めて濃縮された形で今回の作品になった」とのこと。岩井俊雄の集大成を早く体験してみたいですね。

最後に岩井氏のゲーム以外の代表作品を紹介します。「映像装置としてのピアノ」はトラックボールで描いた光がグランドピアノを演奏する光と音楽の調和を楽しめるものでした。「テーブルの上の音楽」はテーブルの点を触ることで音楽が鳴らせるものです。「SOUND-LENS」は様々な光を当てて、それに応じた音を鳴らす装置です。これらは『エレクトロプランクトン』のヒントになりそうですね。また、ジブリ三鷹の森美術館の映像装置の一部も氏の作品です。
《土本学》

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