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【インサイド・テクノロジー】第2回 ウェアラブルコンピュータ

ゲームビジネス その他

はじめに 〜ウェアラブルコンピュータとは何か?

皆さんウェアラブルコンピュータという言葉をご存知でしょうか。直訳すれば「着れるコンピュータ」という事になります。

現在はコンピュータの小型化が大いに進み、携帯電話の小型化とその性能向上などは皆さんも知っていると思います。そしてドンドン端末が小さくなっていったときに、その行き着く先が「ウェアラブルコンピューター」であるとされているのです。

つまり、今ではポケットやバッグに入れている携帯電話も、もっと小型化が進めば服の一部として体に装着できるというわけです。現在でも腕時計型携帯電話など、一部ではウェアラブルと呼べるようなものが既に商品化されていたりします。

そして今回のレポートは2005年の3/16〜17と二日間に渡って行われた、ウェアラブルコンピューティングの記念すべき第一回目の学会について書いていきたいと思います。

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)

HMDという言葉を聴いたことがあるでしょうか。これは要するに頭に装着可能なディスプレイの事です。ドラゴンボールに出てくるスカウター何かもHMDの一つと呼べますし、 SF映画なんかではお約束のように出てくるウェアラブルコンピュータの一つですね。

通な人はすぐにVirtualBoyなんかを思い出すことでしょう。最近でもゲームで使用できるようなHMDは販売されていますし、手軽に超大画面が楽しめる物として認識されているとおもいます。

しかしこのHMDというのは数年前には流行っていたのですが、最近ではめっきり姿をみなくなりました。知り合いにゴーグルみたいなディスプレイでゲームしてる人いますか?いませんね。

時代のニーズは一人でプレイするのに適した没入型のHMDを拒否してしまったのです。 SF映画やなんかでは全感覚型などといって、 HMDと頭にかぶるようなコントローラーで仮想世界を完全に再現するようなゲームがあったりしましたが、いまのNDSが売れている現状を考えると、そういったリアルな感覚を再現するような物が受け入れられるのはまだ先に思えます。

というか皆で楽しむようなゲームではやはり、視界を完全に覆ってしまうような没入型HMDは使いづらいわけです。

あと、視界を覆うのは危ないなど細かな理由もありますが、 HMDが数年前から存在しているのにいまいちはやっていない理由はそんなところです。

透過型片眼HMD

そして、視界を完全に遮ってしまうHMDと対極にあるHMDもあります。これは透過型で、ディスプレイの向こう側にちゃんと外の風景がみえるという物です。既に商品化されていて、現在のウェアラブルコンピュータではこっちのHMDが主流となって、研究が盛んに行われています。

http://www.shimadzu.co.jp/hmd/

ちょうどスカウターと同じような感じですね。ただ従来の遮蔽型のHMDに比べて、明るい場所でディスプレイが非常に見づらくなるという問題点があります。

今後ゲーム機にHMDが搭載されるとすればこちらの片眼型になるでしょうね。

テレビゲームとウェアラブルの関係

ウェアラブルというのは一つの新たなコンピュータの使用形態の事ですから、ゲームとは切っても切れない関係にあります。 VirtualBoy以外に、実際今までウェアラブルコンピューティングと呼べる技術がゲームにつかわれた事例もあります。

古いものでは手袋型コントローラー「PAXパワーグローブ」というものがあります。これは手首や指の動きによってゲームを操作するというコントローラで、なんとファミコン用です。

余りに得意すぎるインタフェースであり、しかも非常に高価(ファミコン本体より高かった)だったため全く普及しませんでしたが、技術的には非常に面白い物があります。芸術的にも面白い物で、このコントローラを使ってライブをするようなテクノユニットも存在しました。

このようにウェアラブルコンピューティングとはHMDに限った物ではなく、今後ゲームに応用される可能性も非常に高いためインサイド的には要注意な分野なのです。

研究会概要

ゲームに直接関連するような発表はありませんでしたので、その概要を掻い摘んで挙げて行くことにします。次回以降で個々の技術についてゲームに応用可能なのかどうか考察していくことにします。

  • 複数のウェアラブルカメラの制御システムの設計と実装
    • これは衣服にぐるっとカメラを取り付けて、その映像をHMDに表示するというシステムの研究です。回転デバイスをつかって、ボリュームをひねるようにしてカメラを切り替えたり、自動で切り替えるためのスクリプトの設計実装を行っていました。

  • 光学式シースルー型HMDのための背景を考慮したオブジェクト配置手法の実現
    • 透過型HMDは背景の明るいところでは全く表示が読み取れなくなってしまうという問題があるので、それを回避するために自動的に表示するオブジェクトを背景の暗い場所に移動させるというシステムでした。

  • 拡張現実感とウェアラブルコンピュータを用いた応用研究に関する取り組みについて
    • ウェアラブルコンピューティングを使って色々やるための基礎技術に関する色々な取り組みについての発表でした。具体的には、壁に貼り付けてある光学式のマーカー(バーコードの一種)を、装着しているカメラが意識的にその方向を見ることなしに読み取れるようにするシステムや、仮想物体を現実物体と同じフィールドに表示させ、手で仮想物体も同じように触れるようなシステムでした。

  • Wearable infrateed Frenzel goggles system for diagnosis and remedy of verigo
    • これは遮蔽型ヘッドマウントディスプレイによって、めまいを訴える患者の診断を行うシステムでした。従来型は非常に高価で、患者の目の状態がTVに表示されてしまうため、医者が患者とテレビの両方に注意しなければらないのを、HMDで両方表示してしまうことで解決するといったようなシステムです。

  • ウェアラブルセンサと環境センサを統合した体験メディア構築の試み
    • 人間と様々な物体との関わりをデータとして収集し辞書化することで、人間とその周辺の物体との関係を機械可読するようなシステムへの取り組みでした。自分の持っているカメラに写っているものを識別できれば、それらの組み合わせによって本人がどういう状態にあるのかという事を機械的に知ることができるといった感じです。

  • 「平城宮跡ナビ」マルチメディアコンテンツを利用したウェアラブル型観光案内システム
    • これは、HMDに限らずPDAや携帯電話などGPSを持つ端末でリアルタイムに観光案内情報を配信するようなシステムです。HMDの場合は実際の風景の上に立体的に昔の建物をCGで重ね合わせて表示し、その中を歩けるといったような事をしていました。またどの観光地にどれだけの人間がいるなどの情報をつかって面白いこともできるのではないかという話でした。

  • 物探しを支援するためのウェアラブル拡張記憶システムの実現に向けて
    • これは自分の装着しているカメラが、物をどこかに置くという動作を感知してその映像をすべて記録し、自分が何かの物体の置いた位置を知りたいときにそのときの映像を表示することで物探しを支援するというシステムです。一見単純に見えますが、カメラのまえで対象物をクルクルと回すだけで物体の形なんかを認識したりと、なかなか高度な技術をつかっていました。

  • ウェアラブルコンピューティングのための拡張可能なイベント駆動型プラットフォーム
    • これはウェアラブルコンピュータを統一的に扱うためのスクリプト言語の開発についてです。具体的には、ある建物に近づいた時にその建物から専用のスクリプトを自動で受信して実行し、建物内の案内をさせるなどといったことができていました。また自分のウェアラブルコンピューターを新たに追加したときも、自動でこのスクリプトを読み取って使用するといったこともやっていました。またウェアラブルデバイスを統一的に扱えるため、仕様していない機器の電源を自動でOFFにして省電力にしたりといったとりくみもありました。

  • チームつかもとウェアラブルコンピュータ安全性検討委員会報告
    • これは「チームつかもと」というウェアラブルコンピュータで前線と行く研究チームの、HMDについての安全性検討委員会の報告です。一番面白かったのは、片眼HMDが幼児期の人間んいとっては非常に体に悪影響を及ぼすといった物でした(その後大人になっても立体視ができなくなる可能性がある)。

  • 小型鍵盤楽器を用いた音楽活動支援システムについて
    • これはHMDとは離れるのですが、キーボードをいかにサイズを小さくして携帯できるものにするかといった研究でした。具体的には鍵盤数自体を減らしてしまう代わりに、右手で引く場合と左手で引く場合に、違う音がなるようにするというような手法でした。
      また、これの発展的研究として、着れるピアノの製作についても言及されていました。

  • ロータリーエンコーダを用いたポインティング方式の設計と実装
    • 現在のウェアラブル機器への入力デバイスというのはあまり良いものが存在しないそうで、マウスに匹敵するようなものが作れないかという取り組みでした。具体的には1軸の回転デバイスをつかって、縦の動きと横方向の動きを交互に入力したり、といったものでした。従来のものに比べると入力効率は良いものの、やはりマウスに匹敵するようなものではなく今後もさらなる研究が必要といったかんじでした。

  • 箏と連動するウェアラブルファッションの実現
    • これは箏の演奏にあわせて光る服を製作するというものでした。

  • 個人快適温度環境構築に向けたウェアラブル技術の利用
    • これは、現在の段階でニーズの存在するようなウェアラブルコンピューティングを考えた研究でした。人間の体温自体を感知して服自体が暖めてくれるようなシステムと、自分の周りに存在する電磁波の量などを表示してくれる服の開発をしていました。

  • カメラと加速度センサを用いたポインティングデバイス方式の設計と実装
    • これは自分の顔を撮影するようなカメラを装着して、自分の目の動きによってポインティングデバイスのON/OFFを切り替えるシステムと、首の動きによってマウスの操作を行うシステムの開発でした。
《土本学》

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