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「文化庁メディア文化祭」エンタメ部門受賞者シンポジウム

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渋谷区恵比寿といえば、おしゃれなお店が並んでる、ちょっと大人びた町として知られています。その中にある東京都写真美術館にて、「文化庁メディア文化祭」が行われました。ここでは、メディア文化章を獲得した多くの作品が展示され、賑わっていました。

そのイベントの一環として行われたシンポジウムの中で、見事大賞に輝いた『まわるメイドインワリオ』の制作スタッフの代表、阿部悟郎氏、優秀賞に輝いた「鬼武者3 オープニングシネマティクス」の倉澤幹隆氏と、審査員の一人であり『ポケットモンスター』シリーズの株式会社ポケモン代表である石原恒和氏が、エンターテイメント部門のシンポジウムに出演しました。ここでは、『まわるメイドインワリオ』に的を絞ってレポートしたいと思います。

まず、石原氏が自己紹介をかねて「そこそこ盛況で少し安心致しました、15秒だけ宣伝させて頂きますと、本日3/5にポケモンセンターヨコハマをオープンさせて頂きました、これを言うとちょっと元をとったかな?」と話すと会場から笑いが起こりました。

そして、阿部氏によるプレゼンテーションに移り、氏がソフトについての紹介を行い、その中で「回すたびにクイックイッと振動しまして、それによって回している感覚が伝わって来るということで、ちょっと不思議な感触が体験できるものとなっています」と述べました。そして、遊んでいる姿を紹介するために、CMを全種類放映しました。しかし、すべて見るととても長いものです。

阿部「実際プレイしている姿が実に異様なゲームでして、思いっきり逆さにしないと行けないゲームとかありまして、遊んでいる姿を見て楽しむというのもこのゲームの楽しみかたかなと」

その異様さを伝えるパフォーマンスとして、ガシャコロンのレコード「こちら☆モナピザ」を、回転椅子の上に乗せて回して実演、異様さが伝わってきました。曲の破調さに会場からも笑いが。

阿部「昔の『ソノシート』みたいな遊び方も出来まして、(椅子を回し過ぎると)落とす可能性もありますので、あんまりおおっぴらにやって下さいとは言えませんけど(笑)、それに気を付けてこういう遊び方とか、割合そういう仕掛けがたくさん入っていますので、好きに遊べるというのが、作っている側もいろいろ考えて入れたところです」

石原「素晴らしいパフォーマンスをありがとうございます」

続いて、審査の流れの説明へ移りました。

石原「今年はですね、200作品を超える応募がありまして、このエンターテイメント部門の領域は広く、おもちゃのようなものから、こういったゲームのようなインタラクティブなものまで、たくさん寄せられてきまして、そして、『まわるメイドインワリオ』が大賞を受賞しました。『まわるメイドインワリオ』に関しましては、DSで発売された最新作『さわるメイドインワリオ』も出展されましたけれども、結果として『まわるメイドインワリオ』の方が、受賞となりました、これは是非、さわって体験して頂きたいと思いますので"感覚の80%"といいますかね。伝わると思うんですけど、初めてGBAソフトとして回転センサーというデバイスがついて、動かすとカチカチカチという音がして、しかもカチカチという音に合わせて振動も伝わってきて、あれ?ダイヤルなんか無いのに、ものが確実にダイヤルとして選択されて、そして音と振動が伝わってくると、そういう仕組みに最初みんなビックリさせられまして、"こんなインターフェイスがあるんだ、架空のインターフェイスなのに、その中でゲームを選択したりプレイできる"というところに新鮮で強い印象を受けたのが入り口でした、で、しかも開発のスタイルとか、あるいは今回のテーマの審査の中心としておりました、オリジナリティと新しいものへの挑戦、いかにチャレンジングがあるかということろが、すべてのポイントにおいて『まわるメイドインワリオ』というのは素晴らしいと言うことになりまして、大賞受賞となったわけです」

そして阿部氏へ「これで勝ったな、商品になったなとか思えるポイントとか、瞬間があるとおもうんですけど、一番手応えになった点は?」と石原氏から質問がありました。

阿部「実際の所、開発の経緯と言いますと、僕自身がこの開発に参加したのは、そもそも『メイドインワリオ』の続編と言うことで、動いていたものがありまして、そこで僕自身が別のアプローチで進めようとていたものと、それとは別にオリジナルスタッフで、メインプログラマーの大沢というスタッフがいるのですけれでも、そのスタッフが他の部署からそのセンサーを持ち込まれて、それを使って『メイドインワリオ』的なアプローチでゲームを作ってみようというところから、別のプロジェクトとして動いていたものがありまして、それが一緒になったところなんですけども、一緒になる直前の所で手応えを感じていたということがありまして、その手応えというのがやはり石原さんが仰ったような、振動のところですね、最初は、センサーだけで回転させるゲームを作ってみまして、その中で回転させたりして、回している感覚が分かりにくいと言うことで、そこに一工夫入れたいと言うことで振動が入ったのですが、その振動が入ったことでゲームの手応えを得られた」

阿部「実際に振動もかなりチューニングしてまして、クリック感というものが重要だったので、『しびれる』ような感覚ではなく、立ち上がりを早くして、『クイッ』という手応えを与えるという、チューニングが大変でした(石原「それはプログラムなんですよね?」)。はい、プログラムで本当に試行錯誤ですね、本当にギリギリまで触っていた所です」

また、石原氏から「他に出展された作品(エンターテイメント部門に限らず)を見てどう思うか?」という質問がありました。

阿部「やっぱりああいうものにはすごく惹かれるんですね、見ていて気持ちよかったりとか、楽しいなって感じることが多くて・・・、実際そういうのが刺激にもなるんですけれども、実際『まわるメイドインワリオ』ていうのは、基本的にはゲームということで"遊ぶエンターテイメント"とにかく楽しめなければ意味がないものですので、むしろそのデバイスを使って"ちょっと面白そうだな"っていうようなこと、例えばさっきちょっと行ったレコード(の実演)みたいなものもそうなんですけども、これをメインに持ってこれないっていうところがあるんで、割とそういう面白いのがいっぱい出てくるんですけども、やっぱり"遊ぶ"という意味で商品として考えた時に、万人の人が楽しんでくれるかどうかというのが結構微妙だったり・・・、とかするんで、寧ろ、そういったところをちょっと我慢しつつも、(石原「我慢する?(笑)」阿部「ええ・・・」)結構このゲームなんかでも最初、面白いんだけれども最初ちょっと理解するのに時間がかかるっていうものがあったりして、そうすると、出てきたとしても、やり方が解らなくて終わってしまうということが結構あったりもするんですけど、そのときにとにかくパッと見て解らないっていうようなことがありまして、そういう、とにかく"すぐ解って、楽しめて"っていうようなところを、やっぱり最優先に持ってこなければならないので、その辺で若干違う所があるかなという気はします」

石原「ああ、なるほど・・・、でも、僕は『まわるメイドインワリオ』見てると、そんなに我慢しているようには見えないんですけどね(笑)」

阿部「そうですね、まあ、種類がいろいろと入っているんで、そういった所で、先ほどのガチャコロンっていうおまけっていうのは、そもそも"おまけ"ですので、楽しめない人がいても、とにかくたくさんあったらすごく楽しんでくれる人もいるかも知れないとか、そういった考え方で作っていましたんで、例えば人形があって、傾けると人形が『コロコロコロッ』って転がるだけのおもちゃがあったりするんですけども、そいうったものも、ホントに一瞬見て"・・・フーン"で終わる人もいれば、例えば2歳ぐらいの女の子とかが遊ぶと、そればっかずーっとそればっかり触って、"キャッキャ!"言ってくれることもあったりしましたんで、そういう割と幅広い人にこんだけたくさんのものが入ってるんで、引っかかるものがどっかにあるんじゃないかなっていう風に・・・、で、そういう意味で各スタッフが、ある意味自分たちのアーチストというか、想う物をそれぞれのものにぶつけていってるような、その集合体みたいな感じかなっていう気がします」

石原「でもその・・・、そのレコードプレイヤーは、メインには入れないでおこうという線引きはあるという」

阿部「ええ、そうですね、はい」

次に、「クリエイターを目指している人たちへのアドバイス」という趣旨の話題になりましたが、ここではちょっと飛ばします。因みに阿部氏から「みんなと違う視点や領域でものを作っていきたい」という趣旨の発言がありました。

そして、阿部氏について、石原氏が質問します。

石原「東京大学医学部(注、健康科学科・看護学科卒)を卒業されておられて、で、任天堂に入られて開発されてると、僕なんかから見ると、"なんでまたこんな業界に・・・"って風に受け止められるかもしれないし(笑)、まあ、今"みんなと違う領域"でどんな視点で仕事をしていきたいっていうようなことがあるのかもしれませんけども。そもそも、こういう物作りに医者を捨ててこちらにこられたっていう、一番大きいところって何なんですか?」

阿部「元々、医学部といっても、ちょっと特殊な医学部で、医者にはなれない医学部なんですよ。まあ、そうですね、分野的に違うのは、もともと物作りが好きで、大学を選ぶ際も、むしろ物作りをする際に、教養的にいろいろ学べるのがいいなって考えもあったりしたんで、むしろそうですね、その上でもおいしいんじゃないかっていうか、例えばそういう大学の勉強とかをしておいたら、割と他の人と違うものが作れるんじゃないかっていう、そういう考えもあったりしたんで。で、やっぱり人を驚かせたり、意外性があるものも好きだったりするので、そういう意味で今の仕事っていうのも、そういったことが出来てる、という所で楽しめている。と思います」
《剣士の左手》

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