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宮本茂氏インタビュー/次世代機・ゼルダ・マリオ128・etc

Computer And VideoGamesにNintendo Official Magazine UKに掲載されている宮本茂氏へのインタビューが掲載されています。以下はその全文訳です。長いですが、一番最後の部分が良いなあと思いました。何せThe gaming legendの言葉ですからかなり気を付けて訳したつもりですが、おかしな点もあるかもしれませんがお許しを。

任天堂 ゲームキューブ
Computer And VideoGamesにNintendo Official Magazine UKに掲載されている宮本茂氏へのインタビューが掲載されています。以下はその全文訳です。長いですが、一番最後の部分が良いなあと思いました。何せThe gaming legendの言葉ですからかなり気を付けて訳したつもりですが、おかしな点もあるかもしれませんがお許しを。

一部は既に他の記事で伝えている部分もあります。そこも含めています。

―――尊敬するデザイナーやプロデューサーは居ますか?

特にそういう人は居ません。でも私は傲慢な奴だと勘違いしないで下さい。実際に私が素晴らしいと思うゲームを作る開発者は何人も居ます。例えば私はナムコの岩谷氏が作ったパックマンを愛してますし、それでGCとGBAのコネクティビティという優位さを生かした『パックマンvs.』というゲームを作りました。

しかしビデオゲームは娯楽商品の1つです。私達が娯楽商品を作り続けている限り、クリエイターは必ずいつも今まで誰も見たことが無いような物を作り出そうと努力します。過去を振り返って素晴らしいゲームを生み出した人を尊敬するというのは、ユニークで真新しいアイデアを生むのを助ける事はないと思います。

―――今のゲームは3Dです。次の重大なステップは何になると思いますか?

それはこの雑誌の読者が容易には想像出来ない物になるでしょう。この応えは明確な物ではありませんが、私が日本人だからといって禅に誘おうという訳ではありません。ゲームクリエイターの一番大切な仕事は人々を驚かす事です。任天堂はNESや3Dゲームを世界中に広めましたが、それは人々の固定概念を打ち破る事に成功したからです。ですから、今は未だ誰も想像出来ない物を生み出すことは決して不可能ではありません。

グラフィックやサウンドのこれ以上の進歩やオンラインというのは誰もが容易に期待できるものです。それ故、驚きを作り出すことが出来ないのです。今、私達は沢山の「驚き」を経験し用意しています。しかし、未だ話す事は出来ません。なぜなら偉大な娯楽の核のアイデアは思い付く事は困難でも、盗む事は容易だからです。

―――ゲームキューブの次世代機について教えてもらえませんか?

私達は現在、いくつもの全く新しく楽しいアイデアを実現できるマシンを開発中です。しかし、残念な事に今日詳しい事を話す事はできません。2004年は『パックマンvs.』や『ゼルダの伝説 4つの剣+』のようなタイトルでコネクティビティをより楽しめるでしょう。今年はゲームキューブのポーテンシャルの全てを見る年になるでしょう。

みなさんが次世代機を触る前に、私達は沢山の新しくユニークな経験や期待しなかった喜びをGBAを含めた現在のハードで提供します。2004年の任天堂に期待してください!

―――2003年に遊んだゲームで一番のゲームは

まず、これがなければゲームに興味を持たなかったであろう多くの人を魅了した『メイドインワリオ』を褒めておかなくてはなりません。また『ゼルダの伝説〜風のタクト』もとても楽しめました。

―――レア社と別れるのは悲しかったですか

ええ、長い付き合いでしたから。しかし、交流は続いています、任天堂とレア社は独創的で新しいものを開発しようという同じ姿勢を持った会社です。パートナーとして一緒に仕事をする事はないかもしれませんが、私は両社が良いライバルとして成長していくことを望みます。

―――NOM UKの読者は『時のオカリナ』を史上最高のゲームに選びました。なぜ技術的に劣っている筈のゲームがこのような高い評価を受け続けるのだと思いますか?

ありがとう! ゲームプレイヤーの評価は私達クリエイターが新しい物を作るエネルギーになります。恐らく私より皆さんの方が『時のオカリナ』が、異なる言語や文化を超えて評価を受けているという事を良く知っているでしょう。開発者の側からコメントするとしたら、それはゼルダの世界を感じる、という事に起因するのではないかという所です。

私が最初の『ゼルダの伝説』を1985年に発売したときから、私はプレイヤーが本当にミニチュアの庭の中を冒険しているんだと感じ取ってもらえる物にしようと心がけてきました。『時のオカリナ』では全体の感じと共にプレイヤーが流れる冷たい空気さえも感じ取れるように注意深く開発を行いました。

グラフィック技術は進歩します、そしてグラフィックやサウンドはプレイヤーが冷たい空気を感じるのを助けます。しかし『時のオカリナ』の空気はそれだけによって作られた物ではないのだと思います。それは恐らく、様々な要素、シナリオ作りやキャラの動き、等々が理想的に統合された結果生まれたものではないかと思います。

――なぜ『マリオ128』は秘密にされますか

すみません。このゲームについて詳しく話す事はできません。私は『マリオ128』で他のビデオゲームにはない事に挑戦してきました。これらの新しいアイデアは情報を公開すれば直ぐ新鮮さを失い、模倣されるでしょう。私はこのプロジェクトを完成させなければいけないというプレッシャーを感じています。どうか、今しばらく待って欲しいと思います。

―――携帯電話の技術が発展することで、将来の携帯ゲームはどのようになると思いますか

携帯電話をデザインする際には必ず電話を掛けたり受けたりするのに便利が良い形にデザインしなくてはなりません。携帯電話に求められるものと携帯ゲーム機に求められる物は大きく異なります。同様にボタンの配置の問題もあるでしょう。更に長時間遊ぼうとすればバッテリーが無くなり電話を受けられない、、、これは今日実際に起こった事ですが、こうなるともはや電話とは呼べません! 今のところ、GBASPも携帯電話も両方を持って歩けるコンパクトなサイズになっています。両方を別々に持つのが一番簡単な話ではないかと思います。

もし私達が携帯電話で遊ぶのに良いゲームを開発できれば、私達はそれをGBAで発売するでしょう。

―――新しいキャラやシリーズの構想を持ってますか

私はピクミンのコンセプトを拡張したいと思っています。もちろん新しいキャラクターを作るために新しいデザイナーと仕事をするのも好きです。

―――市場が拡大している中で任天堂の立場をどう考えますか。打倒ソニーはもう戦略の一部ではないのですか?

他社より良い物を作れば良いというのは理解されやすい構図ですが、エンターテイメント業界には適用できません。私達が他社より良い同じ物でなく、違う物を作らなければならないポジションに居る事は避けられない事実です。先例がなく、しかし世界中で評価を受けるものを作るのは容易ではありません。しかし任天堂はコンソールで、携帯ゲーム機でビデオゲームエンターテイメントを世界中に広めた実績があります。任天堂が次に作るものに期待してください。

―――なぜ『どうぶつの森』や『ギフトピア』のようなゲームはヨーロッパで発売されませんか

任天堂は常に世界中で楽しまれるゲームを開発しようとしています。しかしながら、一方で各地域の人たちが受け入れるゲーム、嫌うゲーム、というのはますます明確になってきました。

これはヨーロッパのマーケットのみに限った話ではありません、しかし多くのゲームは一部の地域のみで発売されます。更にヨーロッパで発売する場合はローカライズを行う必要があります。しかしながら、私達はヨーロッパのファンにそれほど長い間待ってもらいたくありません、そこで任天堂オブヨーロッパとも協力してローカライズのプロセスの短縮化を進めています。その結果として『マリオカート ダブルダッシュ』は全てのマーケットでほぼ同時に発売することが出来ました。

私達はローカライズに多くの時間と資源を投入して、質の高いローカライズスタッフを使って、その結果完成したゲームは業界の中でも特にローカライズの質が高いという事をぜひ理解して欲しいと思います。もちろん任天堂はヨーロッパのユーザーにもっと多くの新しいゲームを提供する為にこの体制を強化する必要があると理解しています。それによって『どうぶつの森』のようなゲームも提供可能になると思います。

―――ゲームキューブで『ゼルダの伝説』の続編を開発していますか。それは『ムジュラの仮面』のようなサイドストーリーを綴ったものになりますか?

2004年には多くの『ゼルダの伝説』に関する活動を見るでしょう。任天堂オブヨーロッパはE3やECTSで見せた『4つの剣+』の発売日を発表するでしょう。新しい『風のタクト』の開発は進行中で、これも2004年中に色々とお話することになるでしょう。

―――今は何のプロジェクトに関わっていますか

私は様々なプロジェクトに若いディレクターと一緒に取り組んでいます。彼らと一緒に何か新しい物を作りたいし、いろいろ教えたりもしたいです。

―――任天堂はいつかGTA Vice cityのような純粋に大人向けのゲームを開発をすることを考慮するでしょうか?

20年前の1983年に任天堂が最初のハードを発売したとき、日本ではファミリーコンピューターと呼ばれました。今、それを遊んだ若い人たちは親になって家族でゲームを楽しんでいます。ご承知のように任天堂ハードでも大人向けのゲームは沢山発売されていて、一方で任天堂自身はグループや友達、家族で、とても小さな子供からおじいちゃんやおばあちゃんまで一緒に遊べるゲームに重要性を置いています。

今日、世界には多くのデベロッパーが存在し、驚くべき数のゲームが開発されています。私はそれぞれ、ユニークで独立したゲームを作っていくべきではないかと思います。

―――宮本氏が作ったゲームはとても想像力を感じます。これは生まれてからずっと持っていたものなのか、それとも任天堂に入ってからのものですか?

ありがとう。しかし、正直に言って、そんなに多くの物を持っているとは思いませんし、常にもっと欲しいと思っています。私がそう言うと、あいつは完璧主義者だと言う人もいるかもしれませんが、本当のところはただの怠け者です。

なぜ私のような怠け者が、ゲームを完成させる為に一生懸命努力する事が出来るのかと言うと、私が働く会社、私が持っている仕事、そして私が追わなければならない責任があるからです。その意味で、私は、任天堂で働き始めた事は自身を高めたと思います。
《土本学》
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