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【電脳遊戯史料集】第3回 『R』へ至る鋼鉄の名馬達の軌跡(後編)

任天堂 GC

新たなる鋼鉄の馬たちの戦い『R』へとむすびついてゆく2つの系譜。『リッジ』シリーズによって織りなされた「エモーション」の系譜と対を為す「リアリティー」の系譜がある。ここでは、主に『MotoGP』シリーズによって形作られてゆくその歴史を振り返り、『R』への総括を行う。

バイクをモチーフにしたレースゲームとしては、まず1992年にリリースされた『スズカエイトアワーズ』が存在する。

1992年『コカ・コーラ スズカエイトアワーズ(アーケード)』
タイトル通り、鈴鹿サーキットにて行われる8時間耐久レースをゲーム化したもの。最大4人のプレイヤーが参加可能な通信型となっており、4台のマシンにそれぞれのモニター、さらにもう1台大型モニターを装備した大型筐体となっている。後に『MotoGP』シリーズにプロデューサーとして関わる中村 勲氏も関わっている。

1999年『500GP(アーケード)』
2000年『MotoGP(PS2)』

世界各地を転戦する形で開催される”FIMロードレース世界選手権シリーズ(FIM ROAD RACING WORLD CHAMPIONSHIP GRANDPRIX(通称MotoGP))”を元に、このレースシリーズにおいては最高峰となる500ccクラスのレースを再現している。1999年、このテーマの元にリリースされたのがアーケードゲーム『500GP』である。

さらに、『リッジレーサーV』によってエモーションの系譜の担い手『リッジレーサー』がプレイステーション2へその舞台を移ってゆくことを追うかのようにその後継者もまたプレイステーション2にてリリースされることとなる。それが『MotoGP』である。

『MotoGP』の開発にあたっては、その系譜の名前にも見られるように「リアリティー」に対する徹底的なこだわりが見られた。世界中の様々なサーキットにてコースの実測調査を行い、さらにMotoGPに関する全世界でのゲーム化権を取得。総勢20名以上にも及ぶライダー達、グランプリの為だけに用意された数々のマシン、そして世界5つのコースをリアルに再現している。エモーションエンジンのスペックの助けもあり、写真と見紛うばかりのレースコースを、実際のレースで活躍する選手達が実車と共に実名・顔写真入りで駆け抜ける、まさに「リアル」バイクレースゲームとして『MotoGP』は『リッジレーサーV』から約7ヶ月遅れてそのフラッグが振り下ろされた。

2001年『MotoGP2(PS2)』
最新2001年度シリーズのデータをもとに前年度のシリーズチャンピオンのケニー・ロバーツや愛称「ノリック」でお馴染みの阿部典史などのデータを盛り込み、更なるこだわりを満載して翌年リリースされたのがこの『MotoGP2』である。車体のフォルムやその挙動など、「リアルさ」に関しては、前作の段階においても高い評価を得ることに成功していた。が、本作ではそれをもう一段階深く練り込み、雨に濡れた路上でバイクが作り出す水煙やライダーの視界を遮るヘルメットに吹き付ける雨の様子など、ウェットコンディションをもリアルに再現する機構が組み込まれている。これによって、通常の走行においては考えられない危険な状況でのレースを体験できるようになっている。

また、前作にて収録されていた「鈴鹿」「ツインリンクもてぎ」「ドニントンサーキット」などの5つのサーキットに加え、四輪オートレースの24時間耐久レースでも有名なフランスの「ル・マンサーキット」を初めとするなど、5つのコースが新たに追加されている。が、前作を上回るリアリティーへのこだわりから新たに追加されたのは5つだけれども10個すべてのサーキットが新造されている。

システム面においては往年の名ライダー達との対決を楽しめるレジェンズモードが新たに搭載されている。対決を挑むことのできるライダーとしては、今では当たり前になったハングオンの生みの親ケニー・ロバーツや『MotoGP』のモチーフともなっている500ccクラスで前人未踏の5年連続チャンピオン、そしてシーズン最多優勝回数という偉大な記録を持つマイケル・ドゥーハン達が挙げられるのだが、いかにして彼らの動きをデータ化したのだろうか。更に、実車の挙動をよりリアルに再現した「シミュレーションモード」が存在することも「リアリティー」の系譜を形づくる一因であると言えよう。

2003年『MotoGP3(PS2)』
PS2にて生み出され続けた『MotoGP』シリーズ3作目。「エモーション」の系譜においては『レイジレーサー』が登場し、初めてコンシューマゲームとしての明確なアプローチが図られた3作目、というタイミングにおいて、「リアリティー」の系譜は迷うことなくさらにもう一歩自らの道を推し進めることとなる。

この時、MotoGPクラスはおいて初めての2サイクルマシンと4サイクルマシンの混走となっていた。世界各地で激戦を生んでいる多種多様なマシンの性能の違いは言うまでもなく、そのエンジンの違いからくるエギゾーストノート(排気音)さえも再現している。また、「リアリティー」のこだわりはグラフィックやサウンドだけでなく、前作にも搭載されていた「シミュレーションモード」はこれまで以上にリアルな操作を提供している。その他、光の反射をも表現した「コクピット視点」、マシンごとの違いもしっかり再現されており、実際に登場したときにライダーの目に映るフロントカウルもしっかりと再現したそれによって、プレイヤーの目線をよりライダーのそれに近づけたレースを行うことが可能となっている。また、既定のコースを制限時間内で走り抜けるチャレンジモードなども新たに搭載された。

サーキットは前作からさらに数が増え、15コースに増大、そして架空のコースも導入されてその数は合計30に近いところまで増加している。

このように、『MotoGP』シリーズを中心に展開されてきた「リアリティー」の系譜においては疾走するマシン、そしてそれらが存在する世界を隅々まで徹底的に作り込む流れが生み出されてきた。「エモーション」の系譜と比較して『スズカエイトアワーズ』のほうが早く登場はしたものの、系譜として定着し始めたのはプレイステーション2の登場を待つような格好となっている。そこは、やはりリアリティーを追求してゆくためにその器の大きさを必要とした、ということだろうか。

こうして生まれた「エモーション」と「リアリティー」、この2つの系譜が融合することによって生み出された新たなる鋼鉄の馬達の戦い『R:Racing Evolution』。1982年にリリースされた『ポールポジション』にその始まりをもつ、世界各地で多くのプレイヤー達によって繰り広げられた熱戦の歴史。その歴史にまた1つ、新たな戦いの記録が書き足されようとしている。レース中における「プレッシャーバトル」の存在や、ピットとドライバーの通信によって、ドライビングのアドバイスが得られたり、本来は聞けない“他のドライバーの無線”を流すことによって同じレースに参加しているマシンへの「人の存在」をより際立たせるなど、従来のシリーズの特徴に上乗せして「人と人とのドラマ」を再現している。レースゲームの新たな領域は我々に一体なにを見せようとしているのだろうか。



.....2003年11月27日、また新たな扉が開こうとしている。
《織機 綺音》

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